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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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夏色コントラスト(1)

(ヒルまもパロ)
※猫の恩返しシリーズの裏『スウィート・クローバー』の続きです


+ + + + + + + + + +
大学のテストもどうにか無事に終了し、私はほっと安堵の息をついた。
あとはレポートの結果次第だけれど、問題はないはずだ。
私は鼻歌交じりにテキストや辞書をしまい、席を立つ。
そして校門まで、すっかり夏の気配を感じる空を眺めながら歩いていたら。
「姉崎さん」
「はい?」
掛けられた声は聞き覚えがない。
首を巡らせると、校門のところに立っている同じ年くらいの青年と目があった。
「突然すみません。あの、僕はK芸大の吉野といいます」
「はい」
一体何の用事だろう、と小首を傾げる私に、彼は照れたように笑う。
「実は、僕は絵を描いているんです。つい先日姉崎さんをお見かけして、是非描かせて頂きたいと思ったのでお願いしに伺ったんです」
「えっ?!」
厚かましいし突然の事なんですが、と恐縮されるが、それ以上に私は戸惑う。
一体何で何の面識もない私を、という気持ちの方が強い。
不審そうな気配が伝わったのか、彼は慌てて手を振る。
「や! あの、やましいことではないんです! 絵のインスピレーションを得たというか!」
慌てる彼は私を見たという詳細を教えてくれる。
「たまたま道を歩いていたら、あなたの近くで子供が転んで。そうしたらあなたが助けて公園の蛇口まで連れて行ってあげていて、優しい人だなあ、と・・・」
「え、いやいや・・・」
ごく当たり前の事をしただけだし、それを褒められても面映ゆい。
「デッサンだけでもいいんです、是非一枚描かせてください!」
「でも」
「あ! あ、もちろん洋服は着たままで! っていうかそんなに近づきませんから!」
必死な様子に私は困ってしまって、どうしようかと思案する。
夏休みまではもう日がない。
それこそ恥ずかしい話、ヒル魔さんの事で頭がいっぱいな状態でじっとしている様を描かれるなんて、恥ずかしい。
もちろん頭の中が見える訳じゃないけれど、考えてることは顔に出る、って言うし。
「あの! これ、僕のメルアドと電話番号です! もし気が向いて描かせてくださってもいいのなら連絡下さい!」
即答出来ない私の手に、メモが押しつけられる。
「じゃあ、待ってます! よろしくお願いします!」
がば、と勢いよく頭を下げてそれから走って行ってしまった彼に、途方に暮れていたら。
「どうしたの、姉崎さん」
「え」
聞いた事のある声がしたかと思うと、す、と私の手からメモが消えた。

<続>
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