旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
まもりはキッチンから遠目に味噌汁に口をつけたヒル魔を興味深く見つめた。
視線を感じたのか、彼は視線をまもりへと向ける。
「なんだ」
「うん、何回見ても違和感あるなあ、って」
彼が食べているのはまもりが腕を振るった和食。
いつの間にやら海外に出張し、いつの間にやら帰って来たらしい。
全く神出鬼没も甚だしい。
そうして唐突に和食が食べたいと言ったので用意した次第なのだ。
「何が」
彼は箸を止めずに会話を続ける。意外に綺麗な箸使いをするのだと知ったのは結構前だ。
それから何年を経過してもなんとなくこの距離感は変わらないままだ。
一応恋人同士というカテゴリーには属するはずなのだけれど。
「ヒル魔くんと和食って取り合わせが、よ」
金髪悪魔な彼が純和風な食事を所望することは滅多にないから、余計にそう思うのだろう。
「味付けとかも、洋食系が好みだし」
いつもなら大概がっつりとした肉料理をメインに欲しがるのだ。
間違いなく彼は日本人だと思っていたが、違うかなと思うことさえあるほどに。
さすがにそれは問いただしたことはないが。
「たまに和食が食いたいっつっただけで随分だなァ」
まもりはお盆に漬物とほうじ茶の入った急須を載せ、ヒル魔に歩み寄る。
食事も終盤に差し掛かっている。
「そんなに海外の食事が合わなかったの?」
珍しいわね、と呟いて空になった茶碗を受け取り、まもりは炊飯器に向かった。
「何でも食えなくはねぇよ」
「そうよね」
彼は甘いもの以外におおよそ嫌いな物がないため、あまり食事そのものに関心がないようなところさえあるのだ。
食に煩いまもりとは正反対。
味の好みは似ているから喧嘩にならないだけまだましか、と考えていたらヒル魔の声が意識を引き戻した。
「だが」
「うん?」
軽めにご飯をよそった茶碗をヒル魔に差し出しながらまもりは小首を傾げる。
「テメェの飯は、安心する」
「・・・!」
あんまり聞き慣れない言葉に、まもりは絶句し動きを止める。
彼に安心とかいう概念があったのか。
幸い彼女の手から既に茶碗は離れていたので、惨事は避けられた。
けれど彼は更に追い討ちをかけるのだ。
「だからこれからは毎日作れ」
「和食を!? さすがに毎日は飽きるでしょ!?」
レパートリー的にも限界が、と訴えるとヒル魔はひらひらと手を振って否定する。
「そうじゃねえ」
ヒル魔はおもむろにポケットから取り出したベルベットの小さなケースを放り投げた。
それは綺麗な放物線を描いてまもりの手に落ちる。
「え」
「テメェの好きな定番だろ?」
急須を傾けながらヒル魔が続ける。
まもりが恐る恐る開いたケースには、きらりと輝く指輪が鎮座している。
「テメェの作る飯が毎日食いたい、っつー台詞は」
立ち尽くすまもりがこちらを向いたのを見計らい、ヒル魔はお茶漬けを前に、にやりと口角を上げた。
***
『あねこん★サプライズ』提出作品その2でした。
仮タイトルが『ほうじ茶』だったあたりで私が心底タイトルをつけるのに困り果てたのが分かっていただけるかと(笑)
視線を感じたのか、彼は視線をまもりへと向ける。
「なんだ」
「うん、何回見ても違和感あるなあ、って」
彼が食べているのはまもりが腕を振るった和食。
いつの間にやら海外に出張し、いつの間にやら帰って来たらしい。
全く神出鬼没も甚だしい。
そうして唐突に和食が食べたいと言ったので用意した次第なのだ。
「何が」
彼は箸を止めずに会話を続ける。意外に綺麗な箸使いをするのだと知ったのは結構前だ。
それから何年を経過してもなんとなくこの距離感は変わらないままだ。
一応恋人同士というカテゴリーには属するはずなのだけれど。
「ヒル魔くんと和食って取り合わせが、よ」
金髪悪魔な彼が純和風な食事を所望することは滅多にないから、余計にそう思うのだろう。
「味付けとかも、洋食系が好みだし」
いつもなら大概がっつりとした肉料理をメインに欲しがるのだ。
間違いなく彼は日本人だと思っていたが、違うかなと思うことさえあるほどに。
さすがにそれは問いただしたことはないが。
「たまに和食が食いたいっつっただけで随分だなァ」
まもりはお盆に漬物とほうじ茶の入った急須を載せ、ヒル魔に歩み寄る。
食事も終盤に差し掛かっている。
「そんなに海外の食事が合わなかったの?」
珍しいわね、と呟いて空になった茶碗を受け取り、まもりは炊飯器に向かった。
「何でも食えなくはねぇよ」
「そうよね」
彼は甘いもの以外におおよそ嫌いな物がないため、あまり食事そのものに関心がないようなところさえあるのだ。
食に煩いまもりとは正反対。
味の好みは似ているから喧嘩にならないだけまだましか、と考えていたらヒル魔の声が意識を引き戻した。
「だが」
「うん?」
軽めにご飯をよそった茶碗をヒル魔に差し出しながらまもりは小首を傾げる。
「テメェの飯は、安心する」
「・・・!」
あんまり聞き慣れない言葉に、まもりは絶句し動きを止める。
彼に安心とかいう概念があったのか。
幸い彼女の手から既に茶碗は離れていたので、惨事は避けられた。
けれど彼は更に追い討ちをかけるのだ。
「だからこれからは毎日作れ」
「和食を!? さすがに毎日は飽きるでしょ!?」
レパートリー的にも限界が、と訴えるとヒル魔はひらひらと手を振って否定する。
「そうじゃねえ」
ヒル魔はおもむろにポケットから取り出したベルベットの小さなケースを放り投げた。
それは綺麗な放物線を描いてまもりの手に落ちる。
「え」
「テメェの好きな定番だろ?」
急須を傾けながらヒル魔が続ける。
まもりが恐る恐る開いたケースには、きらりと輝く指輪が鎮座している。
「テメェの作る飯が毎日食いたい、っつー台詞は」
立ち尽くすまもりがこちらを向いたのを見計らい、ヒル魔はお茶漬けを前に、にやりと口角を上げた。
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『あねこん★サプライズ』提出作品その2でした。
仮タイトルが『ほうじ茶』だったあたりで私が心底タイトルをつけるのに困り果てたのが分かっていただけるかと(笑)
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HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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