旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
これは天然とか鈍いとかそういう言葉を全て吹っ飛ばして、なんだかもうどうしていいのやら。
そんな彼の言葉に同意するように、妙にしみじみした声が聞こえた。
「いるよなァ、勉強は出来るのにバカな奴」
番場はもう驚かなかった。
足音がしないのも、気配がないのも知っている。
ちらりと背後に視線を飛ばせば、顔は笑っているのにそこはかとなく不機嫌な悪魔の姿。
思わず番場は口角を上げる。
「さすがに今回はお前に同情してやろう」
「え? ええ!? ヒル魔くん、なんでここに」
青ざめるまもりの頭をおもむろに撫でて、番場は立ち上がる。
「少し考えれば、姉崎ならすぐ分かる話だ」
縋るような青い視線に、少し笑って。
「まずヒル魔にも人並みの感情があるという認識を持てば、な」
そうだろう、とヒル魔の隣に立って見下ろせば、彼は鼻を鳴らしてすとんとまもりの前に座った。
「さっさと戻れ、糞丸ハゲ」
「ちょっと! ヒル魔くん、なんてこと言うの!」
焦るまもりに向かい合うヒル魔。
番場はその二人を横目に店員を捕まえ、コーヒーとシュークリームを追加注文してから立ち去った。
勿論コーヒーはブラックで、シュークリームはこの店にあるありったけの量を。
いわゆる犬も食わない話に巻き込まれた身として、自らのコーヒー代くらいはあの悪魔に負担してもらうこととしよう。
その後。
どうにかヒル魔とまもりは無事くっついたらしい。
ただ、なんだかすっかりまもりに懐かれた番場は、ことあるごとに相談をされるようになった。
「ヒル魔くんが煩いんです。男の人と二人きりで話すな、とか」
部室で洗濯物を畳みながらぼやくまもりに、データを見ていた番場は淡々と応じる。
「惚れた女が他の男と話していて心配しない奴はいないだろうな」
「っ!」
真っ赤になって洗濯物を取り落とすまもりに喉の奥で笑って。
「ヒル魔が行き過ぎたら止めてやろう」
まもりの傍らに座り、番場は洗濯物を手に取る。
「・・・お願いします」
赤面しつつも頭を下げるまもりに頷いて見せて、洗濯物を共に畳む。
「あ、私一人で大丈夫です」
「二人でやった方が早いだろう」
「ありがとうございます。番場さんって手際いいですね」
「こういうことは家の手伝いでやるだろう」
「お家のお手伝いする番場さん・・・なんか、かわいいですね」
さくさくと手際よく片付けながらそんな会話をしていたら。
「おい糞丸ハゲ、さっきのデータ・・・」
顔を出したヒル魔が、仲良く並んで洗濯物を畳む二人にぴんと片眉を上げた。
「何やってやがんだ」
「見れば分かるでしょ、洗濯物畳み」
きょとんと応じるまもりにヒル魔は舌打ちする。
「そういう意味じゃねぇ」
「じゃあどういう意味だ?」
番場はにやりと笑って見せる。それにヒル魔は額に血管を浮かせた。
まもりは二人を見比べると、不機嫌そうなヒル魔から逃れるように番場の影に隠れる。
「何のつもりだ」
機嫌の悪さを隠しもせず、まもりに手を伸ばそうとするヒル魔を、番場が遮った。
「姉崎はお前の持ち物じゃない。過度な干渉は控えろ」
「テメェ、俺に命令する気か」
「ヒル魔、お前には今までなかった立場だろうが、俺は『先輩』という奴だ」
中学からずっと、先輩のない状態で部活を続けてきたヒル魔にとって、大学にして初めて出来た先輩という存在。
厭わしい、とありありと示す彼にも番場は怯むことなどない。
ぎゅ、と背後から上着を掴まれる感覚を心地よく感じながら彼は口を開いた。
「先輩がもめ事から後輩を守るのは当然だろう」
番場はにやりとヒル魔に一段上の立場から笑ってやる。
「それに、俺と姉崎は守るという点では似たもの同士らしいしな」
「そうですよね」
笑顔でひょこりと影から顔を出したまもりにヒル魔は派手に舌打ちする。
嫉妬に満ちた視線を受けながら、番場は手にしていた最後の洗濯物を畳み終えたのだった。
***
最終回が出てからずっと一部で「番場とまもりのコンビはいいと思う! いっそ番場×まもりで!」と叫んでいたのですが、やっと形になりました。今回一番書きたかったのは洗濯物を並んで畳むまもまもコンビですwよく考えたら先輩がいない状態でずっと来たヒル魔さんは初めて出来た先輩って存在にどう接して良いかわからず戸惑えばいいと思います。
