旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
そうだ、あれはクラスメイトと他愛ない話をしているとき。
まもりは幼い頃から教師か保育士になりたいと考えていて、今もそう思っている。
まだ将来の事なんて考えてない、という友人たちと将来の夢とかなりたいものとかいう話をしているうちに、誰かが言ったのだ。
そうしてゆくゆくは好きな人と結婚して子供を産んで、というような話をしていた。
そんな考えのまもりに誰かが言ったのだ。
『まもりって重いわよね』
今、その誰かが側にいるわけでもないのに、まもりはびくりと肩を震わせた。
重い、というその言葉。
友人か誰かが何かの拍子に言うくらい、自分は、自分の考え方は、『重い』のだろうか。
他人の重荷になってしまうくらいに。
側にいるのが怖くなるくらいに。
冷静に分析するもう一人の自分が呟く。
(重いよ。重いに決まってるじゃない。だって)
再び思考がはまり込む。
ぐるぐると、暗く、深く重く。
(それが重荷だったから、セナは黙ってたんじゃない)
指先が冷える。
何かに縋りたくて、伸ばしたそれに触れたのはガムで。
(セナだけじゃない。他の部員も、鈴音ちゃんも)
握りしめた瞬間、くしゃりと歪んだ包装紙に慌てて手を離した。
(・・・だから、ヒル魔くんも、いなくなったじゃない)
机に転がる歪んだパッケージ。
誰のかも知れない言葉一つで、簡単に追い詰められる。
そんな弱さが嫌で、まもりは顔を覆った。
安息の眠りは遙か彼方。
夜はまだ深く、朝はまだ遠い。
そうしてさほど日を置かず、ヒル魔は戦闘機で帰ってきた。
唖然とするまもりに放り投げられたのはビデオ。
呆れながらも手は自然に動き、当たり前のように編集作業をする。
どかりと定位置でパソコンをいじるヒル魔に安堵すると同時に。
ダメだ、とまもりは自らを諫めた。
「おい、コーヒー」
まもりは無言でキッチンへと向かう。
今、口を開いたら、何が飛び出るか分からない不安。
勿論部活のマネージャーとして、彼の行動が誰にも告げられていないことは諫めるべきだと思う。
けれど、それ以上を口にしてしまったら。
自分が寝不足でひどい顔をしている自覚があるので、まもりは俯いたままカップを差し出した。
「何シケた面してんだ」
「別に・・・」
言葉を濁しつつ、まもりはぼんやりと考える。
(ああ、別にって言うような顔してないんだろうな、今)
きっと何か言うに違いない―――そんな風に思っていたら、案の定彼は舌打ちした。
「重てぇ空気出しやがって」
「っ」
びく、とまもりの肩が震えた。
『重てぇ』
その言葉が、殊の外痛く感じた。
「・・・そんなに、重い?」
ヒル魔は眉を寄せてまもりを見たが、彼女の視線は反らされたまま。
「私」
握りしめた手が、拳になって震えているのを見て彼はぱちりと瞬き、次いでふんと鼻を鳴らした。
<続>
まもりは幼い頃から教師か保育士になりたいと考えていて、今もそう思っている。
まだ将来の事なんて考えてない、という友人たちと将来の夢とかなりたいものとかいう話をしているうちに、誰かが言ったのだ。
そうしてゆくゆくは好きな人と結婚して子供を産んで、というような話をしていた。
そんな考えのまもりに誰かが言ったのだ。
『まもりって重いわよね』
今、その誰かが側にいるわけでもないのに、まもりはびくりと肩を震わせた。
重い、というその言葉。
友人か誰かが何かの拍子に言うくらい、自分は、自分の考え方は、『重い』のだろうか。
他人の重荷になってしまうくらいに。
側にいるのが怖くなるくらいに。
冷静に分析するもう一人の自分が呟く。
(重いよ。重いに決まってるじゃない。だって)
再び思考がはまり込む。
ぐるぐると、暗く、深く重く。
(それが重荷だったから、セナは黙ってたんじゃない)
指先が冷える。
何かに縋りたくて、伸ばしたそれに触れたのはガムで。
(セナだけじゃない。他の部員も、鈴音ちゃんも)
握りしめた瞬間、くしゃりと歪んだ包装紙に慌てて手を離した。
(・・・だから、ヒル魔くんも、いなくなったじゃない)
机に転がる歪んだパッケージ。
誰のかも知れない言葉一つで、簡単に追い詰められる。
そんな弱さが嫌で、まもりは顔を覆った。
安息の眠りは遙か彼方。
夜はまだ深く、朝はまだ遠い。
そうしてさほど日を置かず、ヒル魔は戦闘機で帰ってきた。
唖然とするまもりに放り投げられたのはビデオ。
呆れながらも手は自然に動き、当たり前のように編集作業をする。
どかりと定位置でパソコンをいじるヒル魔に安堵すると同時に。
ダメだ、とまもりは自らを諫めた。
「おい、コーヒー」
まもりは無言でキッチンへと向かう。
今、口を開いたら、何が飛び出るか分からない不安。
勿論部活のマネージャーとして、彼の行動が誰にも告げられていないことは諫めるべきだと思う。
けれど、それ以上を口にしてしまったら。
自分が寝不足でひどい顔をしている自覚があるので、まもりは俯いたままカップを差し出した。
「何シケた面してんだ」
「別に・・・」
言葉を濁しつつ、まもりはぼんやりと考える。
(ああ、別にって言うような顔してないんだろうな、今)
きっと何か言うに違いない―――そんな風に思っていたら、案の定彼は舌打ちした。
「重てぇ空気出しやがって」
「っ」
びく、とまもりの肩が震えた。
『重てぇ』
その言葉が、殊の外痛く感じた。
「・・・そんなに、重い?」
ヒル魔は眉を寄せてまもりを見たが、彼女の視線は反らされたまま。
「私」
握りしめた手が、拳になって震えているのを見て彼はぱちりと瞬き、次いでふんと鼻を鳴らした。
<続>
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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