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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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ストローフィ・リング(29)


+ + + + + + + + + +
まもりはじっと少女の顔を見る。
面長、秀でた額、意志の強そうな瞳。
不意に面影が重なる。
「!!」
咄嗟に立ち上がろうとしたが、一瞬早く女性の手がまもりの腕を掴んで押しとどめた。
「ほのか」
ほぼ同時に聞こえた声に、まもりはびくりと震え、その主に視線を向ける。
「パパ!」
「こっちにおいで」
「はーい」
その行方を視線で追う。
呼び寄せた娘を抱き上げ、こちらを見ているのは、私服姿の雪光の姿だった。
一体何を言われるのかと青ざめるまもりに彼は痛ましそうな表情を見せ、静かに目礼すると娘を抱いたまま公園を出て行く。
「・・・彼は直接あなたに謝りたいと言ってました」
静かな声に、まもりは視線を女性に戻す。
「おそらく蛭魔妖一も同様でしょう」
淡々と喋る女性は、真っ直ぐにまもりを見つめる。
「私の名前は雪光聡子、彼―――雪光学の妻です。旧姓は九鬼」
「!」
まもりの瞳が見開かれる。
それでは、彼女がヒル魔と結婚したと噂されていた女性なのか。
「私は以前、貴方が勤めていたあの会社で秘書として働いていました」
「・・・それが、一体何だというんです」
固く強ばった声に構わず彼女は続けた。
「私が蛭魔妖一と出会ったのは、十年前のアメリカです」
そうして彼女は静かに呼ぶ、
「まもり、さん」
腕を掴む手に力が籠もる。
まもりはその力に戻されるように座った。
「私はあなたの名前はずっと前から存じてました」
「それは、雪光さんに聞いて・・・」
「いいえ、その前から。アメリカで出会ったとき、既に彼はあの指輪を嵌めていましたから」
まもりは息を呑む。
「あの石はあなたの名前を表すリガード・リング。・・・彼は、あの時からずっと、それを身につけていたんです」

聡子は記憶を辿る。
アメリカの大学で学んでいた聡子は、同じキャンパスで学ぶ風変わりな男の噂を聞きつけた。
曰く、悪魔にしか見えない男が銃を片手に歩いているという。
悪魔にしか見えない、というのはどの程度だろうという純粋なる興味で目にした『悪魔』こと蛭魔妖一の姿。
「ホント、悪魔だわ」
思わず呟いた彼女の声を聞きつけたヒル魔はつかつかと彼女に歩み寄った。
「テメェ初対面の人間に随分な口の利き方だナァ」
「あら日本人だったの」
銃を持っているのにそう怯えもせず返したのが面白かったのか、それから聡子と彼とは何度となく顔を合わせるようになった。
話してみれば、破天荒ではあったが相当に明晰な頭脳の持ち主なのはすぐ知れた。
気づけば同郷のよしみもあったか、何かとつるんで行動を共にすることも多くなる。
悪魔じみた彼の周囲には悪い男に引っかかりたいという破滅願望的な女性が数多く現れたが、そのどれにも靡くことなく、けれど自ら粉を掛けるような様子もなかった。
「女に興味ないの?」
「そうじゃねぇ」
「もしかして私が狙い?! キャー!」
巫山戯て声を上げる聡子にヒル魔の視線は冷たい。
「ンな訳ねぇだろうが」
心底嫌そうに言われ、それもまた失敬だと憤慨する。
そしてその指に指輪があるのに気づいた。
「あら、結婚してるの? それとも婚約だけ?」
「どっちでもねぇ。女よけだ」
「あーら、それなら心に決めた女がいるんじゃない」
「サアネ」
その指輪は、六つの宝石が並ぶ珍しいデザインの物だった。
それを慈しむように撫でた指先だけが、なぜか記憶に褪せることなく残っている。

<続>
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同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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