旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
晩酌を始めたヒル魔と雪光におやすみなさいの挨拶をして、アヤと妖介は自室に戻った。
寝かしつけに来たまもりは来客に落ち着かないそぶりの二人に微笑んでみせる。
「大丈夫、雪光くんは今週いっぱいうちに泊まるのよ」
明日またお話出来るわ、という母の言葉にアヤが尋ねる。
「遊びに来たの?」
「いいえ、お仕事ですって。明日聞いてみるといいわ」
「うん、お話したい」
優しく頭を撫でられて、徐々に眠気が勝ってくる。
おとなしく睡魔に身を委ねた子供たちを確認し、まもりはその額にキスを落としてリビングへと戻っていった。
そこでは上機嫌に杯を酌み交わす男が二人。
「相変わらず仕事の虫じゃねぇか」
「あはは。医者の宿命ですよ」
雪光は学会に出席するためにアメリカに来ていた。
それを聞きつけたヒル魔が自宅まで連れ込んだのだ。
「学会があるんです」
そう言いながら雪光は論文をとりだした。そのままためらいなくヒル魔に差し出す。
焦ったのはまもりの方だ。
「! 雪光くん、それは」
未発表の論文を、まもりが言うのも何だが得体の知れない夫に見せて良いのか、と。
けれど雪光は泰然と笑っている。
「大丈夫です。ヒル魔さんなら、僕に不利益になるように動かないでしょう」
「随分な買いかぶりようだな」
「事実でしょう?」
ぺらりと論文を捲るヒル魔は口角を上げたままだ。
「雪光くんはいつまでこっちにいるの?」
「一週間の予定です」
学会と大学訪問と病院見学と、ありったけが詰め込まれた日程なのだ。
ヒル魔が論文から目を離さず口を開く。
「っつーわけでその間はウチに泊める」
「え?! いや、ずっとは申し訳ないですから!」
「大丈夫よ。うちの子たちが煩いかも知れないけど、滅多にないお客様だもの」
にこにことまもりは笑顔で雪光を促す。
アメリカ生活であえるが故、知古が訪れることはあまりない。
ましてや泥門デビルバッツ時代の友人ともなれば。
「それに、うちの子たちは雪光さんとお話ししたい、って楽しみにしてたわ」
「そうですか」
ヒル魔は渡された論文を全て読み終え、雪光に戻した。
「どうです?」
ヒル魔はまもりが作ったクラッカーに指を伸ばしながら答える。
「悪くねぇ」
それに大げさではなく雪光は胸をなで下ろした。
「ヒル魔さんのお墨付きなら大丈夫ですね」
「んもう、雪光くんてばヒル魔くんを過大評価しすぎよ」
「オヤひどい言いぐさデスネ」
テメェも飲め、とヒル魔はまもりにグラスを押しつける。
手早くシェーカーを振り、まもり好みの甘いカクテルをグラスへ流し込んだ。
「こんなこと出来たんだ?」
「これくらいならちょっと覚えりゃすぐ出来んだろ」
「あはは。ヒル魔さんならバーテン出来そうですね」
「ヒル魔くんがバーテンのお店なんて怖くて行けないわよ」
詮無いような会話が軽やかに室内を満たす。
徐々に夜が更けていっても、その会話は止めどなく続いたのだった。
<続>
寝かしつけに来たまもりは来客に落ち着かないそぶりの二人に微笑んでみせる。
「大丈夫、雪光くんは今週いっぱいうちに泊まるのよ」
明日またお話出来るわ、という母の言葉にアヤが尋ねる。
「遊びに来たの?」
「いいえ、お仕事ですって。明日聞いてみるといいわ」
「うん、お話したい」
優しく頭を撫でられて、徐々に眠気が勝ってくる。
おとなしく睡魔に身を委ねた子供たちを確認し、まもりはその額にキスを落としてリビングへと戻っていった。
そこでは上機嫌に杯を酌み交わす男が二人。
「相変わらず仕事の虫じゃねぇか」
「あはは。医者の宿命ですよ」
雪光は学会に出席するためにアメリカに来ていた。
それを聞きつけたヒル魔が自宅まで連れ込んだのだ。
「学会があるんです」
そう言いながら雪光は論文をとりだした。そのままためらいなくヒル魔に差し出す。
焦ったのはまもりの方だ。
「! 雪光くん、それは」
未発表の論文を、まもりが言うのも何だが得体の知れない夫に見せて良いのか、と。
けれど雪光は泰然と笑っている。
「大丈夫です。ヒル魔さんなら、僕に不利益になるように動かないでしょう」
「随分な買いかぶりようだな」
「事実でしょう?」
ぺらりと論文を捲るヒル魔は口角を上げたままだ。
「雪光くんはいつまでこっちにいるの?」
「一週間の予定です」
学会と大学訪問と病院見学と、ありったけが詰め込まれた日程なのだ。
ヒル魔が論文から目を離さず口を開く。
「っつーわけでその間はウチに泊める」
「え?! いや、ずっとは申し訳ないですから!」
「大丈夫よ。うちの子たちが煩いかも知れないけど、滅多にないお客様だもの」
にこにことまもりは笑顔で雪光を促す。
アメリカ生活であえるが故、知古が訪れることはあまりない。
ましてや泥門デビルバッツ時代の友人ともなれば。
「それに、うちの子たちは雪光さんとお話ししたい、って楽しみにしてたわ」
「そうですか」
ヒル魔は渡された論文を全て読み終え、雪光に戻した。
「どうです?」
ヒル魔はまもりが作ったクラッカーに指を伸ばしながら答える。
「悪くねぇ」
それに大げさではなく雪光は胸をなで下ろした。
「ヒル魔さんのお墨付きなら大丈夫ですね」
「んもう、雪光くんてばヒル魔くんを過大評価しすぎよ」
「オヤひどい言いぐさデスネ」
テメェも飲め、とヒル魔はまもりにグラスを押しつける。
手早くシェーカーを振り、まもり好みの甘いカクテルをグラスへ流し込んだ。
「こんなこと出来たんだ?」
「これくらいならちょっと覚えりゃすぐ出来んだろ」
「あはは。ヒル魔さんならバーテン出来そうですね」
「ヒル魔くんがバーテンのお店なんて怖くて行けないわよ」
詮無いような会話が軽やかに室内を満たす。
徐々に夜が更けていっても、その会話は止めどなく続いたのだった。
<続>
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鳥(とり)
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女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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