旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
私は俯いて、口を開いた。
「私は・・・全然色気がないから・・・」
「え?」
「その、・・・どうしたらいいのかよく判らなくて・・・」
段々声が尻すぼみになるのが自分でも判る。
同級生に尋ねようにも、突然何を言い出すのか、と呆れられるかからかわれるか。
ハッキリと言わない様子に、メグさんは察してくれたようだった。
「・・・ヒル魔と一緒に住んでるんじゃないのかい?」
「一緒に生活してるんですけど・・・」
「まさか、まだシてない、とか?」
そんなまさか、と言いそうなメグさんの前で俯いてしまう。
多分顔が凄く熱いから、真っ赤だと思う。
「・・・驚いた」
感心したような声に、ちらりと視線を向ければ、言葉通り目を丸くしたメグさんがそこにいた。
視線が絡むと、その丸い瞳が笑みの形に細められる。
「かわいいじゃないか」
「っ?! ど、どこがです?!」
唐突な褒め言葉に飛び上がる私に、メグさんは声を上げて笑った。
「色々さ。ヒル魔もあんたもね。・・・ああ、あんたってのは失礼か」
「あの、まもりと呼んでください」
「まもり嬢ちゃんね」
その声が優しくて、頼りになるお姉さんが出来たような気分になる。
身近にいなかった存在だ。そして私は半ば勢いで尋ねた。
「メグさん、どうやったら色気って出せるようになるんですか?」
「は?」
「その・・・だって、おかしいんですよね? 一緒に生活してるのに何もないって・・・」
「ああ、いやそれは・・・人それぞれだからね」
「ヒル魔さんには、夏休みまで学業優先って言われてて」
「へえ? でも、もう夏休み目前じゃないか」
楽しそうな視線を受けて、私は言葉に詰まる。
「そ、そうなんです。だから困ってて・・・」
勢いのままに押し倒されたあの時とは違って、いつスるのか、という気持ちだけが先に立って非常に落ち着かない。そんなそわそわした気分も、ここ最近は意識的にテストに向けて頑張っていたから表面上には出てこなかった。
ところがもう、今日でテストが終わってしまった。
これで実質明日から夏休みみたいなものだ。
だから今日帰宅した途端に押し倒されるのか、それともちゃんと夏休みに入ってからなのか、それともあれはただ単にあの場限りの言葉だったのか、と考え始めたらきりがない。
変に意識して前回みたいに空回りするのも恥ずかしいし。
かといって、平然とも出来ない。今だって、想像するだけで身じろぎできない程に赤面してしまうのに。
「それは嫌な事なのかい?」
不思議そうなメグさんの声に、私はぱっと顔を上げた。
「え?! 嫌、じゃないです!」
咄嗟にそう声を上げてしまった。メグさんは小さく吹き出す。
「なら、色々考えるんじゃなくて流れに任せればいいじゃないか」
「で、も」
戸惑ったような声を上げる私に、メグさんは切っ掛けねぇ、と少し考えて。
「これから時間はあるかい?」
「? はい」
「じゃあ、ちょっと来なさいな」
にんまり、とどこか楽しげな笑みを浮かべ、メグさんは伝票を引き寄せた。
「善は急げっていうしね」
外は夕方から激しい雷雨に見舞われていた。
時折白む空に、未だ雷が鳴っているのだと知る。
いつもなら不安になる天気なのだけれど、今日の私はそれどころじゃなかった。
「タダイマ」
聞こえてきた声に、私はぴょんと飛び上がった。
「おかえりなさい・・・」
扉越しに声を掛けるけれど、ひたすら恥ずかしい。
自分の格好を見れば見るほどいたたまれない。
でも、せっかくメグさんが選んでくれたんだし、と思って立ち上がり、玄関に顔だけ出した。
身体は扉に隠すような格好で。
「ア? テメェ何コソコソしてんだ」
案の定ヒル魔さんは不審そうに眉を寄せた。
「や、なんでもない、デス」
「あからさまに変じゃねぇか」
いつもなら近寄って鞄を受け取るのだけれど、今日ばかりは無理だ。
不審がられるのも無理はない。
ヒル魔さんはピンと片眉を上げて、大股に私に近づいてきた。
そして勢いよく扉を開かれてしまう。
「ひゃっ!」
あからさまに体格差があるから、私は勢いに負け、よろけてその場に尻餅をついてしまった。
<続>
「私は・・・全然色気がないから・・・」
