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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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油断大敵(上)

(ヒルまも)



+ + + + + + + + + +
ひどく蒸し暑い夜だった。
まもりは、ヒル魔を探して階段を上っていた。
錆びだらけの扉が開かれ、異様なほど大きな月が天に掛かっている。
ここだ。
妙な確信を持って、まもりは声を上げる。
「―――ねえ」
けれど、ねっとりとした空気に、声までもが水気を帯びたように不鮮明になる。
「ヒル魔くん」
声を掛けても、彼からの返事はない。
狭い屋上で、彼はすぐに見つかった。
湿度が高いくせに、空は晴れて、月が皎々と眩しいくらい。
廃ビルの屋上、錆び付いたフェンス。
夜風にさえ僅かにきしみを上げるそれに、恐れもなく上体を預けて眼下を見ている後ろ姿。
月光が凝ったような髪が夜風に乱れている。
服も靴もいつも通りの黒一色だからか、月光を浴びてますます深く暗い存在になっている。
「ねえ、どうしてこんなところにいるの」
ヒル魔は答えない。
なぜだか足も止まってしまって、それ以上先に進めない。
暑い。気持ちが悪い。
風が止まってしまったら、息さえ出来なくなりそうに粘着質な空気。
溺れそうだ。
「ねえ」
不意にヒル魔の視線だけがまもりを捕らえた。
「何故そう思う」
「え?」
ヒル魔はくるりと振り返った。
月光を背中に受けて、逆光になって顔が見えない。
けれどその顔だけが笑っているように感じた。
「似合いだろうが」
それは、この場所が、ということだろうか。
それとも夜が、ということだろうか。
深い闇の中で、悪魔が嗤う。
まもりはその影を見て息をのんだ。
羽が。尾が。
人にあらざるモノが、見える。
「なあ」
ヒル魔の声が降ってくる。
いっそ優しいくらいに、甘く、深く、静かに、―――暗く。

『まもり』

「おい、いい加減に起きろ」
「・・・え」
揺すられ、意識が浮かび上がる。
見上げればそこに不機嫌そうな悪魔が一人。
上から見下ろすようにこちらを伺っている。
「・・・ここ・・・」
ぐるりと見回せば、見慣れない場所だった。


<続>
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