旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
それは昨日の話。
翌日は休みだとはいえ、夜遅くまでの部活の資料作成で些か気分が滅入っていたまもりに、ヒル魔が唐突に声を掛けたのだ。
「明日、出掛けるぞ」
「ええっ!? なんで?!」
二人でどこかに遊びに行きたい、という密やかな願いを見透かされたようで、まもりは喜びよりも先に疑問が表に出てしまった。
途端ヒル魔の片眉がピンと上がったのを見て、しまったと思う。
けれど一度発した言葉は取り戻せない。
せめて誤解されたくなくて、慌てて口を開く。
「あ、ち、違うの、出掛けるのはすごく嬉しいんだけど」
「けど?」
「いやいやいやいや! ちが、違うの!」
「何が?」
「・・・っ」
ちゃんと言おうとするのだが、焦るあまりに言葉が上手に出てこない。
たどたどしくなる言葉に真意を短く問われ、まもりは真っ赤になってしまう。
こんな時ばかり上手に喋れなくなる己が恨めしい。
部活で交わす言葉は何不自由なく、場合によっては口でなくても伝えられるのに。
じわ、と涙が浮かぶ。
それを見てヒル魔が静かに続けた。
「泣く程イヤなら別に出掛けなくても構わねぇぞ」
「ッ!! や、・・・」
まもりは言葉を探し、落ち着くために一つ深呼吸した。
それで多少頭が冷える。
色々弁解しようと説明しようと言葉を尽くすよりも、もっと。
「一緒に出掛けられるの、凄く嬉しい」
それにヒル魔はにいっと口角を上げ。
「最初からそう言えばいいんだよ糞マネ」
ケケケ、と笑ってまもりの頭をゴシャゴシャとかき回した。
そして。
緊張であまり眠れなかったまもりは、自分としては出来うる限りのおしゃれをして待ち合わせ場所に立った。
さほど待たず、待ち人を見つけて笑みを浮かべる。
「おはよう、ヒル魔くん!」
けれど待ち合わせ時間よりも前に現れた彼は特に言葉もなくさっさと歩き出した。
「どこ、行くの?」
「映画」
「映画!?」
ヒル魔が映画を見る、というのがどうにも似合わない気がして声を上げる。
しかも。
「見る映画はテメェが選べ」
「ええっ!?」
更にこちらに見たいモノを選べと言う。まもりは思わぬ展開に瞳を瞬かせた。
彼のことだから、とんでもなく荒っぽいが綿密な計算がされたデートプランを持ってやってくると思ったのに。
映画館への道のりをスタスタとあるく彼に着いていく格好で後ろを歩きながら、その背を見つめる。
せめて手を繋ぐとか、隣を歩くとかしてくれたらいいのに。
そう思うのだが、彼は頓着せず振り向きもしない。
なんだか切なくなって、まもりはため息をつきかけたが、ぐっと押さえる。
一緒に出掛けてくれるだけでもよしとしようじゃないか、と己を慰める。
ずっと、手を繋いで、ただ隣に寄り添うような、本物の恋人同士になってみたかったのだ。
結局クリスマスボウルの後も何かと忙殺されていて、休日に二人で出掛けるなんて出来なかったから。
だから、今日のことをとても楽しみにしていた。それは嘘じゃない。
そこにため息なんて零して、ヒル魔に舌打ちされたら。
想像だけで気分が滅入る。
まもりはきゅっと唇を咬んで、足早に彼の後を追った。
<続>
翌日は休みだとはいえ、夜遅くまでの部活の資料作成で些か気分が滅入っていたまもりに、ヒル魔が唐突に声を掛けたのだ。
「明日、出掛けるぞ」
「ええっ!? なんで?!」
二人でどこかに遊びに行きたい、という密やかな願いを見透かされたようで、まもりは喜びよりも先に疑問が表に出てしまった。
途端ヒル魔の片眉がピンと上がったのを見て、しまったと思う。
けれど一度発した言葉は取り戻せない。
せめて誤解されたくなくて、慌てて口を開く。
「あ、ち、違うの、出掛けるのはすごく嬉しいんだけど」
「けど?」
「いやいやいやいや! ちが、違うの!」
「何が?」
「・・・っ」
ちゃんと言おうとするのだが、焦るあまりに言葉が上手に出てこない。
たどたどしくなる言葉に真意を短く問われ、まもりは真っ赤になってしまう。
こんな時ばかり上手に喋れなくなる己が恨めしい。
部活で交わす言葉は何不自由なく、場合によっては口でなくても伝えられるのに。
じわ、と涙が浮かぶ。
それを見てヒル魔が静かに続けた。
「泣く程イヤなら別に出掛けなくても構わねぇぞ」
「ッ!! や、・・・」
まもりは言葉を探し、落ち着くために一つ深呼吸した。
それで多少頭が冷える。
色々弁解しようと説明しようと言葉を尽くすよりも、もっと。
「一緒に出掛けられるの、凄く嬉しい」
それにヒル魔はにいっと口角を上げ。
「最初からそう言えばいいんだよ糞マネ」
ケケケ、と笑ってまもりの頭をゴシャゴシャとかき回した。
そして。
緊張であまり眠れなかったまもりは、自分としては出来うる限りのおしゃれをして待ち合わせ場所に立った。
さほど待たず、待ち人を見つけて笑みを浮かべる。
「おはよう、ヒル魔くん!」
けれど待ち合わせ時間よりも前に現れた彼は特に言葉もなくさっさと歩き出した。
「どこ、行くの?」
「映画」
「映画!?」
ヒル魔が映画を見る、というのがどうにも似合わない気がして声を上げる。
しかも。
「見る映画はテメェが選べ」
「ええっ!?」
更にこちらに見たいモノを選べと言う。まもりは思わぬ展開に瞳を瞬かせた。
彼のことだから、とんでもなく荒っぽいが綿密な計算がされたデートプランを持ってやってくると思ったのに。
映画館への道のりをスタスタとあるく彼に着いていく格好で後ろを歩きながら、その背を見つめる。
せめて手を繋ぐとか、隣を歩くとかしてくれたらいいのに。
そう思うのだが、彼は頓着せず振り向きもしない。
なんだか切なくなって、まもりはため息をつきかけたが、ぐっと押さえる。
一緒に出掛けてくれるだけでもよしとしようじゃないか、と己を慰める。
ずっと、手を繋いで、ただ隣に寄り添うような、本物の恋人同士になってみたかったのだ。
結局クリスマスボウルの後も何かと忙殺されていて、休日に二人で出掛けるなんて出来なかったから。
だから、今日のことをとても楽しみにしていた。それは嘘じゃない。
そこにため息なんて零して、ヒル魔に舌打ちされたら。
想像だけで気分が滅入る。
まもりはきゅっと唇を咬んで、足早に彼の後を追った。
<続>
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鳥(とり)
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女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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