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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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ストローフィ・リング(2)


+ + + + + + + + + +
年齢は三十路前であればかなり有利だと思っていたがそうでもなく、募集があるところは大概システムエンジニア系のものばかり。
単なる事務、それも資格もなければパソコンもろくに使えないまもりには無理な仕事先しかない。
求人雑誌がすり切れる程見てみたが、見落としているわけでもない就職先は見つからない。
まもりはすっかり癖になったため息をつきつつ、家から持参したおにぎり片手に無料の求人広告を眺めていた。
「・・・やっぱりダメか・・・」
目に付くのは夜の商売ばかり。
今は好き嫌いで選んでしまっているが、切羽詰まったらこの手の店に行く事になるのだろうか。
じわ、と涙が浮かんでくる。
実家に帰ろうかとも思うが、父親の大反対を押し切って一人暮らしした手前、すごすごと帰って受け入れられるだろうか。
ふと、こんな時に彼だったらどうするだろうかと、高校時代を思い出す。
アメフト部の部長とマネージャー。いつの間にか恋人として隣にいて、しっくりと馴染んでいた彼。
見た目には悪魔だしやることなすこと悪魔だし口を開けば悪口雑言だし銃は乱射するわで最悪、の一言に尽きる相手だったのに。
まもりにとっては居心地のいい腕を持つ、誰よりも大事な人だった。
思えばあの時こそまもりが一番彼女らしくいられた時期だった、と過去を振り返ってしまう。
高校を卒業してから彼がアメリカに留学し、そこから二人の関係は自然と消滅してしまった。
あの破天荒な彼なら、会社に勤めるなんてことはしないで、自ら会社でも立ち上げてしまうだろう。
こんなまもりの悩みなど一蹴するに決まっている。
考えてもしょうがない事を、とまもりは微苦笑を浮かべて立ち上がる。
「あの、すみません」
背後から掛けられた声に、まもりは振り返る。
見慣れない男だ。
スーツを着て、笑みを浮かべてこちらを見ている。
「姉崎まもりさんですね。お話がありますので、ご一緒に来て頂けませんでしょうか」
まもりは眉を寄せる。
なんでこの男はまもりの名前を知っているのだろうか。
見たところハローワークの職員でもなさそうだし、浮かべる笑みはどことなく引きつっているような気がする。
どんな話か聞くまでもない、と判断した。
「嫌です」
まもりは警戒心も露わにそう言うと、ぱっと身体を翻した。
「え、ちょっと! 姉崎さん!」
慌てて追ってくる気配があるが、細く入り組んだ路地に入り込み、人通りの多い商店街に紛れ込んで撒いてしまう。
人の流れに合わせて歩きながら、まもりはふう、と安堵の吐息を付いた。

けれど。
その男はまるでねらい澄ましたかのようにまもりの行く先々で声を掛けてきた。
「待って! 話を聞いて下さい!」
必死な様子に、よもや知り合いではあるまいか、とも思ったが、それならそうと先に名乗るだろう。
昔の自分なら警戒心もなく近寄っただろうが、今はそれほど純真無垢とも呼べないと自覚している。
もう回数も判らなくなる程逃げて、まもりはこのままでは失業手当を受け取れなくなるのでは、と危惧し始めた。
折しも携帯電話には見慣れない番号からの電話が数多く入ってくるようになっていて、その番号もまちまちで怖くて出る事は出来ない。
手当を受け取るためにはハローワークに直接顔を出さなければならない。
そうなったとき、待ち伏せされたらあっという間に捕まってしまう。
どうにかしないと、と考えながら夕食の買い物を終え、自宅のアパートの階段を上っていたまもりの目に飛び込んできたのは、金色。
「よぉ」
思い切り目を見開き硬直したまもりに、その男は足音も立てず近寄ってきた。
蛭魔妖一。間違いない、その人だ。
かつてよく見た笑みを浮かべている。
尖った耳もピアスも変わらないが、髪は逆立てず後ろに流している。
それ以外に体型も顔つきもなんら変わりはない。
手を伸ばせば触れる程の距離になって、まもりは音を立てて後ずさった。

<続>
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ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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