そんな彼の言葉に同意するように、妙にしみじみした声が聞こえた。
「いるよなァ、勉強は出来るのにバカな奴」
番場はもう驚かなかった。
足音がしないのも、気配がないのも知っている。
ちらりと背後に視線を飛ばせば、顔は笑っているのにそこはかとなく不機嫌な悪魔の姿。
思わず番場は口角を上げる。
「さすがに今回はお前に同情してやろう」
「え? ええ!? ヒル魔くん、なんでここに」
青ざめるまもりの頭をおもむろに撫でて、番場は立ち上がる。
「少し考えれば、姉崎ならすぐ分かる話だ」
縋るような青い視線に、少し笑って。
「まずヒル魔にも人並みの感情があるという認識を持てば、な」
そうだろう、とヒル魔の隣に立って見下ろせば、彼は鼻を鳴らしてすとんとまもりの前に座った。
「さっさと戻れ、糞丸ハゲ」
「ちょっと! ヒル魔くん、なんてこと言うの!」
焦るまもりに向かい合うヒル魔。
番場はその二人を横目に店員を捕まえ、コーヒーとシュークリームを追加注文してから立ち去った。
勿論コーヒーはブラックで、シュークリームはこの店にあるありったけの量を。
いわゆる犬も食わない話に巻き込まれた身として、自らのコーヒー代くらいはあの悪魔に負担してもらうこととしよう。
その後。
どうにかヒル魔とまもりは無事くっついたらしい。
ただ、なんだかすっかりまもりに懐かれた番場は、ことあるごとに相談をされるようになった。
「ヒル魔くんが煩いんです。男の人と二人きりで話すな、とか」
部室で洗濯物を畳みながらぼやくまもりに、データを見ていた番場は淡々と応じる。
「惚れた女が他の男と話していて心配しない奴はいないだろうな」
「っ!」
真っ赤になって洗濯物を取り落とすまもりに喉の奥で笑って。
「ヒル魔が行き過ぎたら止めてやろう」
まもりの傍らに座り、番場は洗濯物を手に取る。
「・・・お願いします」
赤面しつつも頭を下げるまもりに頷いて見せて、洗濯物を共に畳む。
「あ、私一人で大丈夫です」
「二人でやった方が早いだろう」
「ありがとうございます。番場さんって手際いいですね」
「こういうことは家の手伝いでやるだろう」
「お家のお手伝いする番場さん・・・なんか、かわいいですね」
さくさくと手際よく片付けながらそんな会話をしていたら。
「おい糞丸ハゲ、さっきのデータ・・・」
顔を出したヒル魔が、仲良く並んで洗濯物を畳む二人にぴんと片眉を上げた。
「何やってやがんだ」
「見れば分かるでしょ、洗濯物畳み」
きょとんと応じるまもりにヒル魔は舌打ちする。
「そういう意味じゃねぇ」
「じゃあどういう意味だ?」
番場はにやりと笑って見せる。それにヒル魔は額に血管を浮かせた。
まもりは二人を見比べると、不機嫌そうなヒル魔から逃れるように番場の影に隠れる。
「何のつもりだ」
機嫌の悪さを隠しもせず、まもりに手を伸ばそうとするヒル魔を、番場が遮った。
「姉崎はお前の持ち物じゃない。過度な干渉は控えろ」
「テメェ、俺に命令する気か」
「ヒル魔、お前には今までなかった立場だろうが、俺は『先輩』という奴だ」
中学からずっと、先輩のない状態で部活を続けてきたヒル魔にとって、大学にして初めて出来た先輩という存在。
厭わしい、とありありと示す彼にも番場は怯むことなどない。
ぎゅ、と背後から上着を掴まれる感覚を心地よく感じながら彼は口を開いた。
「先輩がもめ事から後輩を守るのは当然だろう」
番場はにやりとヒル魔に一段上の立場から笑ってやる。
「それに、俺と姉崎は守るという点では似たもの同士らしいしな」
「そうですよね」
笑顔でひょこりと影から顔を出したまもりにヒル魔は派手に舌打ちする。
嫉妬に満ちた視線を受けながら、番場は手にしていた最後の洗濯物を畳み終えたのだった。
***
最終回が出てからずっと一部で「番場とまもりのコンビはいいと思う! いっそ番場×まもりで!」と叫んでいたのですが、やっと形になりました。今回一番書きたかったのは洗濯物を並んで畳むまもまもコンビですwよく考えたら先輩がいない状態でずっと来たヒル魔さんは初めて出来た先輩って存在にどう接して良いかわからず戸惑えばいいと思います。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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