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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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パーフェクト・ゲーム

(ヒルまも)

+ + + + + + + + + +
夜が深くなっていく。
日に日に熱を失い、ひんやりとした空気を感じる日が多くなる。
部室の鍵を閉めながら、空を見上げた。
部員たちを全員先に帰らせて、まもりとヒル魔は二人で残ってデータ整理をしていた。
すっかり夢中になってしまい、遅くなってしまったので切り上げたのだ。
「おい、何ぼさっとしてんだ」
まもりがぼんやりと空を眺めていたら、先に出たヒル魔が訝しげに声を掛けた。
「ああ―――うん、あんまり星が見えないなあって」
降るような星空を今年の夏、見た。
全員の治療を終えて見上げたその時、街灯も家屋の灯りも何一つ人工的に照らすもののない空気の中で。
ここは明るい。
明るすぎる。
「日本の都市部は総じてそうだろ」
「ヒル魔くんの口から総じて、とか言われると変な感じ」
何も考えずに返すと、ヒル魔は小さく舌打ちしてくるりと踵を返す。
「行くぞ」
「うん」
駅までの短い距離を並んで歩く。
歩幅が違うので遠く離されがちになるはずだが、彼が合わせてくれるのか、まもりとの間にひどく距離が開くことはなかった。
「ヒル魔くんの今日の夕飯は?」
「肉」
「メニューを聞いてるの!」
「サアネ」
私生活が謎めいてる彼に他愛ない生活関係の質問をしても、大概はぐらかされる。
もう、とむくれて見せても彼は飄々としたままだ。
彼は常に、到底一般人では持ち得ない量の銃器を鞄に入れて担いでいる。
一応配慮のつもりなのか、学校指定の鞄に入れて。
「それ、重くないの?」
「鉄で出来た銃が軽いと思うか」
「んもう! だからどうして素直に『重い』って言わないの!」
「わかりきったこと聞いて来るからだ」
糞アホマネ、と常日頃から腹立たしい呼び名に更に追記されてまたもむくれる。
こんなに腹立たしい会話を繰り返すのなら話さなければいいし、第一一緒に帰らなくてもいい。
けれど彼は律儀にもまもりを駅まで送ってから帰るのだ。
彼の住居は知らないが、おそらくは学校近くに潜伏しているのだろう。
潜伏と称したのは、ただ『生活している』と言うのがなんとなくはばかられただけだ。
「ヒル魔くんって―――」
よっぽど暇なのね、と一度口を開きかけて、まもりはぱくりと口を閉じた。
彼が暇じゃないことなんて誰よりも自分が知っているのだ。そう思うのかと返されたら自らの言葉なのに否定しか出来ない。
ヒル魔はちらりとそんなまもりを見てただ鼻を鳴らした。
それが何もかも見透かすようで、本当に。
「・・・悔しい」
そう、口に出してしまえば止まらなかった。
「ナニガ」
まもりはぴたりと足を止めた。
「ヒル魔くんって、私より自分が優位だと思ってるでしょ!」
睨めば、ピンと片眉を上げたヒル魔と視線がぶつかった。
鞄のない、空いている方の手を握りしめる。
「そんなの、大間違いなんだから!」
「ホー」
ヒル魔の眸が楽しげに細められる。
「俺がテメェより優位じゃないとでも?」
「どこから来るの、その自信!!」
かっと頬を染めたまもりの手を。
「おら、次の電車に乗り遅れるぞ」
不意に、ヒル魔が握った。
「なっ・・・」
そのまま、ぐいと引かれて、まもりはつんのめりながらも歩みを再開した。
「ちょ、っと! いきなり、なんで?!」
頭にいきなり血が上って、耳の後ろで心臓がわめく音が聞こえる。
真っ赤な顔のまもりを見下ろし、彼は飄々としたまま口を開いた。
「ア? テメェがまたわかりきったことほざいて立ち止まるからだろ?」
「なにがよ!?」
混乱して半ば叫ぶまもりに、ヒル魔はにやりと口角を上げる。
「俺が優位なのはわかりきったことだ」
足を止めず、手を握ったまま、ヒル魔は告げる。
「昔から言うじゃねぇか」
至極、楽しそうに。
「惚れられた方が勝ちだってなァ」


***
このところヒル魔さんイヂメが続いたので今度は優位に(笑)
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女性
趣味:
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ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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