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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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綺羅星(3)



+ + + + + + + + + +
翌朝。
子供たちが起きる頃にはヒル魔も雪光もいなかった。
「おはよう。よく眠れた?」
「うん」
「雪光さんは?」
「お父さんと一緒にお出かけしたわ。夕方に帰って来るって」
「ふうん・・・」
顔を洗っていらっしゃい、と言われてアヤと妖介は足音軽く洗面台へと向かった。
朝食をとりながら会話をしていて、まもりは今回雪光に興味を覚えたのは妖介の方だと気づく。
アヤはさほどでもないが、妖介の会話の端々に雪光の事が入り込んでいるのだ。
「妖介はどうして雪光さんのことが気になるのかしら?」
「・・・うーんと、ね」
妖介は考えながら口を開いた。
「おとーさんに似てるから」
「似てる? 雪光くんがお父さんと?」
「うん」
どこが、とは言えないようだが妖介はこっくりと頷いた。
その顔に嘘偽りはない。
まもりは内心小首を傾げる。似ている、というのであれば妖介の方がよく似ている。
鋭くつり上がった瞳も、尖った鼻も。成長すれば今は丸みを帯びる手足も顎もよりヒル魔に似ていくだろう。
ヒル魔の息子なのだから、当然。
一方で雪光といえば、細い肢体は似ているだろうが性質も顔立ちも何もかもが違う。
二人が並んでいても友人というカテゴリーに当てはめることは出来るが兄弟従兄弟などには到底なり得ない。
子供の直感だろうか、とまもりはそれ以上特に追求しなかった。
したところで答えなどなかっただろうし、食事を終えた子供たちは外に遊びに行きたがっている。
まもりは息を吐き、ヒル魔たちが帰ってきたらまた話をしようと切り上げた。

道ばたの木々は徐々に色づき、この数日で葉を散らせるだろう。
夏ほどには強くなく、冬ほどには遠すぎない日の光があたりを照らしている。
きれいだな、と雪光は内心呟く。
学会が行われる町までは車で一時間はかかる場所なのだ。
窓から視線を運転席に戻す。
隣には、相変わらずガムを噛みながら滑らかに車を走らせる悪魔。
「・・・すみません、ヒル魔さんに送ってもらうなんて」
しきりに恐縮する雪光にヒル魔はぴんと片眉を上げる。
「別にかまわねぇよ。こっちに用事があるついでだ」
ケケケ、と笑うヒル魔に雪光は目を細めた。
「随分、丸くなりましたね」
ヒル魔は答えず、ガムをふくらませる。
けれど彼からの否定がなかったことで、ヒル魔も同じように自己分析しているのだろうと察して、雪光はただ笑った。

学会を終えて雪光が一人戻ると、アヤと妖介がこぞって駆けつけた。
「おかえりなさい、雪光さん!」
「おかえりー!」
「ただいま戻りました」
ふわんと笑って雪光は二人の頭を撫でる。
「学会はじょうずにはっぴょうできたの?」
「おはなしおもしろいの?」
纏わり付く子供たちを伴ってリビングに向かうと、洗濯物を畳んでいたまもりがにっこりと笑った。
「おかえりなさい。ごめんね、子供たちが煩くて」
「いいえ。全然煩くないですよ」
と、雪光の袖を妖介が引く。
「ねえねえ、雪光さん」
「どうして、おとーさんと似てるの?」
「誰が? 妖介くんが?」
「ううん。おとーさんと雪光さん」
思わずまもりを見ると、彼女は小首を傾げて口を開く。
「今朝からずっと言ってるの。ヒル魔くんと雪光くんが似てるって」
「へえ・・・」
雪光はしゃがみ込むと、妖介と目を合わせる。
「どの辺が似てるのかな?」
「・・・うーん」
「どこ、っていうのじゃないって言うのよ。だから私もよく分からなくて」
まもりのフォローを聞きながら雪光は思いを巡らせる。
似ているというのなら、きっと。

<続>
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同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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