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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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ストローフィ・リング(17)


+ + + + + + + + + +
額にじとりと滲む汗が気持ち悪い。
「・・・すみません、もう大丈夫です」
額の汗を手のひらで拭う。こんなに暑いのに、妙に冷たい汗だった。
「ンなフラフラで何が平気だ」
「ちょ・・・」
強引に引き上げられ、気分の悪さから覚束ない足下を考慮せず引きずられるように歩く。
「糞頑固だな」
「社長程では、ございません」
「テメェ」
唸るような声に、まもりは揺らいで定まらない視線を向ける。
「社長は、お疲れでしょう・・・?」
声が、吐息に滲んだ。
「おもてなしも何も、出来ないですから・・・」
「チッ!」
ヒル魔は派手に舌打ちすると、まもりの鞄から勝手に鍵を取り出して扉を開き、彼女を抱えるような格好で室内へと上がり込んだ。
「世話焼き気質でテメェの事が後回しなのは昔から変わりねぇみてぇだな!」
「・・・昔なんて」
ベッドの上に投げ出されるような格好になって、まもりは細く息をついた。
「いいから寝ろ」
ヒル魔はエアコンのリモコンを探そうとして、違和感に気づいた。
どことなく雑多に汚れた室内。
まもりは昔からとかくきれい好きで、彼女の元に初めて訪れたときもこの部屋はすっきりと整頓されていた。
さほど広くないはずの室内でも、居心地が良くなるように工夫されていた。
それがどこか暗く影が堕ちたような、そんな印象がある。
それでもヒル魔には散らかっているというレベルではないので難なくエアコンのリモコンを見つけてスイッチを入れる。
吹き出す冷風に安堵しまもりを見れば、彼女は熱を孕んだ布団に半身を埋めながら青い顔をして瞳を閉じていた。
眠ったのか、と様子を伺えば、ふっと彼女は瞼を上げた。
「・・・お茶」
起きあがろうとするのを視線で制す。
「ここでまだそんなこと抜かすか」
「喉、乾きませんか・・・?」
青ざめた顔で笑おうとするまもりに、ヒル魔はぎりぎりと眉をつり上げた。
「姉崎」
「なんですか?」
「無理して笑うな」
「・・・無理なんて」
「してないとか抜かすか? それだけ痩せて、フラフラになってんのにか?」
けれどまもりはまだ笑うのだ。
「寝不足なだけですよ」
きつく睨め付けるヒル魔にまもりは笑みを浮かべたまま囁いた。
「大丈夫」
ヒル魔はじっとその姿を見下ろしていたが、不意に俯き、視線を外す。
「・・・それが・・・」
その呟きが聞き取れなかったまもりが、聞き返そうとしたその時。
「―――――――え?」
ヒル魔が唐突にその腕を伸ばした。
「?!」
驚き竦むまもりを組み伏せる。
横たわっていたまもりは抵抗する間もなく、ヒル魔を見上げる格好になった。
「十年ぶりだな」
笑みを含んだ声、見下ろす顔はいつもの人を食ったかのような笑み。
けれどその眸だけが昏く熱を帯びていて。
「何を・・・」
思いがけない体勢に、まもりは信じられない、という表情を浮かべた。
「男と女が同じベッドにいりゃやることは一つだろ?」
「い・・・っ!」
悲鳴を上げようとした口を、易々と手のひらで塞がれる。
暴れて逃れようにも、男の体重がまともにのし掛かれば押し返すことは難しい。
混乱した頭でどうにか逃れようと口を塞ぐ手に噛みつこうとして。
歯が、固い物に当たる。
まもりの口を塞ぐ手は左。その薬指には、指輪が。
―――有能で美しいという噂の妻との愛の証が。
まもりは目を見開き、必死に逃れようと暴れる。
相手の腹を蹴ろうとするが、既に察知したかのように斜めにのし掛かられていたために膝は空しく脇腹を掠めるだけだ。
痩せて体調不良のまもりを左腕一本で押さえ込み、ヒル魔はまもりの服を脱がそうと右腕を蠢かせ始めた。
必死になって振り回す腕も、難なく捕らえられる。
腕に幾つもひっかき傷を刻まれてもヒル魔はにやにやと笑っていて。
恐怖にまもりは涙を浮かべる。
十年前には、優しくまもりを慈しんだはずの腕は、凶器となって彼女を襲う。
怖い。
耳に付く彼の呼吸音も、頬に食い込む指も、ただ欲が浮かぶ眸も、何もかもが。
滅茶苦茶に暴れて泣いてもヒル魔の手は止まらない。
乱暴にはだけられた服の隙間から潜り込む手が、強引に事を進めようとする
「!!」
下肢に触れた指に、まもりは縋るように彼を見上げた。
視線が絡む。
いっそ優しいような笑みさえ浮かべ、ヒル魔は告げる。
「もう遅い」
「―――――――――!!!」
まもりは口を塞がれたまま、絶叫した。
その声を全て左手で受け止め、ヒル魔は笑みさえ浮かべてまもりを文字通り、犯した。


<続>
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