旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
大学の帰り道。
まもりは視界を過ぎった黒い影に眉を寄せた。
カラスだろうか。それにしては小さかったような気もするが。
眉を寄せ、見上げた先に影はなかった。
「・・・あれ?」
見間違いだろうか。けれど、一瞬見た気がしたのに。
「チッ」
足元から聞こえた声に、まもりは視線をそちらに向けた。
そうして、目を見張る。
「虫?!」
まもりが殊の外嫌うあの黒くてカサカサ言う虫、かと。
そう思ったが。
「チッ! チッ!」
『それ』は短く鳴きながらまもりの靴にちょこんと手を差し出した。
見上げる姿勢でしきりに鳴く『それ』は虫ではなかった。
虫ではなかったけれど。
「何、かしら・・・コレ」
まもりはしゃがみこみ、そっと手を差し伸べてみる。
「チッ!」
『それ』はちょこちょこと歩いてまもりの手のひらにすっぽりと収まった。
小さい。
そうして、小動物のようにあたたかい。
「チ」
まもりは立ち上がり、手の中の『それ』をまじまじと観察する。
髪の毛は金で逆立っていて、その間からぴんと尖って存在を主張する黒い触角。
目はつり上がっているが黒目勝ちなので怖くはない。耳も尖り、ピアスが並んでいる。
そうして口はへの字に曲がっている。
その体は黒一色で覆われている。柔らかい手触り。
そうして、その背中にぱたぱたと蠢くのは、こうもりと同じ翼。
指の隙間を動くのは尻尾。
どこをどうみても、これは虫ではない。
けれど人形でもなければ、人間でもない。
まもりは思わず手から力を抜いてしまった。
「チチッ」
焦ったような鳴き声を上げ、それはぱたぱたと翼を動かし落ちることなく宙に浮く。
そうして、まもりの肩口にすばやくもぐりこんでしまった。
「な!? ちょ、ちょっと!」
「チッ!」
捕まえようとしても巧みに逃げられてしまう。
しばらくじたばたともがいてみたが、ちらちらと寄越される視線にまもりははたと我に返った。
今いるのは道のど真ん中、そこで一人でじたばたしていれば怪しい人物と評されても仕方ない。
慌ててカバンを手に取ると、まもりは自宅への道を急いだ。
結果として、どこをどう見たとしても、『悪魔』にしか見えないそれを連れて。
まもりが大学入学時から下宿として使っているアパートに入る。
と、髪の間からするりと悪魔が出てきた。
悪魔、と呼ぶには少々小さすぎて、そうしてよく見ればそれはかわいらしい存在だとわかる。
得体の知れない不気味さや気色悪さは不自然なほどに感じられなかった。
「チッ」
ちょろちょろと飛び回り、周囲を確認する姿はまるで新しい住処を見つけた猫のようで。
ひとしきり見て回ると、まもりのところに飛んで戻ってくる。
「チッ」
まるで、ここなら大丈夫だ、と報告されているようで、まもりの口元が綻ぶ。
ペットが禁止なので飼えなかったが、一人で過ごすのは寂しいと常々思っていたところなのだ。
仮にこの存在が悪魔だとしても、こんなに小さくてかわいいなら害はなさそうだし。
「ウチに住む?」
判るかどうかは不明だが、まもりは優しく問いかけてみた。
「チ!!」
途端、大きな目を更に見開くようにして、悪魔は声を上げてまもりの周囲を飛び回る。
「チ! チッ!」
はしゃぐような声音に、まもりも楽しくなってくる。
こちらの言うことはある程度理解できるようだ、と考える。
それであれば呼びかけるための名前を考えなければ。
「うーん、あくまちゃんじゃまんまだし、ちびちゃんも安直だし・・・」
ちょろちょろと動き回る悪魔を見ていたら、くるくると動き回るミニカーを思い出した。
「・・・ミニ。・・・ミニ魔、ちゃん」
ミニ魔、という響きが口に乗せると妙にしっくり来た。
呼ばれたのが判ったのか、悪魔はぴんと触覚を立ててまもりの側に飛んでくる。
「あなたのお名前、ミニ魔ちゃんでいいかしら?」
「チチッ!」
こくこくと頷く様がとてもかわいらしくて、まもりはすっかり上機嫌になった。
「これからよろしくね、ミニ魔ちゃん」
「チッ!」
そうして、一人と一匹の生活がスタートしたのでした。
***
ミニ魔さん、空を飛ぶ。
こんな感じで出会って一緒に生活しだしたのです。続くかどうかは未定です。
ホントは絵本みたいに絵とSSを並べるのを作ろうかと思ったのですが、そんな形で書いて自分の首絞めることもないかと・・・。とりあえずまずは出だしはこんなんですよ、ってことで。
