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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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綺羅星(4)


+ + + + + + + + + +
少々考えて、雪光は本当に言いたいことではなく言葉を選ぶ。
「・・・僕も悪魔の一員だからそう思うんじゃないかな?」
「! 雪光さんもあくまなの!?」
「そうだよ。僕は君のお父さんと一緒にアメフトやってたんだ」
「へええ!」
感心したように声を上げる妖介はやっと腑に落ちた、という様子で雪光を見ている。
「それに、今も僕たちは戦ってるんだ。だから似てるんじゃないかな」
「アメフトで?」
「ううん。僕は医者として病気と、ヒル魔さんは―――」
「おい糞ハゲ」
ひょい、とヒル魔が顔を出した。
「はい?」
指先一つで招かれて雪光は立ち上がる。
「雪光さん?」
答えは貰えないのか、と見上げる妖介に素早く囁いてその頭を撫で、雪光はヒル魔の元へと歩いて行った。


ヒル魔は生来の家族との縁が薄いか、うまくいっていないのだろうと高校時代からなんとなく思っていた。
それは雪光自身が家族との―――有り体に言えば母親との関係が上手に保てなかったところからの想像に過ぎなかったが、栗田が彼の中学校からの生活ぶりを教えてくれたときにはっきりと分かった。
雪光の母は過剰に彼に構ったが、ヒル魔の親はよく言えば放任主義で彼を構わなかったのだろう。
与えられるべき適当な愛情を得られなかった二人。
その他にも荒っぽいアメフトというスポーツをするには身体的に恵まれていなかっただとか、努力を厭わない性質だとか、頭脳派だとか色々あるが、根本にある『似ている要素』とはそうじゃないかと雪光は思っている。

昨日、到着した空港に現れたヒル魔に驚きこそすれ、雪光に嫌悪はなかった。
連れて行かれた先に当たり前のようにまもりと、彼女との間にもうけられた子供たちが出迎えた。
『おかえりなさい』
ぬくもりと光に満ちたそれは、幸せと呼ぶに相応しい光景だった。

そうして、それこそが彼が最も欲しがっていたものなのだろうと察している。

「何笑ってやがる」
ヒル魔がめざとく雪光の口元のゆるみを指摘する。
「ヒル魔さんは綺羅星を見つけたんだなあと思って」
妖介に囁いた一言。
(君のお父さんはね、家族を守るためにずっと戦ってるんだよ)
具体的に何に、とは言っていないけれどいずれそれは分かるときが来るだろう。
ヒル魔は色々と考えたようだが、ぱちりと瞬きを一つしたあとはふんと鼻を鳴らして、それきり何も言わなかった。


***
自転車操業はするべきじゃないと反省。
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