旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
忌まわしさが先に立ち、手に取ることも出来ず。
ただ硬直するまもりの視界にある小さな金属の輪。
瞬きするのも忘れて凝視してしまい、そして、中に字が彫られていないのに気づいた。
愛を誓う指輪であるなら当然だろう相手の名前も、何も。
表に並ぶのは六つの宝石。
長く嵌められたそれは、完全な円ではなく変形していて、細かい傷が幾つも付いていた。
時を長く刻んだものであり、何かの意味のある物だと判断し、業者は処分しなかったのだろう。
まもりはじっとそれらを見る。
こんなにじっくりとこの指輪を見るなんて初めてだ。
「・・・リガード・リング?」
けれどそれにしては使われている石の種類が違う。
左から、ムーンストーン・アメシスト・ムーンストーン・オパール・ルビー・・・後一つがよく判らない。
普通リガード・リングだと『REGARD』になるように並べているのだけれど。
逆にしても違うようだし、同じように石を並べるディアレスト・リングでもない。
まもりは各々の宝石の英語の綴りを思い浮かべ。
そうして、愕然とする。
これは。
まもりは上着を羽織り、外に出た。
家で一人じっとしていられなくて、歩く。
ついでに先ほどの請求書を手に銀行に行き、振り込みを済ませた。
一人で外を歩くなんて久しぶりだ。
今まで、一人で外にいると何があるか判らない、と危惧していた両親によって一人での外出は禁じられていた。
実際禁じられなくてもまもりは一人ではおそらく外出なんてしなかっただろうけど。
「・・・」
自分のペースで歩き、辺りを見回す。
休日のせいか、通りがかった公園では子供達が声を上げて走り回っていた。
「あーっ!!」
一際高い女の子の声。
一体何があったのだろう、と視線を巡らせると、まん丸にした目にぶつかる。
その指が、まもりを真っ直ぐに指さしていた。
「え?」
「おねーさん! あのおねーさんだよ! ママ!!」
呼ぶ声に、まもりより少々年若いくらいの女性が現れる。
「どうしたの、ほのか」
「ほら、あのおねーさん!」
人を指さしてはいけません、なんて言いながら彼女は少女の視線を辿り。
そうして、まもりを見て女の子と同じように目を瞠った。
まもりの元に駆け寄ったほのかという少女に手を引かれ、まもりはベンチに腰掛けた。
「お茶をどうぞ」
「どうぞ!」
持参したらしい水筒から注がれ、差し出されたのはアップルティー。
「あ・・・ありがとうございます」
断るタイミングを逸し、まもりはそれに口を付ける。
甘いそれは暖かく、ほっと息をつく。
その様子を微笑んでみていた女性が口を開いた。
「以前、道で倒れたことがあったでしょう?」
「あの時ほのかとママがきゅーきゅーしゃ呼んだの!」
「え!?」
驚くまもりに、女性は頷いた。
「そうです。意識がなかったので、大変だと思って・・・その後お見舞いに伺ったんですが、もう退院したとだけ聞いて」
「ほのか、すっごく心配したんだよー!」
ぷー、と膨れる娘にそんな風に言っちゃダメよ、と諭す女性。
「そう、来てくれてたの・・・ありがとう。ごめんなさいね」
二人にまもりは微笑んで頭を下げる。慌てて女性は首を振った。
「いえいえ! こちらが勝手に伺っただけですから! 退院できて、お元気になったんだってほっとしたんですよ」
そんな母親に唇を尖らせ、少女は更に言いつのる。
「えー? だって、パパもヨウイチおじさんも、おねーさんがいなくなったって・・・」
「『いなくなった』?」
まもりはその言葉を繰り返す。
退院したのではなく、『いなくなった』と。
しかも母親ではなく、父親と、『ヨウイチ』と呼ばれる男性と。
<続>
ただ硬直するまもりの視界にある小さな金属の輪。
瞬きするのも忘れて凝視してしまい、そして、中に字が彫られていないのに気づいた。
愛を誓う指輪であるなら当然だろう相手の名前も、何も。
表に並ぶのは六つの宝石。
長く嵌められたそれは、完全な円ではなく変形していて、細かい傷が幾つも付いていた。
時を長く刻んだものであり、何かの意味のある物だと判断し、業者は処分しなかったのだろう。
まもりはじっとそれらを見る。
こんなにじっくりとこの指輪を見るなんて初めてだ。
「・・・リガード・リング?」
けれどそれにしては使われている石の種類が違う。
左から、ムーンストーン・アメシスト・ムーンストーン・オパール・ルビー・・・後一つがよく判らない。
普通リガード・リングだと『REGARD』になるように並べているのだけれど。
逆にしても違うようだし、同じように石を並べるディアレスト・リングでもない。
まもりは各々の宝石の英語の綴りを思い浮かべ。
そうして、愕然とする。
これは。
まもりは上着を羽織り、外に出た。
家で一人じっとしていられなくて、歩く。
ついでに先ほどの請求書を手に銀行に行き、振り込みを済ませた。
一人で外を歩くなんて久しぶりだ。
今まで、一人で外にいると何があるか判らない、と危惧していた両親によって一人での外出は禁じられていた。
実際禁じられなくてもまもりは一人ではおそらく外出なんてしなかっただろうけど。
「・・・」
自分のペースで歩き、辺りを見回す。
休日のせいか、通りがかった公園では子供達が声を上げて走り回っていた。
「あーっ!!」
一際高い女の子の声。
一体何があったのだろう、と視線を巡らせると、まん丸にした目にぶつかる。
その指が、まもりを真っ直ぐに指さしていた。
「え?」
「おねーさん! あのおねーさんだよ! ママ!!」
呼ぶ声に、まもりより少々年若いくらいの女性が現れる。
「どうしたの、ほのか」
「ほら、あのおねーさん!」
人を指さしてはいけません、なんて言いながら彼女は少女の視線を辿り。
そうして、まもりを見て女の子と同じように目を瞠った。
まもりの元に駆け寄ったほのかという少女に手を引かれ、まもりはベンチに腰掛けた。
「お茶をどうぞ」
「どうぞ!」
持参したらしい水筒から注がれ、差し出されたのはアップルティー。
「あ・・・ありがとうございます」
断るタイミングを逸し、まもりはそれに口を付ける。
甘いそれは暖かく、ほっと息をつく。
その様子を微笑んでみていた女性が口を開いた。
「以前、道で倒れたことがあったでしょう?」
「あの時ほのかとママがきゅーきゅーしゃ呼んだの!」
「え!?」
驚くまもりに、女性は頷いた。
「そうです。意識がなかったので、大変だと思って・・・その後お見舞いに伺ったんですが、もう退院したとだけ聞いて」
「ほのか、すっごく心配したんだよー!」
ぷー、と膨れる娘にそんな風に言っちゃダメよ、と諭す女性。
「そう、来てくれてたの・・・ありがとう。ごめんなさいね」
二人にまもりは微笑んで頭を下げる。慌てて女性は首を振った。
「いえいえ! こちらが勝手に伺っただけですから! 退院できて、お元気になったんだってほっとしたんですよ」
そんな母親に唇を尖らせ、少女は更に言いつのる。
「えー? だって、パパもヨウイチおじさんも、おねーさんがいなくなったって・・・」
「『いなくなった』?」
まもりはその言葉を繰り返す。
退院したのではなく、『いなくなった』と。
しかも母親ではなく、父親と、『ヨウイチ』と呼ばれる男性と。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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