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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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誘惑の蜘蛛(4)



+ + + + + + + + + +
苛立ちは増すばかり。
まもりは鬱屈した気分を払拭したくて部活に精を出す。
学校生活も部活動も楽しいは楽しい。
けれどヒル魔に以前よりも個人的に絡まれる確率が上がったようで、それに気分が害される。
特に男子生徒や部員たちに対しては、まもりが近寄って話をするだけで後々ヒル魔が因縁をつけているようなのだ。
ようなのだ、というのは本人たちに確認が取れないからなのだけれど。
親しく話した翌日には引きつった顔で逃げられたら予想もつくというもの。
「まあったく!」
まもりはマネージャーなのだ。部員たちは男性ばかり、作業の上で口を利くのは仕方ないことだ。
それに色々と口出す権限が彼にあるわけでもないのに、と思うのだけれど。
洗濯物を干しに行こうとした時、ふいに目の前に人が立ちはだかる。
「姉崎さん」
「赤羽くん」
顔を上げると、赤毛が目に入る。彼のこだわりらしくカラーコンタクトは続けていて、赤髪赤目の彼は相変わらず目立っていた。
ヒル魔も大概変わった格好だけれど、彼も同様だなあと内心呟いていたら。
「フー・・・。何か悩みでもあるようだね」
「あ・・・判る?」
まもりは苦笑する。悩みを打ち明けようにもヒル魔に阻止されて男性には聞いてもらえる機会がない。同じマネージャーたちもヒル魔の名が出た途端にしり込みして愚痴一つ聞いてもらえないのだ。
赤羽や番場、阿含ならば口を利いていても彼ら自身があまりヒル魔を恐れないので平気なのだが、彼らは彼らで忙しいようでわざわざ捕まえるのも憚られていた。
「ヒル魔くんになんだか付きまとわれてるみたいで」
「・・・」
赤羽はちらりとまもりを見る。
その視線に含まれているのが何かを掴む前に、彼は目をそらした。
「別に私に干渉する権限があるわけじゃないのに、なんだか煩いの」
「・・・フー、そうか」
「そりゃね、同じ高校出身で同じ学校で同じ部活なんだから親しいのは親しいんだけど、ちょっと行き過ぎてる気がするの」
「・・・」
彼はしげしげとまもりを見つめる。彼女が相当賢く、そうして努力の人だとは誰に聞かなくても見ていれば判った。
そうして相当鈍いようだ、というのも今ので実感した赤羽は一計を案じる。
「フー・・・。姉崎さん、いいことを教えてあげよう」
「え、何?」
赤羽はグラウンドを伺う。金髪悪魔は今のところまだこちらの様子に気づいていないようだ。
「ヒル魔を倒す方法だ」


ヒル魔はまもりの来訪が遅いのに気づき、眉を寄せた。
あの糞天然ニブニブマネは周囲がどれだけ彼女を狙っているかも理解せず、のほほんと過ごしている。
ヒル魔の睨みがなければ、部活の連中を始めとした男どもにあっという間に食われてしまうだろう。
ある意味過保護な父親のような彼の行動に、まもりは辟易としているようだけれど知ったことではない。
感謝されこそすれ嫌がられる道理はない、とヒル魔は本気で考えていた。
「おじゃましまーす」
つらつらと考えていたら、件のまもりがひょこりと顔を出した。
心なしか疲れたような顔だが、表情は明るい。
「遅かったな」
「うん、買い物してきたの」
まもりの手には大量の食材が詰まった袋が二つ。こう見えて結構大食漢なヒル魔の胃袋を満足させるために食料品はマメに買わないとならないのだ。
ふー、と手を振るまもりにヒル魔は眉を寄せた。
「連絡寄越せ」
そうしたら運んでやったのに、という言葉にまもりは肩をすくめる。
「いいのいいの。これは特訓なの」
「ア?」
訝しげな顔をしたヒル魔ににっこりと笑いかけて、まもりは鼻歌交じりに冷蔵庫に食材を詰めだした。


<続>
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趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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