旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「あんだけ糞シュークリーム食ってる奴なら太って当然だろ」
「・・・?!」
がば、とまもりは顔を上げた。
目の前には、にやにやと口角を上げて笑う悪魔が一人。
「今更ながら自らのカロリー過剰摂取に気がついたか。自覚が遅すぎるぞ糞シュークリームマニア」
「そ、そういう事じゃないわよ!」
誰が体重の事で相談するか、とまもりは慌てて手を振る。
大体彼はまもりの体重を―――知っているかもしれない。
そんな個人情報が知られてるなんてとんでもないことだ、と青くなるまもりにヒル魔はそのまま続ける。
「じゃあどういうことだ?」
表情はそのままに、ヒル魔はまっすぐにまもりを見据えた。
ようやくまともに見た彼の眸は、まもりを邪険にすることも厭うこともなく、ごく淡々としていた。
それに押さえ込むようにしていた言葉が引き出される。
「・・・誰に言われたかは覚えてないんだけど」
一言、そう言い置いてまもりはこのところ心に蟠っていたことを紡ぎ出した。
「私の考え方が重たいって言われたの。将来教師か保育士になってゆくゆくは好きな人と結婚して子供を産んで、っていう風に思ってただけなんだけど」
「ホー」
「私はそう思ってなかったけど、外から見たらそうなのかなって思い始めたら思い当たることもあって・・・不安になったの」
アイシールド21の正体がセナであることを部員全員で隠されたこと、彼らのためだと思ってやったことが裏目に出たこと、数え上げればいくらでも出てくる。いつもは忙しなく過ごしていて見ないふりをしていたが、ヒル魔が一言もなく不在になったことでその不安が一気に吹き出した。
それにヒル魔はコーヒーで口を潤し開く。
「そいつらにとっちゃ確かに重いだろうよ」
「え」
含みのある言葉にまもりは小首を傾げる。
僅かに眸を細めて、ヒル魔は続けた。
「将来だ未来だそういった不確定なモンに対してまだ漠然としか考えてねぇ糞ザコ共からすりゃあな」
ケケケ、と彼はいつものように笑う。
じっと見るまもりの不安を吹き飛ばすように。
「重くて結構。吹けば飛ぶような軟弱な奴はデビルバッツに必要ねぇ。しっかり根ェ張って立ってろ」
まもりはゆっくりと瞬きする。
「でも、それで言うならヒル魔くんは重そうに見えないわ」
彼は身軽で、何者にも縛られない生き方をしそうだ。
どこまでも高く遠く、遙か彼方へその身体一つで飛び立ってしまえる。
「そりゃ環境の差だ」
「環境」
繰り返すまもりからヒパソコンに視線を戻し、更に続ける。
「地に立つのと、空を飛ぶのと。どっちも軽すぎちゃ話にならねぇ」
「そうか・・・。ヒル魔くんは飛ぶ側なのね」
「安定志向のテメェにゃ無理な話だろ」
ヒル魔は空になったカップをぐい、とまもりに押しつけた。
なんだか憑き物が落ちたような気分になって、まもりは身軽に立ち上がる。
先ほどまでの重たい空気が嘘のように軽やかな動きを見せるまもりに、ヒル魔はひそりと呟いた。
「しっかり根ェ張って支えるんだな、ユグドラシル。ラグナロクは遙か彼方だ」
***
将来のこととかがまだ不安定なときに道をはっきり決めている子がいたら羨ましさと嫉妬がわき上がったりしたなあ、という学生時代を思い返したような話でした。
ユグドラシルは世界樹のこと。元ネタは北欧神話です。
「・・・?!」
がば、とまもりは顔を上げた。
目の前には、にやにやと口角を上げて笑う悪魔が一人。
「今更ながら自らのカロリー過剰摂取に気がついたか。自覚が遅すぎるぞ糞シュークリームマニア」
「そ、そういう事じゃないわよ!」
誰が体重の事で相談するか、とまもりは慌てて手を振る。
大体彼はまもりの体重を―――知っているかもしれない。
そんな個人情報が知られてるなんてとんでもないことだ、と青くなるまもりにヒル魔はそのまま続ける。
「じゃあどういうことだ?」
表情はそのままに、ヒル魔はまっすぐにまもりを見据えた。
ようやくまともに見た彼の眸は、まもりを邪険にすることも厭うこともなく、ごく淡々としていた。
それに押さえ込むようにしていた言葉が引き出される。
「・・・誰に言われたかは覚えてないんだけど」
一言、そう言い置いてまもりはこのところ心に蟠っていたことを紡ぎ出した。
「私の考え方が重たいって言われたの。将来教師か保育士になってゆくゆくは好きな人と結婚して子供を産んで、っていう風に思ってただけなんだけど」
「ホー」
「私はそう思ってなかったけど、外から見たらそうなのかなって思い始めたら思い当たることもあって・・・不安になったの」
アイシールド21の正体がセナであることを部員全員で隠されたこと、彼らのためだと思ってやったことが裏目に出たこと、数え上げればいくらでも出てくる。いつもは忙しなく過ごしていて見ないふりをしていたが、ヒル魔が一言もなく不在になったことでその不安が一気に吹き出した。
それにヒル魔はコーヒーで口を潤し開く。
「そいつらにとっちゃ確かに重いだろうよ」
「え」
含みのある言葉にまもりは小首を傾げる。
僅かに眸を細めて、ヒル魔は続けた。
「将来だ未来だそういった不確定なモンに対してまだ漠然としか考えてねぇ糞ザコ共からすりゃあな」
ケケケ、と彼はいつものように笑う。
じっと見るまもりの不安を吹き飛ばすように。
「重くて結構。吹けば飛ぶような軟弱な奴はデビルバッツに必要ねぇ。しっかり根ェ張って立ってろ」
まもりはゆっくりと瞬きする。
「でも、それで言うならヒル魔くんは重そうに見えないわ」
彼は身軽で、何者にも縛られない生き方をしそうだ。
どこまでも高く遠く、遙か彼方へその身体一つで飛び立ってしまえる。
「そりゃ環境の差だ」
「環境」
繰り返すまもりからヒパソコンに視線を戻し、更に続ける。
「地に立つのと、空を飛ぶのと。どっちも軽すぎちゃ話にならねぇ」
「そうか・・・。ヒル魔くんは飛ぶ側なのね」
「安定志向のテメェにゃ無理な話だろ」
ヒル魔は空になったカップをぐい、とまもりに押しつけた。
なんだか憑き物が落ちたような気分になって、まもりは身軽に立ち上がる。
先ほどまでの重たい空気が嘘のように軽やかな動きを見せるまもりに、ヒル魔はひそりと呟いた。
「しっかり根ェ張って支えるんだな、ユグドラシル。ラグナロクは遙か彼方だ」
***
将来のこととかがまだ不安定なときに道をはっきり決めている子がいたら羨ましさと嫉妬がわき上がったりしたなあ、という学生時代を思い返したような話でした。
ユグドラシルは世界樹のこと。元ネタは北欧神話です。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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