まもりは視界を過ぎった黒い影に眉を寄せた。
カラスだろうか。それにしては小さかったような気もするが。
眉を寄せ、見上げた先に影はなかった。
「・・・あれ?」
見間違いだろうか。けれど、一瞬見た気がしたのに。
「チッ」
足元から聞こえた声に、まもりは視線をそちらに向けた。
そうして、目を見張る。
「虫?!」
まもりが殊の外嫌うあの黒くてカサカサ言う虫、かと。
そう思ったが。
「チッ! チッ!」
『それ』は短く鳴きながらまもりの靴にちょこんと手を差し出した。
見上げる姿勢でしきりに鳴く『それ』は虫ではなかった。
虫ではなかったけれど。
「何、かしら・・・コレ」
まもりはしゃがみこみ、そっと手を差し伸べてみる。
「チッ!」
『それ』はちょこちょこと歩いてまもりの手のひらにすっぽりと収まった。
小さい。
そうして、小動物のようにあたたかい。
「チ」
まもりは立ち上がり、手の中の『それ』をまじまじと観察する。
髪の毛は金で逆立っていて、その間からぴんと尖って存在を主張する黒い触角。
目はつり上がっているが黒目勝ちなので怖くはない。耳も尖り、ピアスが並んでいる。
そうして口はへの字に曲がっている。
その体は黒一色で覆われている。柔らかい手触り。
そうして、その背中にぱたぱたと蠢くのは、こうもりと同じ翼。
指の隙間を動くのは尻尾。
どこをどうみても、これは虫ではない。
けれど人形でもなければ、人間でもない。
まもりは思わず手から力を抜いてしまった。
「チチッ」
焦ったような鳴き声を上げ、それはぱたぱたと翼を動かし落ちることなく宙に浮く。
そうして、まもりの肩口にすばやくもぐりこんでしまった。
「な!? ちょ、ちょっと!」
「チッ!」
捕まえようとしても巧みに逃げられてしまう。
しばらくじたばたともがいてみたが、ちらちらと寄越される視線にまもりははたと我に返った。
今いるのは道のど真ん中、そこで一人でじたばたしていれば怪しい人物と評されても仕方ない。
慌ててカバンを手に取ると、まもりは自宅への道を急いだ。
結果として、どこをどう見たとしても、『悪魔』にしか見えないそれを連れて。
まもりが大学入学時から下宿として使っているアパートに入る。
と、髪の間からするりと悪魔が出てきた。
悪魔、と呼ぶには少々小さすぎて、そうしてよく見ればそれはかわいらしい存在だとわかる。
得体の知れない不気味さや気色悪さは不自然なほどに感じられなかった。
「チッ」
ちょろちょろと飛び回り、周囲を確認する姿はまるで新しい住処を見つけた猫のようで。
ひとしきり見て回ると、まもりのところに飛んで戻ってくる。
「チッ」
まるで、ここなら大丈夫だ、と報告されているようで、まもりの口元が綻ぶ。
ペットが禁止なので飼えなかったが、一人で過ごすのは寂しいと常々思っていたところなのだ。
仮にこの存在が悪魔だとしても、こんなに小さくてかわいいなら害はなさそうだし。
「ウチに住む?」
判るかどうかは不明だが、まもりは優しく問いかけてみた。
「チ!!」
途端、大きな目を更に見開くようにして、悪魔は声を上げてまもりの周囲を飛び回る。
「チ! チッ!」
はしゃぐような声音に、まもりも楽しくなってくる。
こちらの言うことはある程度理解できるようだ、と考える。
それであれば呼びかけるための名前を考えなければ。
「うーん、あくまちゃんじゃまんまだし、ちびちゃんも安直だし・・・」
ちょろちょろと動き回る悪魔を見ていたら、くるくると動き回るミニカーを思い出した。
「・・・ミニ。・・・ミニ魔、ちゃん」
ミニ魔、という響きが口に乗せると妙にしっくり来た。
呼ばれたのが判ったのか、悪魔はぴんと触覚を立ててまもりの側に飛んでくる。
「あなたのお名前、ミニ魔ちゃんでいいかしら?」
「チチッ!」
こくこくと頷く様がとてもかわいらしくて、まもりはすっかり上機嫌になった。
「これからよろしくね、ミニ魔ちゃん」
「チッ!」
そうして、一人と一匹の生活がスタートしたのでした。
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ミニ魔さん、空を飛ぶ。
こんな感じで出会って一緒に生活しだしたのです。続くかどうかは未定です。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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