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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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ストーミー・ナイト(4)



+ + + + + + + + + +
外を見れば相変わらずの暴風雨。
これでは適当な理由をつけて中座するのも難しい、と判断してヒル魔はようやく椅子に深く腰掛ける。
「では、大変心苦しいのですが一晩お世話になります」
「そう来なくちゃ!」
はしゃぐまもりの声に、ヒル魔の視線は冷たい。
元はといえば、こんなことになる前にさっさと一人で帰ればよかったんだ、この糞マネ。
横目で投げつけた、じとりと恨みがましい視線も、非現実的な今の状態ではまもりには微塵も通用しない。
苦々しい気持ちでちらりと伺った彼女の父親は、やはり細い目を弓なりに反らせて楽しげな顔をしていた。


「いらっしゃい! お待ちしてたわ!」
「こんばんは。お初にお目にかかります、蛭魔妖一と申します」
「まあご丁寧に! 私はまもりの母で、真美と申します」
ぺこりと頭を下げるヒル魔を抱きしめんばかりの勢いでまもりの母が出迎える。
「さあさあ、こんなところじゃ寒いし落ち着かないでしょう! ほら、お風呂に入ってきなさいな」
「いえ、まず先に彼女の方を。俺は後でいいです」
「え!? いいよいいよ、私は後で・・・」
「女性が身体を冷やすのはよくありませんから。どうぞ」
表情はあまり変化しないが、淡々としつつも丁寧な口調にまもりはぞわりと鳥肌を立てた。
それを見てまもりの母は勘違いしたようだが、それを訂正するつもりはない。
「あらあら。じゃあ申し訳ないけど先にまもりをお風呂に入れちゃうわね。ヒル魔くんもとりあえず着替えた方がいいわ」
濡れた靴下を脱いでスリッパに足を突っ込み、ヒル魔はまもりの後に続いて上がる。
「あなたは?」
後から続いたまもりの父は慎重にレインコートを脱いでいる。
「私は見ての通りさ。タオルだけくれないか」
「はい。じゃあ私はヒル魔くんを案内するわね」
こちらにどうぞ、と連れられてヒル魔はおとなしくその後に続く。入り口側の和室に通された。
「うちには男物と行ったら夫のしかないの。これでいいかしら?」
「ありがとうございます。十分です」
「着替えたらこの向かいの部屋に来てね。ここがリビングなの」
「わかりました」
まもりの母が退室した後、さっさと着替える。
やはりさほど身長が変わらないと思った通り、用意された着替えはヒル魔にぴったりだった。
少々ウエストが緩いくらいだが、紐で調節できるスウェットだったので問題ない。
どうにも居心地の悪い思いをしながら言われたとおり向かいの部屋の扉を開いた。
お茶の用意をしていたまもりの母がめざとくヒル魔を見つけて近寄ってきた。
「ああよかった、そんなにおかしな事にはなってないわね。さ、濡れた制服をちょうだい」
「後でクリーニングに出すのでいいです。袋だけ貸していただければ」
「何言ってるの! これくらいなんでもないんだから、寄越しなさい」
ぴしり、と命令されてヒル魔は仕方なく制服を差し出した。
嬉々として持って行くその姿はまもりそっくりで、ああやっぱり親子だな、と思わせられる。
何気なく見送っていたヒル魔の背後から声が掛かる。
「ヒル魔くん、こっちに来なさい。家内がコーヒーを用意しているんだ」
まもりの父だった。
「・・・ありがとうございます」
応じてテーブルに向かう。
既にまもりの母が用意してくれていたのだろう、あとはコーヒーを待つばかりという状態だ。
促されて席に着く。正面に座ってから、改めてヒル魔は頭を下げた。
「蛭魔妖一です。自己紹介が遅くなりまして申し訳ありません」
「姉崎楯夫です。ご丁寧にどうも」
ヒル魔はここでまじまじとまもりの父を眺めた。
髪はあの写真の通り、後ろに撫でつけられた白髪交じり。
仕事とは違うからか僅かにラフな印象を受けた。
シャツにカーディガンにスラックスというあまり砕けていない格好だが、普段からおそらくこういった格好をするのが常なのだろう。
ただ、この家の中ではあまりそぐわないモノトーンな色目のものを来ていた。
糸目と呼んで差し支えない細い眸と、僅かに上がった口角が穏和な印象を与えている。
・・・ヒル魔はにどうにも居心地が悪く感じたが。

<続>
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