旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
そしてクリスマス当日。
その昔、17才だったときにはクリスマスボウルに向かって全ての力を注ぎ込んだ。
あれ以来なんとなくクリスマスは特別な日だったが、今年は仕事で終わる日となりそうだった。
だが。
「え? もう終わるんですか?」
「ええ。クリスマスは予定を入れる方が多いですから、仕事は定時で終わりです」
あっさりとそう告げて帰り支度を始める雪光に、まさかやることがないから残業したいとも言えない。
そもそも残ってやれる程仕事がまだ判ってないというのもある。仕方なくまもりも自分の机を片づけ始めた。
「社長はお帰りにならないんですか?」
「今日はどこかでパーティーがあると仰ってました。会社を通してないので、個人的なご用件のようですね」
「そうですか」
それならばコーヒーを出していく必要はないかな、と考えて身支度を終える。
部屋を出ようとしたその時。
内線が鳴った。
「はい、雪光です」
すぐ電話を取った彼は、微妙な顔つきになった。
それからちらりとまもりを見て、視線を逸らす。
「それは・・・そうですが」
戸惑ったような口調に、まもりは首を傾げる。
どうやら自分に関係する用件のようだ。
「・・・わかりました」
雪光は受話器を戻し、嘆息する。
そしてじっとこちらを見つめるまもりに柔らかく苦笑した。
「すみませんが、一つお願いしたい事ができました」
「はい、なんでしょうか」
「ヒル魔さんが呼んでます」
「え?」
まもりは眉を寄せる
「具体的には教えて貰えなかったのですが、相談事があるとかで・・・」
雪光の言葉もどこか歯切れが悪い。まもりは困ったように彼を見上げたが、彼も申し訳なさそうに肩をすくめる。
「僕は用事があるので今日はどうしても帰らないとならないんです。申し訳ないんですが、先に帰らせて頂きますね」
「そうですか・・・」
雪光は大抵まもりよりも帰りが遅い。
彼女がまだあまり仕事ができないというのもあるし、彼自身仕事が出来るというのもあるだろう。
雪光がプライベートなことを優先させるところを見たこともない。
その彼がどうしても用事がある、と言うのなら、引き留める事も出来ない。
まもりは嘆息して頷いた。
「わかりました。私は社長のところにお伺いしますので、どうぞお先に」
「すみません。よろしくお願いします」
頭を下げて去る雪光に手を振り、せっかく着たコートを脱いで扉をノックする。
「姉崎です。失礼致します」
「おー」
社長室に入ると、彼は顔を上げた。
「相談事とお伺いしましたが、どのようなご用件でしょうか」
「同伴しろ」
「はい?」
眉を寄せて一歩引いたまもりに、ヒル魔はにやりと笑う。
ひらりと見せられたのはクリスマスカード。どうやらパーティーの誘いらしい。
「ちょっと必要なんでな」
「そんなの・・・」
まもりは戸惑う。
個人的な用件なら尚更、彼は妻を伴うべきだろう。
彼女の視線が注がれる指輪。
その視線を受け止めてもヒル魔は妻のことを口にしない。
「時間外手当出してやる。それともテメェは男と先約があるのか?」
まもりは静かに瞬いた。
ヒル魔はじっとこちらを伺っている。
「残念ながら、彼は仕事なので今夜のデートはキャンセルなんです」
彼氏と呼べるだけの男は今のところ身近にはいないが、素直にこの男に告げる必要はないだろう。
ヒル魔が本気で調べればすぐ知れることだが、わざわざ教えたくはない。
ゆるりと笑みを浮かべ、まもりはヒル魔を見つめた。
「お供しますわ、社長」
<続>
その昔、17才だったときにはクリスマスボウルに向かって全ての力を注ぎ込んだ。
あれ以来なんとなくクリスマスは特別な日だったが、今年は仕事で終わる日となりそうだった。
だが。
「え? もう終わるんですか?」
「ええ。クリスマスは予定を入れる方が多いですから、仕事は定時で終わりです」
あっさりとそう告げて帰り支度を始める雪光に、まさかやることがないから残業したいとも言えない。
そもそも残ってやれる程仕事がまだ判ってないというのもある。仕方なくまもりも自分の机を片づけ始めた。
「社長はお帰りにならないんですか?」
「今日はどこかでパーティーがあると仰ってました。会社を通してないので、個人的なご用件のようですね」
「そうですか」
それならばコーヒーを出していく必要はないかな、と考えて身支度を終える。
部屋を出ようとしたその時。
内線が鳴った。
「はい、雪光です」
すぐ電話を取った彼は、微妙な顔つきになった。
それからちらりとまもりを見て、視線を逸らす。
「それは・・・そうですが」
戸惑ったような口調に、まもりは首を傾げる。
どうやら自分に関係する用件のようだ。
「・・・わかりました」
雪光は受話器を戻し、嘆息する。
そしてじっとこちらを見つめるまもりに柔らかく苦笑した。
「すみませんが、一つお願いしたい事ができました」
「はい、なんでしょうか」
「ヒル魔さんが呼んでます」
「え?」
まもりは眉を寄せる
「具体的には教えて貰えなかったのですが、相談事があるとかで・・・」
雪光の言葉もどこか歯切れが悪い。まもりは困ったように彼を見上げたが、彼も申し訳なさそうに肩をすくめる。
「僕は用事があるので今日はどうしても帰らないとならないんです。申し訳ないんですが、先に帰らせて頂きますね」
「そうですか・・・」
雪光は大抵まもりよりも帰りが遅い。
彼女がまだあまり仕事ができないというのもあるし、彼自身仕事が出来るというのもあるだろう。
雪光がプライベートなことを優先させるところを見たこともない。
その彼がどうしても用事がある、と言うのなら、引き留める事も出来ない。
まもりは嘆息して頷いた。
「わかりました。私は社長のところにお伺いしますので、どうぞお先に」
「すみません。よろしくお願いします」
頭を下げて去る雪光に手を振り、せっかく着たコートを脱いで扉をノックする。
「姉崎です。失礼致します」
「おー」
社長室に入ると、彼は顔を上げた。
「相談事とお伺いしましたが、どのようなご用件でしょうか」
「同伴しろ」
「はい?」
眉を寄せて一歩引いたまもりに、ヒル魔はにやりと笑う。
ひらりと見せられたのはクリスマスカード。どうやらパーティーの誘いらしい。
「ちょっと必要なんでな」
「そんなの・・・」
まもりは戸惑う。
個人的な用件なら尚更、彼は妻を伴うべきだろう。
彼女の視線が注がれる指輪。
その視線を受け止めてもヒル魔は妻のことを口にしない。
「時間外手当出してやる。それともテメェは男と先約があるのか?」
まもりは静かに瞬いた。
ヒル魔はじっとこちらを伺っている。
「残念ながら、彼は仕事なので今夜のデートはキャンセルなんです」
彼氏と呼べるだけの男は今のところ身近にはいないが、素直にこの男に告げる必要はないだろう。
ヒル魔が本気で調べればすぐ知れることだが、わざわざ教えたくはない。
ゆるりと笑みを浮かべ、まもりはヒル魔を見つめた。
「お供しますわ、社長」
<続>
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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