旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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チャイムが鳴った途端、子供たちがぱっと顔を上げた。
「おとうさんだ!」
「おとーさんが帰ってきた!」
アヤと妖介は駆け出し、まもりは護を抱いて玄関へと向かう。
開くドアを見上げて、帰宅した父親に向かって揃ってご挨拶。
「「「おかえりなさーい!」」」
「タダイマ」
相変わらず銃を抱えた格好のヒル魔は、いつもとちょっとだけ違う行動をした。
「おい」
背後に声を掛ける。開け放したままのドアから一人の男が顔を出した。
手に重そうな鞄を提げて、秀でた額を持ってひょろりとした優男。
「あら! いらっしゃい、久しぶりね!!」
まもりが驚いたように嬉しそうな声を上げる。
子供たちはきょときょとと両親と見慣れない男を見上げている。
「こんばんは」
男は子供たちの前にしゃがみ込み、穏やかに笑って日本語で挨拶した。
リビングに通された男は、来客に興味津々な子供たちに笑いかける。
「随分大きくなりましたね。アヤちゃんと妖介くんと護くん」
それぞれに頭を撫でられ、ちょっと首をすくめる。
「そうね。まだ妖介が生まれたばかりのときに会って以来だものね」
「そうですね」
「39384時間ぶりだ」
「相変わらず時間表記なんですね」
穏やかに笑みを浮かべた男の前にコーヒーが置かれる。着替え終えてリビングに戻ってきたヒル魔の前にも。
そうしてまだアヤと妖介にじっと見られていることに気づいた男は小首を傾げた。
「どうしたの?」
二人は顔を見合わせ、それからアヤが口を開いた。
「・・・あの、おじさん、お名前は?」
「! ああ、ごめんね、名乗ってなかったね」
驚いたように男は目を見開き、それから柔らかく苦笑した。
「僕は雪光学っていうんだ」
「ゆきみつ、まなぶ、さん」
妖介が繰り返すと彼は笑って頷く。
護をベビーベッドに寝かせて自らはホットミルクのカップを持ち上げたまもりが口を開いた。
「雪光くんはお医者様なのよ」
「「!!」」
その言葉を聞いた途端、アヤと妖介は飛び上がって父親が座るソファの後ろに隠れた。
「え!? どうかしました?!」
「こいつらは注射が嫌いなんだとよ」
「ははあ、無理矢理予防接種でもされましたか」
「ヒル魔くんが悪いのよ。病院に行く前に散々脅かすんだもの」
あれじゃあトラウマになっちゃうわよ、とぼやくまもりにヒル魔はふんと鼻を鳴らして取り合わない。
「おら、出てこい」
ソファの後ろに手をのばし、ヒル魔は軽々と子供たち二人を掴み上げた。
そのまま父親の膝に抱えられて二人はおずおずと雪光を見上げる。
「大丈夫、今日僕は注射器も持ってないし痛いことしないから」
怯えたまなざしで見上げられて、彼は苦笑混じりにそう告げて。
「そうだ、いいものをあげるね」
「いいもの?」
彼は鞄を探ると、小袋を二つ取り出した。
「はい。これがアヤちゃんに、こっちは妖介くんに」
透明な袋に、飴やチョコレートが入っている。
瞳を輝かせた妖介に対し、アヤはやや渋い顔になったが。
「アヤちゃんは甘いものが嫌いなんだよね? ほら、これ飴じゃなくて全部あられとかおせんべいなんだよ」
「おせんべい!」
ぱっと笑顔になったアヤに雪光は頷く。
「「ゆきみつさん、ありがとう!!」」
「どういたしまして」
「食うのは明日にしろよ」
「お母さんが預かっておくわね」
「「はーい」」
ヒル魔に言われて、まもりが子供たちから小袋を預かる。
微笑ましい光景に雪光は目を細めてそれを見ていた。
<続>
「おとうさんだ!」
「おとーさんが帰ってきた!」
アヤと妖介は駆け出し、まもりは護を抱いて玄関へと向かう。
開くドアを見上げて、帰宅した父親に向かって揃ってご挨拶。
「「「おかえりなさーい!」」」
「タダイマ」
相変わらず銃を抱えた格好のヒル魔は、いつもとちょっとだけ違う行動をした。
「おい」
背後に声を掛ける。開け放したままのドアから一人の男が顔を出した。
手に重そうな鞄を提げて、秀でた額を持ってひょろりとした優男。
「あら! いらっしゃい、久しぶりね!!」
まもりが驚いたように嬉しそうな声を上げる。
子供たちはきょときょとと両親と見慣れない男を見上げている。
「こんばんは」
男は子供たちの前にしゃがみ込み、穏やかに笑って日本語で挨拶した。
リビングに通された男は、来客に興味津々な子供たちに笑いかける。
「随分大きくなりましたね。アヤちゃんと妖介くんと護くん」
それぞれに頭を撫でられ、ちょっと首をすくめる。
「そうね。まだ妖介が生まれたばかりのときに会って以来だものね」
「そうですね」
「39384時間ぶりだ」
「相変わらず時間表記なんですね」
穏やかに笑みを浮かべた男の前にコーヒーが置かれる。着替え終えてリビングに戻ってきたヒル魔の前にも。
そうしてまだアヤと妖介にじっと見られていることに気づいた男は小首を傾げた。
「どうしたの?」
二人は顔を見合わせ、それからアヤが口を開いた。
「・・・あの、おじさん、お名前は?」
「! ああ、ごめんね、名乗ってなかったね」
驚いたように男は目を見開き、それから柔らかく苦笑した。
「僕は雪光学っていうんだ」
「ゆきみつ、まなぶ、さん」
妖介が繰り返すと彼は笑って頷く。
護をベビーベッドに寝かせて自らはホットミルクのカップを持ち上げたまもりが口を開いた。
「雪光くんはお医者様なのよ」
「「!!」」
その言葉を聞いた途端、アヤと妖介は飛び上がって父親が座るソファの後ろに隠れた。
「え!? どうかしました?!」
「こいつらは注射が嫌いなんだとよ」
「ははあ、無理矢理予防接種でもされましたか」
「ヒル魔くんが悪いのよ。病院に行く前に散々脅かすんだもの」
あれじゃあトラウマになっちゃうわよ、とぼやくまもりにヒル魔はふんと鼻を鳴らして取り合わない。
「おら、出てこい」
ソファの後ろに手をのばし、ヒル魔は軽々と子供たち二人を掴み上げた。
そのまま父親の膝に抱えられて二人はおずおずと雪光を見上げる。
「大丈夫、今日僕は注射器も持ってないし痛いことしないから」
怯えたまなざしで見上げられて、彼は苦笑混じりにそう告げて。
「そうだ、いいものをあげるね」
「いいもの?」
彼は鞄を探ると、小袋を二つ取り出した。
「はい。これがアヤちゃんに、こっちは妖介くんに」
透明な袋に、飴やチョコレートが入っている。
瞳を輝かせた妖介に対し、アヤはやや渋い顔になったが。
「アヤちゃんは甘いものが嫌いなんだよね? ほら、これ飴じゃなくて全部あられとかおせんべいなんだよ」
「おせんべい!」
ぱっと笑顔になったアヤに雪光は頷く。
「「ゆきみつさん、ありがとう!!」」
「どういたしまして」
「食うのは明日にしろよ」
「お母さんが預かっておくわね」
「「はーい」」
ヒル魔に言われて、まもりが子供たちから小袋を預かる。
微笑ましい光景に雪光は目を細めてそれを見ていた。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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