旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
カップを持ってまもりが近寄る。
「はい、ヒル魔くん、コーヒー」
「おー」
ヒル魔はためらいなく手をのばし、チェスボードから目を離さないままカップに口をつける。
「お父さんも」
「ありがとう」
やはり同じようにチェスボードから視線をそらさず、まもりの父も受け取る。
それを遠目に見ていたまもりの母が小さく吹き出した。
まもりは小首を傾げ、母の元へ。
「どうしたの? お母さん」
「だって! 二人とも、そっくりなんだもの・・・!」
ほら、と指さされた先では同じような姿勢で同じようにカップを持つ二人の姿。
確かに、似ている。
「お父さんがどうしてヒル魔くんをそんなに悪い子じゃないよって言ったか、教えてあげようか?」
まもりの母がいたずらっ子のような顔をして囁く。
「うん、知りたい」
「自分に似ているからよ」
「え」
まもりは再び二人を見る。ヒル魔は背を向けているので分からないが、父親の顔は見える。
彼の、普段は細められていて、糸のようだと言われる眸が僅かに開いている。
結構な三白眼で、周囲に威圧感を与えるからと意図的に眸を細める癖がついているのだと、いつだか言っていた。
確かに見開くと怖い顔、かも。
ああでも言われたら、ヒル魔も同じような顔、・・・かもしれない。
体型も身長も、雰囲気も。言われてみれば似ている、ような。
「やっぱり昔から言うとおりなのね」
「え?」
しみじみとした口調で、今度は自分たちのための紅茶を淹れながらまもりの母は続けた。
「お父さんと同じような男の人を好きになるって言う、アレ」
途端にまもりは真っ赤になって飛び上がった。
「っ違! 違う、わよぅ!」
「だってわざわざウチに連れてきたいなんて言うし、付き合ってるんでしょう?」
「いやいやいやいや! 待って待って! 私たちただの部長とマネージャーだから!」
「照れない照れない。ヒル魔くんならお母さんも賛成だわ」
いやあああ、と叫ぶまもりの声を聞きながら、まもりの父は口を開く。
「で、どうなんだい?」
「何がです?」
「うちの娘のことだ。狙ってるんだろう?」
「さあどうでしょう」
「隠すことはないだろう? このゲームで私に勝ったら、まもりとの付き合いを認めるよ」
「認めるも何も、付き合っていないんですが」
「じゃあこれを切っ掛けにして付き合えばいい」
にやり、とどこかたちの悪い笑みを浮かべて、まもりの父は言う。
「とりあえず、まもりの部屋に布団は敷いておくよ」
「お断りします」
笑顔でありながらも、空恐ろしい空気を醸し出しながらヒル魔は彼を威圧しようとするが。
「人の好意は受け取っておいた方が良い」
あっさりとそれを受け流し、まもりの父は続ける。
「後で欲しいと思っても遅い。それくらいは分かるだろう?」
つり上がった口角、先ほどよりは開かれた眸。
それらを見て、ヒル魔はようやくこの嫌な気分の原因に思い当たって冷えかけたコーヒーを一気に飲み干した。
そう、これは。
いわゆる、『同族嫌悪』という奴だった。
「糞!」
思わず派手にした舌打ちにも、まもりの父は動じることなく。
「やっとらしくなってきたみたいだね。さあ、ここからが本番だ」
至極楽しげに、駒を進めたのだった。
***
何となく書いてみたくなったまもパパ話でした。ヒルまも一家の方は意図的に外見を書かずにおいたので、こちらは外見がヒル魔さん似って感じで。ほら娘は父親に似た相手を選ぶもんだってどっかで聞いて、ヒル魔さんに似た父親がいるならまもりちゃんは怖い外見の人に臆することはないかもと思ったんです。彼のことだから父親のデータくらい持っていそうだったので叔父とかにしてみようかとも思ったんですが(笑)
「はい、ヒル魔くん、コーヒー」
「おー」
ヒル魔はためらいなく手をのばし、チェスボードから目を離さないままカップに口をつける。
「お父さんも」
「ありがとう」
やはり同じようにチェスボードから視線をそらさず、まもりの父も受け取る。
それを遠目に見ていたまもりの母が小さく吹き出した。
まもりは小首を傾げ、母の元へ。
「どうしたの? お母さん」
「だって! 二人とも、そっくりなんだもの・・・!」
ほら、と指さされた先では同じような姿勢で同じようにカップを持つ二人の姿。
確かに、似ている。
「お父さんがどうしてヒル魔くんをそんなに悪い子じゃないよって言ったか、教えてあげようか?」
まもりの母がいたずらっ子のような顔をして囁く。
「うん、知りたい」
「自分に似ているからよ」
「え」
まもりは再び二人を見る。ヒル魔は背を向けているので分からないが、父親の顔は見える。
彼の、普段は細められていて、糸のようだと言われる眸が僅かに開いている。
結構な三白眼で、周囲に威圧感を与えるからと意図的に眸を細める癖がついているのだと、いつだか言っていた。
確かに見開くと怖い顔、かも。
ああでも言われたら、ヒル魔も同じような顔、・・・かもしれない。
体型も身長も、雰囲気も。言われてみれば似ている、ような。
「やっぱり昔から言うとおりなのね」
「え?」
しみじみとした口調で、今度は自分たちのための紅茶を淹れながらまもりの母は続けた。
「お父さんと同じような男の人を好きになるって言う、アレ」
途端にまもりは真っ赤になって飛び上がった。
「っ違! 違う、わよぅ!」
「だってわざわざウチに連れてきたいなんて言うし、付き合ってるんでしょう?」
「いやいやいやいや! 待って待って! 私たちただの部長とマネージャーだから!」
「照れない照れない。ヒル魔くんならお母さんも賛成だわ」
いやあああ、と叫ぶまもりの声を聞きながら、まもりの父は口を開く。
「で、どうなんだい?」
「何がです?」
「うちの娘のことだ。狙ってるんだろう?」
「さあどうでしょう」
「隠すことはないだろう? このゲームで私に勝ったら、まもりとの付き合いを認めるよ」
「認めるも何も、付き合っていないんですが」
「じゃあこれを切っ掛けにして付き合えばいい」
にやり、とどこかたちの悪い笑みを浮かべて、まもりの父は言う。
「とりあえず、まもりの部屋に布団は敷いておくよ」
「お断りします」
笑顔でありながらも、空恐ろしい空気を醸し出しながらヒル魔は彼を威圧しようとするが。
「人の好意は受け取っておいた方が良い」
あっさりとそれを受け流し、まもりの父は続ける。
「後で欲しいと思っても遅い。それくらいは分かるだろう?」
つり上がった口角、先ほどよりは開かれた眸。
それらを見て、ヒル魔はようやくこの嫌な気分の原因に思い当たって冷えかけたコーヒーを一気に飲み干した。
そう、これは。
いわゆる、『同族嫌悪』という奴だった。
「糞!」
思わず派手にした舌打ちにも、まもりの父は動じることなく。
「やっとらしくなってきたみたいだね。さあ、ここからが本番だ」
至極楽しげに、駒を進めたのだった。
***
何となく書いてみたくなったまもパパ話でした。ヒルまも一家の方は意図的に外見を書かずにおいたので、こちらは外見がヒル魔さん似って感じで。ほら娘は父親に似た相手を選ぶもんだってどっかで聞いて、ヒル魔さんに似た父親がいるならまもりちゃんは怖い外見の人に臆することはないかもと思ったんです。彼のことだから父親のデータくらい持っていそうだったので叔父とかにしてみようかとも思ったんですが(笑)
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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