「え?」
「その、・・・どうしたらいいのかよく判らなくて・・・」
段々声が尻すぼみになるのが自分でも判る。
同級生に尋ねようにも、突然何を言い出すのか、と呆れられるかからかわれるか。
ハッキリと言わない様子に、メグさんは察してくれたようだった。
「・・・ヒル魔と一緒に住んでるんじゃないのかい?」
「一緒に生活してるんですけど・・・」
「まさか、まだシてない、とか?」
そんなまさか、と言いそうなメグさんの前で俯いてしまう。
多分顔が凄く熱いから、真っ赤だと思う。
「・・・驚いた」
感心したような声に、ちらりと視線を向ければ、言葉通り目を丸くしたメグさんがそこにいた。
視線が絡むと、その丸い瞳が笑みの形に細められる。
「かわいいじゃないか」
「っ?! ど、どこがです?!」
唐突な褒め言葉に飛び上がる私に、メグさんは声を上げて笑った。
「色々さ。ヒル魔もあんたもね。・・・ああ、あんたってのは失礼か」
「あの、まもりと呼んでください」
「まもり嬢ちゃんね」
その声が優しくて、頼りになるお姉さんが出来たような気分になる。
身近にいなかった存在だ。そして私は半ば勢いで尋ねた。
「メグさん、どうやったら色気って出せるようになるんですか?」
「は?」
「その・・・だって、おかしいんですよね? 一緒に生活してるのに何もないって・・・」
「ああ、いやそれは・・・人それぞれだからね」
「ヒル魔さんには、夏休みまで学業優先って言われてて」
「へえ? でも、もう夏休み目前じゃないか」
楽しそうな視線を受けて、私は言葉に詰まる。
「そ、そうなんです。だから困ってて・・・」
勢いのままに押し倒されたあの時とは違って、いつスるのか、という気持ちだけが先に立って非常に落ち着かない。そんなそわそわした気分も、ここ最近は意識的にテストに向けて頑張っていたから表面上には出てこなかった。
ところがもう、今日でテストが終わってしまった。
これで実質明日から夏休みみたいなものだ。
だから今日帰宅した途端に押し倒されるのか、それともちゃんと夏休みに入ってからなのか、それともあれはただ単にあの場限りの言葉だったのか、と考え始めたらきりがない。
変に意識して前回みたいに空回りするのも恥ずかしいし。
かといって、平然とも出来ない。今だって、想像するだけで身じろぎできない程に赤面してしまうのに。
「それは嫌な事なのかい?」
不思議そうなメグさんの声に、私はぱっと顔を上げた。
「え?! 嫌、じゃないです!」
咄嗟にそう声を上げてしまった。メグさんは小さく吹き出す。
「なら、色々考えるんじゃなくて流れに任せればいいじゃないか」
「で、も」
戸惑ったような声を上げる私に、メグさんは切っ掛けねぇ、と少し考えて。
「これから時間はあるかい?」
「? はい」
「じゃあ、ちょっと来なさいな」
にんまり、とどこか楽しげな笑みを浮かべ、メグさんは伝票を引き寄せた。
「善は急げっていうしね」
外は夕方から激しい雷雨に見舞われていた。
時折白む空に、未だ雷が鳴っているのだと知る。
いつもなら不安になる天気なのだけれど、今日の私はそれどころじゃなかった。
「タダイマ」
聞こえてきた声に、私はぴょんと飛び上がった。
「おかえりなさい・・・」
扉越しに声を掛けるけれど、ひたすら恥ずかしい。
自分の格好を見れば見るほどいたたまれない。
でも、せっかくメグさんが選んでくれたんだし、と思って立ち上がり、玄関に顔だけ出した。
身体は扉に隠すような格好で。
「ア? テメェ何コソコソしてんだ」
案の定ヒル魔さんは不審そうに眉を寄せた。
「や、なんでもない、デス」
「あからさまに変じゃねぇか」
いつもなら近寄って鞄を受け取るのだけれど、今日ばかりは無理だ。
不審がられるのも無理はない。
ヒル魔さんはピンと片眉を上げて、大股に私に近づいてきた。
そして勢いよく扉を開かれてしまう。
「ひゃっ!」
あからさまに体格差があるから、私は勢いに負け、よろけてその場に尻餅をついてしまった。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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