旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
慌てて首を巡らせると、そこには嫣然と笑う美女。
長い金髪をバレッタで留め、かっちりとしたパンツスーツを着こなしている。
「メグさん!」
そう呼んでからしまった、と思う。
年上で一度話した事があるとはいえ、そう親しくもない年下の女に名前で呼ばれたら不快じゃないかしら。
けれどメグさんはにっこり笑ってくれた。
「こんにちは。久しぶりね。名前はヒル魔から聞いたのかしら?」
「え、あ、はい、そうです」
ふと彼女は空を仰ぐ。
「―――暑いわね。場所、移りましょうか」
眩しい日差しはアスファルトに濃い影を落としている。
私はともかく、メグさんはスーツ姿だ。きっと暑いだろう。
とりあえず学校側の喫茶店の扉をくぐる。
「いらっしゃい。・・・おや」
「久しぶりね」
メガネのマスターがメグさんを見て眉を上げた。顔見知りみたい。
「メグさん、この大学だったんですか?」
「ええ、そうよ」
道理で校内の様子に詳しいわけだ。前回助けられたお礼を言っていなかった事を思い出す。
「あの、遅くなりましたけど、助けてくださってありがとうございました」
「助ける? ・・・ああ、こないだのね」
「ええ。父に捕まらずに済みました」
「あれを助けた、というのは少し違う気もするわね」
苦笑混じりで彼女はコーヒーを頼んだ。
私がミルクティをお願いすると、せっかくだからケーキも食べなさいと勧められる。
「ここはアップルパイが評判なのよ」
「え、でもメグさんは」
「私は甘い物は得意じゃないの」
言葉通り、メグさんは程なく運ばれてきたコーヒーにも何も入れず口を付けている。
私はミルクティにもどっさり砂糖を入れて飲むから、ブラックなんて無理。
オススメのアップルパイが運ばれてきたので口を付ける。
「おいしいです!」
「でしょう! うちの一番人気ですよ」
マスターが嬉しそうに応じてくれた。メグさんは肩を軽くすくめただけだ。
夢中になってアップルパイを食べていたら、メグさんが再び口を開いた。
「どうするんだい?」
「え?」
何が、と言いかけて彼女の手にあるメモに視線が行く。
「あ」
「まあ、悪そうな子じゃなかったけどねぇ」
少し砕けた口調で呟く彼女は、いかにも大人の女性だ。
隙もなく施された化粧も、綺麗に整えられた爪も、無造作なようできちんと手入れがされた髪も、すべてが年相応というか。
私がどうにかしてヒル魔さんと釣り合いたいと思って選ぶ格好に滲む不自然さがなくて。
「・・・いいなあ」
「何が?」
「えっ、あ・・・」
疑問が口をついて出てしまったらしい。すかさず問い返されて、私ははっと我に返った。
じっと言葉を待つ視線に、私は話を逸らそうと考えたけれど結局はいい言葉が浮かばなくて、素直に口にする。
「あの・・・メグさんが大人で、羨ましいなって思いました」
「大人?」
「はい。落ち着きっていうか・・・余裕っていうか・・・」
メグさんは小首を傾げてカップに唇を寄せる。
その仕草が、とても色っぽく見えて。
そこでやっと的確な表現が浮かぶ。
「なんていうか、すごく色気があるんですよね」
「色気、ねえ」
「あっ! その、変な意味じゃなくて、あの・・・」
戸惑う私に、メグさんはカップを下ろして笑った。
<続>
長い金髪をバレッタで留め、かっちりとしたパンツスーツを着こなしている。
「メグさん!」
そう呼んでからしまった、と思う。
年上で一度話した事があるとはいえ、そう親しくもない年下の女に名前で呼ばれたら不快じゃないかしら。
けれどメグさんはにっこり笑ってくれた。
「こんにちは。久しぶりね。名前はヒル魔から聞いたのかしら?」
「え、あ、はい、そうです」
ふと彼女は空を仰ぐ。
「―――暑いわね。場所、移りましょうか」
眩しい日差しはアスファルトに濃い影を落としている。
私はともかく、メグさんはスーツ姿だ。きっと暑いだろう。
とりあえず学校側の喫茶店の扉をくぐる。
「いらっしゃい。・・・おや」
「久しぶりね」
メガネのマスターがメグさんを見て眉を上げた。顔見知りみたい。
「メグさん、この大学だったんですか?」
「ええ、そうよ」
道理で校内の様子に詳しいわけだ。前回助けられたお礼を言っていなかった事を思い出す。
「あの、遅くなりましたけど、助けてくださってありがとうございました」
「助ける? ・・・ああ、こないだのね」
「ええ。父に捕まらずに済みました」
「あれを助けた、というのは少し違う気もするわね」
苦笑混じりで彼女はコーヒーを頼んだ。
私がミルクティをお願いすると、せっかくだからケーキも食べなさいと勧められる。
「ここはアップルパイが評判なのよ」
「え、でもメグさんは」
「私は甘い物は得意じゃないの」
言葉通り、メグさんは程なく運ばれてきたコーヒーにも何も入れず口を付けている。
私はミルクティにもどっさり砂糖を入れて飲むから、ブラックなんて無理。
オススメのアップルパイが運ばれてきたので口を付ける。
「おいしいです!」
「でしょう! うちの一番人気ですよ」
マスターが嬉しそうに応じてくれた。メグさんは肩を軽くすくめただけだ。
夢中になってアップルパイを食べていたら、メグさんが再び口を開いた。
「どうするんだい?」
「え?」
何が、と言いかけて彼女の手にあるメモに視線が行く。
「あ」
「まあ、悪そうな子じゃなかったけどねぇ」
少し砕けた口調で呟く彼女は、いかにも大人の女性だ。
隙もなく施された化粧も、綺麗に整えられた爪も、無造作なようできちんと手入れがされた髪も、すべてが年相応というか。
私がどうにかしてヒル魔さんと釣り合いたいと思って選ぶ格好に滲む不自然さがなくて。
「・・・いいなあ」
「何が?」
「えっ、あ・・・」
疑問が口をついて出てしまったらしい。すかさず問い返されて、私ははっと我に返った。
じっと言葉を待つ視線に、私は話を逸らそうと考えたけれど結局はいい言葉が浮かばなくて、素直に口にする。
「あの・・・メグさんが大人で、羨ましいなって思いました」
「大人?」
「はい。落ち着きっていうか・・・余裕っていうか・・・」
メグさんは小首を傾げてカップに唇を寄せる。
その仕草が、とても色っぽく見えて。
そこでやっと的確な表現が浮かぶ。
「なんていうか、すごく色気があるんですよね」
「色気、ねえ」
「あっ! その、変な意味じゃなくて、あの・・・」
戸惑う私に、メグさんはカップを下ろして笑った。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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