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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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守護者たち(2)



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赤羽からスパイダーポイズンの技を習得し、ヒル魔を吹っ飛ばすことに成功したまもりだったが、それと同時に悪魔の逆鱗に触れたわけで。
彼女は早々に連れ去られ、翌日は二人揃って休み。
翌々日になって悄然として朝練にやってきたまもりに声を掛けようとしても悪魔のガードが堅すぎて誰も近寄れなかった。
けれど、あまりに二人の間に張り詰めた空気が漂っていたので、番場が見かねて彼からまもりを引き離し、連れ出したのだ。
「おい!」
「ヒル魔、お前は走って来い。姉崎、行くぞ」
「あ・・・」
やっとほっとしたような顔になったまもりに、ヒル魔はそれはそれは嫌そうな顔をしたが、このままの状態では何も解決しないとは分かっていたのだろう。
おとなしくランニングに行った彼を余所に、まもりも学校内では落ち着かないだろうと外の喫茶店にまで連れ出したのだった。
腰を落ち着けて話をしようにも、椅子に座るなりまもりはぼろぼろと泣き出して。
そうして、今に至る。

「すみません、でした」
「謝らなくていい」
まもりはシュークリームをぺろりと平らげて、やっと人心地ついたような顔になった。
「朝から何も食ってなかったのか?」
「とても、食べる気になれなかったんです」
まもりはぎこちなく笑った。
「色々あって・・・」
たった一日休んだだけで、窶れたような風情に番場は眉を寄せる。
よほど無体を働かれたのか、と思ってしまった。
さてそうなったとき、男の自分は聞いて良いものか、聞かされたとしてどう対応して良いのか。
一瞬のうちに色々なことを考えたのだが。
「喧嘩して閉じこもったら、そのままなんだか食べ損ないました」
思わぬ言葉に番場はまじまじとまもりを見下ろす。
「閉じこもった?」
「ええ。ヒル魔くんの自宅まで連れて行かれたんですけど、言ってる意味が全く分からなくて」
「それは・・・どういったことが」
「周囲に私がヒル魔くんの彼女だって誤解されてるって言ったら誤解じゃないって言うんですよ。違うのに」
番場はそのまま固まった。
その彼に構わず、まもりは続ける。
「そもそも家政婦代わりに働いてるだけなのに、なんで彼女なんて話になるのか分からないんです」
まもりは心底困り果てたような顔で首を傾げた。
「話し続けても全然解決しなくて、結局嫌になって閉じこもっちゃいました」
その間に私の自宅は引き払われて荷物が運び込まれるし散々です、とぼやいた上に。
首を傾げてどういうことだと思います? とまで真顔で尋ねるまもりに番場は頭痛を覚えた。
「・・・・・・客観的に見た方がいい」
「客観的?」
「主観的に言えば、姉崎は今、アルバイトとしてヒル魔の家に通っている。そうだな?」
「はい」
「客観的には、姉崎は毎日甲斐甲斐しく学校でも家でもヒル魔の世話を焼いているように見える」
「え?」
「いくらアルバイトだと言っても、それは照れ隠しの建前にしか聞こえない」
「・・・ええ!?」
飛び上がって驚くまもりに、気づいてなかったのか、と番場はこめかみを押さえた。
「だ、だって! 私たち特に付き合ってるとかそういうんじゃないんですけど?!」
「正直に言わせて貰えれば、ワールドカップユースの頃からそういう風に見えていたんだが」
「ええー!?」
「だから俺たちはてっきり付き合ってるんだとばかり」
「ち、違います違います!!」
あんな人お断りです、と首を振るまもりの顔が赤い。
彼女は何かにつけて赤面するような性質ではないはずだ。
ということは、本気で嫌ってはいないのだろう。
「そんな顔だと特にそう思われるだろうな」
まもりは困り果てたように眉を寄せた。
「ヒル魔くんも、悪ふざけにしてはたちが悪すぎます」
「何?」
また番場は固まった。
あれが悪ふざけ? どう見てもヒル魔はまもりを好きなようにしか見えないのだが。
番場は改めてよくよく二人の日常的な行動と今回の騒動とまもりの言い分を思い返して。
そうして。
「・・・もしかして姉崎は、ヒル魔が構うのが全部悪ふざけだと思っているのか?」
「そうでしょう?」
真顔で肯定したまもりに、番場は顔を覆って天を仰いだ。

<続>
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