旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
私は床に放り出された痛みに、思わず顔を顰めてしまう。
「・・・アァ?」
そして上から降りてきたのは、呆れたような声。
恐る恐る伺うと、ヒル魔さんがなんて言うか・・・。
「驚い、た?」
凄く虚をつかれたような顔をしていた。
『鳩が豆鉄砲を食ったよう』っていうのは、こんな顔なんだろうなあ。
ようやく、という風情で尋ねられる。
「・・・なんだそりゃ」
もっともなその問いに私は詰まる。
「あ、あの・・・」
私が着ているのは、いわゆるベビードールと言うもの、らしい。
淡いピンク色のそれの下のブラもショーツも同じピンク色。
ガーターで釣るタイプのストッキングなんて初めて履いた。
メグさんと連れ立って喫茶店を出て、タクシーで連れて行かれた先は、落ち着いた雰囲気の外観のお店で。
でも、中は色とりどりの下着が溢れかえる不思議な空間が広がっていた。
メグさんは来慣れているらしく、顔見知りらしい店員さんと色々話をして。
そして店員さんが持ってきてくれたのがこのセットだったのだ。
見たときはカワイイと思ったけど、自分で着たら・・・なんていうか、ひどくいたたまれなかった。
でもメグさんは自信たっぷりにこれなら大丈夫、と勧めてくれたから。
『こんないかにも、っていう格好なんてされたらドン引きじゃないですか?』
『いいや、男は単純だからね』
『これでオチない男はいませんよ!』
ノリのいい店員さんもそう言ってくれたし。
だから、勇気を出して着てみたのだけれど。
「・・・あの、やっぱり、変?」
じろじろと見られて居心地が悪くなって、やっぱりやめておけば、という気持ちが強くなる。
ヒル魔さんは黙りこくっちゃったし。
「に、似合わない、よね・・・やっぱり」
自分でやったことなのに、恥ずかしくなっていたたまれなくて、涙で視界が滲む。
沈黙に耐えられなくて、私はばっと立ち上がった。
「着替えて、くる」
「ア?」
「ごめんなさい、すぐ着替えてくるから」
恥ずかしくてヒル魔さんの顔を見られない。
着替えのある部屋に向かおうとしたその時、左腕を掴まれた。
「待て」
「え」
「テメェ、それは」
瞬間、一斉に全ての照明が消えた。
音もなくふっと落ちた闇に、私たちは動きを止める。
「な、なに!? ヒル魔さん、何!?」
ヒル魔さんがしかけたのかと思って声を上げたけれど、宥めるように肩を抱かれた。
「落ち着け、停電だ」
「停電?!」
「雷が鳴ってただろ。・・・どっかの変電所あたりに落ちたんだろうなァ」
引き寄せられ、闇の中で抱きしめられる。
薄い布地だけでは夏とはいえいつの間にか冷えたらしく、ヒル魔さんの手のひらが燃えるように熱い。
けれど、その熱が安堵をもたらして私はほっと息をついた。
「ヒル魔さん、あったかい」
「ンな格好してっからだ」
呆れたような声に、やはりみっともなかったか、と恥ずかしくなって俯いた。
「うん・・・」
「どうせあの糞アマあたりが仕組んだんだろうがなァ」
「メグさんはそんな名前じゃありません!」
反射的に声を上げたら、低く笑う声が応じる。
「やっぱりアイツか」
「あ」
「テメェ一人でそんな服買えるとは思えねぇし」
「う」
全てお見通し、と言わんばかりの口調に逃げだそうと腕を突っぱねたけれど。
ヒル魔さんは離してくれなかった。
<続>
「・・・アァ?」
そして上から降りてきたのは、呆れたような声。
恐る恐る伺うと、ヒル魔さんがなんて言うか・・・。
「驚い、た?」
凄く虚をつかれたような顔をしていた。
『鳩が豆鉄砲を食ったよう』っていうのは、こんな顔なんだろうなあ。
ようやく、という風情で尋ねられる。
「・・・なんだそりゃ」
もっともなその問いに私は詰まる。
「あ、あの・・・」
私が着ているのは、いわゆるベビードールと言うもの、らしい。
淡いピンク色のそれの下のブラもショーツも同じピンク色。
ガーターで釣るタイプのストッキングなんて初めて履いた。
メグさんと連れ立って喫茶店を出て、タクシーで連れて行かれた先は、落ち着いた雰囲気の外観のお店で。
でも、中は色とりどりの下着が溢れかえる不思議な空間が広がっていた。
メグさんは来慣れているらしく、顔見知りらしい店員さんと色々話をして。
そして店員さんが持ってきてくれたのがこのセットだったのだ。
見たときはカワイイと思ったけど、自分で着たら・・・なんていうか、ひどくいたたまれなかった。
でもメグさんは自信たっぷりにこれなら大丈夫、と勧めてくれたから。
『こんないかにも、っていう格好なんてされたらドン引きじゃないですか?』
『いいや、男は単純だからね』
『これでオチない男はいませんよ!』
ノリのいい店員さんもそう言ってくれたし。
だから、勇気を出して着てみたのだけれど。
「・・・あの、やっぱり、変?」
じろじろと見られて居心地が悪くなって、やっぱりやめておけば、という気持ちが強くなる。
ヒル魔さんは黙りこくっちゃったし。
「に、似合わない、よね・・・やっぱり」
自分でやったことなのに、恥ずかしくなっていたたまれなくて、涙で視界が滲む。
沈黙に耐えられなくて、私はばっと立ち上がった。
「着替えて、くる」
「ア?」
「ごめんなさい、すぐ着替えてくるから」
恥ずかしくてヒル魔さんの顔を見られない。
着替えのある部屋に向かおうとしたその時、左腕を掴まれた。
「待て」
「え」
「テメェ、それは」
瞬間、一斉に全ての照明が消えた。
音もなくふっと落ちた闇に、私たちは動きを止める。
「な、なに!? ヒル魔さん、何!?」
ヒル魔さんがしかけたのかと思って声を上げたけれど、宥めるように肩を抱かれた。
「落ち着け、停電だ」
「停電?!」
「雷が鳴ってただろ。・・・どっかの変電所あたりに落ちたんだろうなァ」
引き寄せられ、闇の中で抱きしめられる。
薄い布地だけでは夏とはいえいつの間にか冷えたらしく、ヒル魔さんの手のひらが燃えるように熱い。
けれど、その熱が安堵をもたらして私はほっと息をついた。
「ヒル魔さん、あったかい」
「ンな格好してっからだ」
呆れたような声に、やはりみっともなかったか、と恥ずかしくなって俯いた。
「うん・・・」
「どうせあの糞アマあたりが仕組んだんだろうがなァ」
「メグさんはそんな名前じゃありません!」
反射的に声を上げたら、低く笑う声が応じる。
「やっぱりアイツか」
「あ」
「テメェ一人でそんな服買えるとは思えねぇし」
「う」
全てお見通し、と言わんばかりの口調に逃げだそうと腕を突っぱねたけれど。
ヒル魔さんは離してくれなかった。
<続>
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鳥(とり)
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女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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