旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
映画館ではたくさんの映画が上映されていた。
人影はそう多くない。朝なのがよかったのだろう。
チケット売り場の前でまもりは彼に尋ねる。
「どんなのがいいの?」
「テメェで選べ、っつったろ」
それにまもりは僅かに眉をしならせた。
自分一人で選んで見るのではなく、せっかく二人なのだから彼の見たい物も知りたいのに。
けれど彼はそんなまもりに取り合わず二人分の映画代金を握らせるとどこぞへと歩いて行ってしまった。
まもりは映画のタイトルを見比べる。
彼も好きそうで、自分も楽しめそうなものを選ぼう。
そう思うのだが、アクション系は時間が合わず、ホラーはまもりが見られない。
彼と二人でアニメというのもどうか、と思うとどれもこれも中途半端という感じで。
ふと、一番小さなスクリーンで上映される映画に目を留めた。
明るく賑々しいそれは、かつて一世を風靡したグループの歌を元にしたミュージカルを映画化したもの。
そういえば母が見たいと言っていたような気もする。
迷った挙げ句、まもりはその映画を選ぶ。
ちゃんと待ってくれていた彼に頬をゆるめたが、映画のタイトルを告げたらヒル魔はピンと片眉を上げた。
「・・・イヤだった?」
「ベツニ」
やっぱり隣を歩くこともなく歩いていってしまう彼に、選択が不味かったかと後悔する。
けれど選べと言ったのは彼で、まもりが選んだのだからそれについて文句を言われる筋合いもない。
こうなれば映画だけでも楽しもう、と半ば投げやりな気分でまもりは彼の後を追った。
そうして、隣同士で座ったけれど。
映画は公開終了間近ということで客の入りもなく、ほかにはぽつぽつと女性客がいるだけだった。
居心地が悪くないだろうか、と隣をうかがうが彼は深々と椅子に腰掛けている。
「・・・映画、よく見るの?」
「全然」
やっぱり彼の印象通り映画なんて見ないのだ、と理解して尋ねる。
「なら、なんで今日は映画なの?」
ヒル魔はつい、とまもりに視線を向けた。
「手」
「手?」
不意にヒル魔の腕が伸ばされ、膝の上にあったまもりの手を取った。
「な、に」
「外じゃそうそう出来ねぇからな」
「え・・・」
肘掛けの上で絡む指。
状況をやっと呑み込んだまもりの顔が、一気に赤面した。
「ずっとこうしたかったんだろ」
ケケケ、と笑われてまもりは赤面したまま尋ねる。
「外じゃ、ダメなの?」
「そのツラむやみやたらに晒す程寛容じゃゴザイマセンノデネ」
「え」
どんな顔なのだろう、と思わず空いた手で頬を押さえる。
汗を掻いた手のひらがぴたりと頬に貼り付いた。
やがて映画の幕が上がる。
その直前、まもりが思い出したようにヒル魔に尋ねた。
「ねえ」
「ア?」
「その眉を上げるの、機嫌が良いときと悪いときと、どっちの時なの?」
それにヒル魔はピンと片眉を上げただけで応えることはなかった。
***
当初書こうと思ったモノとは全然違うモノに・・・あれー? 映画はタイトル英訳どおり(安直)。
実はヒル魔さんは意識しすぎてて、可愛く着飾ったまもりちゃんの隣さえ歩けず、やっとの思いで手を握ったとかだと初々しいですよね。そう思って読むとギャグです、コレ。
ちなみに眉で語る、これウチの父です。
母との会話に時折眉で答えるのですが、たまに意思疎通が図れてなくて見ていて面白いのです。
人影はそう多くない。朝なのがよかったのだろう。
チケット売り場の前でまもりは彼に尋ねる。
「どんなのがいいの?」
「テメェで選べ、っつったろ」
それにまもりは僅かに眉をしならせた。
自分一人で選んで見るのではなく、せっかく二人なのだから彼の見たい物も知りたいのに。
けれど彼はそんなまもりに取り合わず二人分の映画代金を握らせるとどこぞへと歩いて行ってしまった。
まもりは映画のタイトルを見比べる。
彼も好きそうで、自分も楽しめそうなものを選ぼう。
そう思うのだが、アクション系は時間が合わず、ホラーはまもりが見られない。
彼と二人でアニメというのもどうか、と思うとどれもこれも中途半端という感じで。
ふと、一番小さなスクリーンで上映される映画に目を留めた。
明るく賑々しいそれは、かつて一世を風靡したグループの歌を元にしたミュージカルを映画化したもの。
そういえば母が見たいと言っていたような気もする。
迷った挙げ句、まもりはその映画を選ぶ。
ちゃんと待ってくれていた彼に頬をゆるめたが、映画のタイトルを告げたらヒル魔はピンと片眉を上げた。
「・・・イヤだった?」
「ベツニ」
やっぱり隣を歩くこともなく歩いていってしまう彼に、選択が不味かったかと後悔する。
けれど選べと言ったのは彼で、まもりが選んだのだからそれについて文句を言われる筋合いもない。
こうなれば映画だけでも楽しもう、と半ば投げやりな気分でまもりは彼の後を追った。
そうして、隣同士で座ったけれど。
映画は公開終了間近ということで客の入りもなく、ほかにはぽつぽつと女性客がいるだけだった。
居心地が悪くないだろうか、と隣をうかがうが彼は深々と椅子に腰掛けている。
「・・・映画、よく見るの?」
「全然」
やっぱり彼の印象通り映画なんて見ないのだ、と理解して尋ねる。
「なら、なんで今日は映画なの?」
ヒル魔はつい、とまもりに視線を向けた。
「手」
「手?」
不意にヒル魔の腕が伸ばされ、膝の上にあったまもりの手を取った。
「な、に」
「外じゃそうそう出来ねぇからな」
「え・・・」
肘掛けの上で絡む指。
状況をやっと呑み込んだまもりの顔が、一気に赤面した。
「ずっとこうしたかったんだろ」
ケケケ、と笑われてまもりは赤面したまま尋ねる。
「外じゃ、ダメなの?」
「そのツラむやみやたらに晒す程寛容じゃゴザイマセンノデネ」
「え」
どんな顔なのだろう、と思わず空いた手で頬を押さえる。
汗を掻いた手のひらがぴたりと頬に貼り付いた。
やがて映画の幕が上がる。
その直前、まもりが思い出したようにヒル魔に尋ねた。
「ねえ」
「ア?」
「その眉を上げるの、機嫌が良いときと悪いときと、どっちの時なの?」
それにヒル魔はピンと片眉を上げただけで応えることはなかった。
***
当初書こうと思ったモノとは全然違うモノに・・・あれー? 映画はタイトル英訳どおり(安直)。
実はヒル魔さんは意識しすぎてて、可愛く着飾ったまもりちゃんの隣さえ歩けず、やっとの思いで手を握ったとかだと初々しいですよね。そう思って読むとギャグです、コレ。
ちなみに眉で語る、これウチの父です。
母との会話に時折眉で答えるのですが、たまに意思疎通が図れてなくて見ていて面白いのです。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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