旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
連れてこられた社員食堂は、一面硝子張りの明るい造りで天井が高く、白を基調にした空間は心地よい。
IT系だからか若い社員も多く、活気に満ちている。そしてメニューも豊富。
オススメのランチはこれです、とトレイを渡され、まもりは代金を支払おうとするがそれは止められた。
「これくらい奢りますよ」
「悪いわ」
「ランチ一食じゃ安いくらいですよ」
「?」
とにかくどうぞ、と押し切られ、まもりは渋々箸を付ける。
「おいしい!」
「でしょう。美味しい食事はモチベーションが上がりますから、ここのコストは惜しまないんですよ」
「へえ・・・」
相変わらず悪魔は人心掌握術に長けているようだ、とスープを飲みながら感心する。
社員は皆いきいきと喋っていて、会社の雰囲気が良い事はすぐ知れる。
「いい会社ね」
「そうでしょう。姉崎さんもこの一員になりませんか?」
さらりと誘われるが、まもりは苦笑するばかり。
「人間分相応って言葉があるでしょ。私には無理よ」
「なんで決めつけるんです?」
雪光は食後のコーヒーに口を付ける。
「秘書としての仕事が初めてだとは伺ったんですが、姉崎さんなら平気だろうと僕も思います。仕事は基本的にヒル魔さんのスケジュール管理がメインで、事務仕事はパソコンを使いますがそれも勉強すれば済む事です」
まもりも同じく食後の紅茶に口を付ける。
「IT系だからといって、パソコン一辺倒で過ごしているわけではありませんから、大丈夫ですよ」
「でも、みんなに迷惑が掛かってしまうわ」
素人が一人いれば、その分のフォローに回った人の負担は増えるだろう。
独り立ちするまでに掛かる時間と手間を考えたら、もっと優秀な人材を選べば負担は軽減されるに違いない。
ところが雪光は笑みを絶やさない。
「いいえ。姉崎さんがいれば僕たちの負担は間違いなく減ります。断言してもいい」
それにまもりは嫌な予感を覚えて眉を寄せる。
今、あからさまにヒル魔からくる風よけに近い扱いを受けそうな口調だった。
「・・・それって人身御供って言わないかしら」
「まさか」
雪光は虫も殺さないような笑みで首を振った。
「人間、持ちつ持たれつですからね」
その笑顔がくせ者なのだと怒濤の高校生活を共にしたまもりには容易く知れたけれど。
結局雪光に懇願され、渋々社長室に戻ってきたまもりに、雇用契約書が再び差し出される。
「読んでから決めろ。話はそれからだ」
不機嫌そうな彼の手元から書類を受け取り、捲る。
取り立てて人権無視するような内容はなく、相当好条件だろうということは判る。
ただし当初二週間は雇用準備期間ということで研修を受けるよう申し添えられていた。
それも妥当だろう。
彼の意図は全く読めないままだが。
「私に勤まるか判らないわよ」
「やってから言え」
しばし睨み合っていた二人だが、まもりがふいと視線を放して嘆息する。
「過度の期待は、結果を見たときの落胆が大きくなるだけよ」
「それは俺が決める事だ。テメェは黙ってそこにサインしろ」
まもりは静かに、その場所にサインして、雪光はほっと安堵したように胸をなで下ろした。
<続>
IT系だからか若い社員も多く、活気に満ちている。そしてメニューも豊富。
オススメのランチはこれです、とトレイを渡され、まもりは代金を支払おうとするがそれは止められた。
「これくらい奢りますよ」
「悪いわ」
「ランチ一食じゃ安いくらいですよ」
「?」
とにかくどうぞ、と押し切られ、まもりは渋々箸を付ける。
「おいしい!」
「でしょう。美味しい食事はモチベーションが上がりますから、ここのコストは惜しまないんですよ」
「へえ・・・」
相変わらず悪魔は人心掌握術に長けているようだ、とスープを飲みながら感心する。
社員は皆いきいきと喋っていて、会社の雰囲気が良い事はすぐ知れる。
「いい会社ね」
「そうでしょう。姉崎さんもこの一員になりませんか?」
さらりと誘われるが、まもりは苦笑するばかり。
「人間分相応って言葉があるでしょ。私には無理よ」
「なんで決めつけるんです?」
雪光は食後のコーヒーに口を付ける。
「秘書としての仕事が初めてだとは伺ったんですが、姉崎さんなら平気だろうと僕も思います。仕事は基本的にヒル魔さんのスケジュール管理がメインで、事務仕事はパソコンを使いますがそれも勉強すれば済む事です」
まもりも同じく食後の紅茶に口を付ける。
「IT系だからといって、パソコン一辺倒で過ごしているわけではありませんから、大丈夫ですよ」
「でも、みんなに迷惑が掛かってしまうわ」
素人が一人いれば、その分のフォローに回った人の負担は増えるだろう。
独り立ちするまでに掛かる時間と手間を考えたら、もっと優秀な人材を選べば負担は軽減されるに違いない。
ところが雪光は笑みを絶やさない。
「いいえ。姉崎さんがいれば僕たちの負担は間違いなく減ります。断言してもいい」
それにまもりは嫌な予感を覚えて眉を寄せる。
今、あからさまにヒル魔からくる風よけに近い扱いを受けそうな口調だった。
「・・・それって人身御供って言わないかしら」
「まさか」
雪光は虫も殺さないような笑みで首を振った。
「人間、持ちつ持たれつですからね」
その笑顔がくせ者なのだと怒濤の高校生活を共にしたまもりには容易く知れたけれど。
結局雪光に懇願され、渋々社長室に戻ってきたまもりに、雇用契約書が再び差し出される。
「読んでから決めろ。話はそれからだ」
不機嫌そうな彼の手元から書類を受け取り、捲る。
取り立てて人権無視するような内容はなく、相当好条件だろうということは判る。
ただし当初二週間は雇用準備期間ということで研修を受けるよう申し添えられていた。
それも妥当だろう。
彼の意図は全く読めないままだが。
「私に勤まるか判らないわよ」
「やってから言え」
しばし睨み合っていた二人だが、まもりがふいと視線を放して嘆息する。
「過度の期待は、結果を見たときの落胆が大きくなるだけよ」
「それは俺が決める事だ。テメェは黙ってそこにサインしろ」
まもりは静かに、その場所にサインして、雪光はほっと安堵したように胸をなで下ろした。
<続>
PR
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
アクセス解析
フリーエリア