旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
その日、あかりを除いた蛭魔家全員が神妙な面持ちでリビングに集まっていた。
「確認だ」
「・・・どうしても?」
妖介が嫌そうに眉を寄せる。けれど、目の前のヒル魔は譲らない。
「万一何かがあったとき、知らないと対処出来ねぇからな」
「僕も?」
護が手を上げる。ヒル魔は首を振った。
「テメェはまだ勧められることはねぇだろうし、すぐに逃げられるだろう。だが」
視線が向かう妖介は体躯も顔つきも随分と大人びた。
スーツを着てしまえば見た目には未成年とは判らないだろう。
「テメェは間違いなく掴まって飲まされるだろう」
どん、とテーブルに置かれたのは大量の酒。
ビールに始まり日本酒から焼酎、ブランデー、ウイスキー、ワインに果てはウォッカまである。
「そこまで飲むかしら?」
「さあ」
それを覗き込むのはまもりとアヤ。
「用心に越したことはねぇ。ましてや今まで一回も飲んでないんだからなァ」
あらかじめ冷やしておいたグラスに、よく冷えたビールが注がれる。
仕事帰りの人々に愛されて止まないビールだが、今の妖介には愛しさなんてまだない。
これなら無果汁なのにオレンジ味とかいういかにも身体に悪そうなジュースの方がずっといい。
けれどグラスを押しつけられ、妖介はぐるりと家族全員の顔を見た。
「未成年なのに~・・・」
「その言い訳は結婚式場じゃ通用しねぇんだよ。とりわけ、実の姉の結婚ともなりゃな」
「ただの確認だから、飲んでも大丈夫よ」
普段はまだ未成年なのに飲酒なんて! と怒るまもりも今日ばかりは神妙に勧める。
それに嘆息し、妖介は渋々目の前のグラスに口を付けた。
じっと注目する視線を前に、全くみんなして大仰なんだから、と内心呟きながら。
アヤが結婚する事となり、家族は色々と準備に追われた。
当人は元より、その母であるまもりと弟の護も同じくらい準備に忙しなく立ち回っていた。
必然的に幼いあかりの面倒と家族全員の家事をまかなう人手はヒル魔と妖介が中心となっていて。
二人が並んで夕食を作っていた時、話の流れで結婚式当日の話になったのだ。
ヒル魔の結婚式の時、披露宴はどんちゃん騒ぎだったがそれはどこの結婚式でも大概そうだという。
今回は参加人数が少ないのでさほど荒れないだろうけれど、という会話をしていて。
不意にヒル魔が気づいたように声を上げたのだ。
「ア?」
「何? 何かあったの?」
「テメェ、今まで一度も酒飲んだことねぇのか」
「当たり前でしょ! 未成年だもの」
アヤは飲めるし、うわばみだ。
高校に入った頃から折に触れて祝いの席に出るようになったアルコール。
食前酒だからと誰に勧められても妖介が強固に断るのとは逆に、アヤは妖介の分まで口を付けるようになった。
そして思いの外アヤが酒に強いということが判明してからは、彼女だけは自宅であれば酒を飲むことに制限が無くなった。
だからアヤが酒に強いと言うことは家族と親しい友人の間では周知の事実。
けれど、妖介は全く飲んだことがないからその様子は未知数だ。
「ホー」
思案するようなヒル魔の声に、妖介は眉を寄せる。
「何かまずいの?」
「明日はテメェ学校休みだったな」
「? うん」
「メシの後、話すか」
「何を?」
「後でな」
<続>
「確認だ」
「・・・どうしても?」
妖介が嫌そうに眉を寄せる。けれど、目の前のヒル魔は譲らない。
「万一何かがあったとき、知らないと対処出来ねぇからな」
「僕も?」
護が手を上げる。ヒル魔は首を振った。
「テメェはまだ勧められることはねぇだろうし、すぐに逃げられるだろう。だが」
視線が向かう妖介は体躯も顔つきも随分と大人びた。
スーツを着てしまえば見た目には未成年とは判らないだろう。
「テメェは間違いなく掴まって飲まされるだろう」
どん、とテーブルに置かれたのは大量の酒。
ビールに始まり日本酒から焼酎、ブランデー、ウイスキー、ワインに果てはウォッカまである。
「そこまで飲むかしら?」
「さあ」
それを覗き込むのはまもりとアヤ。
「用心に越したことはねぇ。ましてや今まで一回も飲んでないんだからなァ」
あらかじめ冷やしておいたグラスに、よく冷えたビールが注がれる。
仕事帰りの人々に愛されて止まないビールだが、今の妖介には愛しさなんてまだない。
これなら無果汁なのにオレンジ味とかいういかにも身体に悪そうなジュースの方がずっといい。
けれどグラスを押しつけられ、妖介はぐるりと家族全員の顔を見た。
「未成年なのに~・・・」
「その言い訳は結婚式場じゃ通用しねぇんだよ。とりわけ、実の姉の結婚ともなりゃな」
「ただの確認だから、飲んでも大丈夫よ」
普段はまだ未成年なのに飲酒なんて! と怒るまもりも今日ばかりは神妙に勧める。
それに嘆息し、妖介は渋々目の前のグラスに口を付けた。
じっと注目する視線を前に、全くみんなして大仰なんだから、と内心呟きながら。
アヤが結婚する事となり、家族は色々と準備に追われた。
当人は元より、その母であるまもりと弟の護も同じくらい準備に忙しなく立ち回っていた。
必然的に幼いあかりの面倒と家族全員の家事をまかなう人手はヒル魔と妖介が中心となっていて。
二人が並んで夕食を作っていた時、話の流れで結婚式当日の話になったのだ。
ヒル魔の結婚式の時、披露宴はどんちゃん騒ぎだったがそれはどこの結婚式でも大概そうだという。
今回は参加人数が少ないのでさほど荒れないだろうけれど、という会話をしていて。
不意にヒル魔が気づいたように声を上げたのだ。
「ア?」
「何? 何かあったの?」
「テメェ、今まで一度も酒飲んだことねぇのか」
「当たり前でしょ! 未成年だもの」
アヤは飲めるし、うわばみだ。
高校に入った頃から折に触れて祝いの席に出るようになったアルコール。
食前酒だからと誰に勧められても妖介が強固に断るのとは逆に、アヤは妖介の分まで口を付けるようになった。
そして思いの外アヤが酒に強いということが判明してからは、彼女だけは自宅であれば酒を飲むことに制限が無くなった。
だからアヤが酒に強いと言うことは家族と親しい友人の間では周知の事実。
けれど、妖介は全く飲んだことがないからその様子は未知数だ。
「ホー」
思案するようなヒル魔の声に、妖介は眉を寄せる。
「何かまずいの?」
「明日はテメェ学校休みだったな」
「? うん」
「メシの後、話すか」
「何を?」
「後でな」
<続>
PR
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
アクセス解析
フリーエリア