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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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とろける記憶(上)

(ヒルまも)


+ + + + + + + + + +
セナの事をあんまり言うなって?
嫌だわ、ヒル魔くん。
私が私になるために通ってきた大切な過程よ?
そうそう簡単に忘れるわけないじゃない。
姉離れしたけど、気に掛けないのとは違うんだから。
ねえ。
悔しい?



汗だくで帰ってきたヒル魔に、まもりは呆れた顔をしてタオルを差し出した。
「ヒル魔くん、ほどほどって言葉知ってる?」
「俺の辞書にはねぇな」
ケケケ、と笑いながらタオルを受け取り、すれ違いざまにかすめるようにキスを。
それで誤魔化されてなるものか、といつも気を張るのだけれど勝手に赤面する頬は正直で。
背を向けてシャワーを浴びに行く背に声を掛ける。
「セナはそんなに無理しなかったわよ」
「ホホー」
「聞いてるの?」
「生憎と俺は糞チビじゃねぇんでなァ」
「んもう、またセナのことそういう風に言う!」
こんな掛け合いも日常茶飯事。


結婚こそしていないが二人で生活するようになった。
世間一般で聞くような『失敗した! こんなはずじゃなかったのに!』という負のギャップを感じることはあまりない。
高校からずっと共に在った年月が長いのもあるし、ヒル魔が意外なほどに気遣いをするというのも大きいだろう。
彼にしてみれば気遣いではないのだろうが、例えば重い荷物をさりげなく持つだとか、道路は車道側を歩くとか、言葉では滅多にないが労うことを忘れないとか、そういった細かいこと。悪い印象から入ったせいか、普通のことをしても良い印象になるのは得だな、と少々意地悪く考えつつ。
二人はごく平穏な日々を送っていた。


ある日の夜。
まもりは背を走る悪寒に立つことさえままならない状態で、ようよう帰宅した。
「そんなんだったら連絡しろ!」
迎えに行ったのに、という含みにらしくないわね、なんて最後の意地で笑みを浮かべて。
まもりはベッドに倒れ込む。
どこか心配そうなヒル魔の顔に、珍しいモノを見たわ、なんてどこかで考えながらまもりは眠りに落ちる。
深い深い眠りへ。
高熱が全ての意識をどろどろに溶かしてしまうようだった。


―――ぴしり。と。
どこかに、罅が入った音、がした。



高熱を出して唸ることしばし。
ようやく回復したまもりはヒル魔にからかい混じりの心配を受けつつ出勤しようとしたが。
「・・・おい、姉崎」
「え?」
「鞄持たないで仕事行く気か」
「え、・・・あらホント」
嫌ねえ、なんて言いながらまもりは鞄を取りに戻る。
だが、ヒル魔が背後から見ていても不自然なほど鞄を手に取るのが、遅い。
「何やってやがんだ」
「うん、あ、あった」
その言葉にヒル魔はぴんと片眉を上げた。
今、まもりは『あった』と言った。
目の前に鞄があったのに、すぐに気づかず探していたのだと彼は気づく。
「おい」
「何・・・」
ぐい、と肩を掴んで強引に唇を奪う。途端にまもりは身体を捻って声を上げた。
「いきなり何するの、ヒル魔くん!」
真っ赤になるまもりに、ヒル魔はにやりと口角を上げる。
「いってきなさいのチュウ」
「は!?」
「おらさっさと行け。仕事だろ」
「あ、・・・んもう、覚えてらっしゃい!」
そう言い捨てて真っ赤な顔で出て行くまもりを見送っていたヒル魔は。
おもむろにどこぞへと電話を掛けた。


<続>
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