旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
まもりはヒル魔の呼び声に眉を寄せた。
「それ」
「ア?」
「辞めてください。不愉快よ」
「何が」
本気で判らないヒル魔はもまもり同様眉を寄せて彼女を見つめる。
「呼び方」
糞マネ、と当たり前のように呼ばれたが、やはり許容できる呼び方ではないのだ。
高校卒業を間近に控えても彼はその呼び方を譲らなかった。
後輩に新しいマネージャーが入り、まもりが引退してもなおそう呼ぶのだ。
そういえばあのマネージャーはなんと呼ばれていただろうか。
思い返しても糞○○という呼び方をされていなかった気がする。
そう気づいてしまえば、余計苛立ちが増した。
なぜ、自分ばかりが。
「今更何抜かすか」
「蔑称でしょうが!」
「ソンナコトナイデスヨ。愛情表現デストモ」
「なんで片言! んもう!」
まじめに取り合う気がないのだ、と判断してまもりはむくれた。
その顔を見て、ヒル魔はにやりと口角を上げる。
「・・・なら、テメェは糞マネ以外の呼び方がいいってことだな?」
当然でしょ、とまもりは呆れたように応じる。
「ヒル魔くんてば本当に感情が昂ったときはちゃんと名前呼ぶじゃない」
試合中、切羽詰った場面で何度か聞いた、他の面子の呼び方。
まあ、あの糞○○という呼び方もある意味愛称なのだろう。
彼なりには。
・・・相手がどう思うかは別として。
まもりのこともちゃんと姉崎、と呼んでくれたらしいが、残念ながらそのときは自分の職務を全うするために不在だったため、直接は聞けなかった。
「私の名前、知ってるでしょ?」
「当然。名前から生年月日に始まり、身長体重スリーサイズも入手済みでゴザイマス。身長162センチ体重は・・・」
「きゃー!? やめてよセクハラよー!?」
慌てて声をかぶせて遮ったが、ヒル魔は涼しげな顔だ。
ひらひらと振られる脅迫手帳が恨めしい。一体どこからスリーサイズを入手したのやら。
それははったりかもしれないが、わざわざ言わせて確認を取るのも嫌だ。
「テメェの言い分で言えば」
ヒル魔はにやにやと口角を上げたまままもりを見下ろす。
頭半分高い彼の視線は威圧的だが、それを最早怖いと思うことはない。
それほど浅い付き合いではないのだ。
「俺が他人の名前を呼ぶ条件は感情を昂らせた時ってことになるな」
「そうね」
「じゃあテメェは俺の感情を昂らせないとならねぇ訳だな」
まもりは眉を寄せる。
「昂らなくても名前で呼んでくれたらいいじゃない。それとも今更恥ずかしいの?」
「ンな見え見えの挑発に乗るか」
ケケケ、と笑う彼にまもりは俯き思案する。
どうやっても呼ばれないのだろうか。
「テメェに俺を昂らせるなんざできねぇだろ」
小馬鹿にする声に、まもりは顔を上げる。
彼があれほどに昂るのはアメフトの試合のときだけだった。
まもりとアメフトは比較できるような存在じゃない。
そんなのは互いに百も承知だ。
けれど、理屈ではなくそれは何よりもまもりの心を掻き毟った。
「・・・私はアメフトじゃないもの!」
言っていて涙が滲む。悔しかった。
ただ、名を呼ばれないことが。
彼の感情一つ揺さぶれない自分が。
僅かに眸を見開いた彼に気づいて、袖口で目元を擦った。
泣いてなどない。涙なんて彼に見せるものか。
「ホー」
ヒル魔の感心したような声に、まもりは自らを叱咤し、ともすれば潤みがちになる瞳を向ける。
けれど険しい表情を向けられたはずの彼は、さらりととんでもないことを口にした。
「テメェ、そんなに俺が好きか」
まもりは目をむいて叫ぶ。
「ええ!? 今そんな話してなかったでしょ!?」
「してただろ」
楽しげに笑い、ヒル魔はまもりの目元を撫でる。
制服の硬い生地で擦ったそこは、赤くなっていた。
彼に触られたという事実に違う朱も走り、まもりの肌が鮮やかに染まる。
「アメフトに嫉妬したんだろ」
楽しげな笑みを消さぬまま、ヒル魔は彼女の耳に囁く。
「まもり」
途端、彼女の膝からかくりと力が抜ける。
「・・・!?」
「おーおー」
ヒル魔はそれを予想していたかのように笑いながら彼女の腕を取り、転倒を防ぐ。
けれど立っていられなくて、まもりはぺたりと膝を突いてしまう。
捕まれた腕だけで中途半端に己を支えるだけだ。
「な、な・・・」
呆然と見上げる先には楽しげなヒル魔の姿。
先ほどまでまもりに昂ぶらされることなどないと嘯いたのはどこの誰だ、と信じられない気持ちで見上げる。
彼の眸がいつになく真摯に彼女を貫いて。
ますますまもりは言葉を失った。
***
真っ赤になって泣き怒るまもりちゃんに思わずときめいたヒル魔さんの話(台無し)。
いやね、最終回でヒル魔さんまもりちゃんのこと『糞マネ』って呼んでないんですよね。で、『まもり姉ちゃん』ってのを強調して口にしただけだったんですよ。・・・もしかして、大学入学後は『まもり』呼びしてたりして!?
・・・なーんて思ってたはずなのに、なんでこんな話になったんだろうか(謎)。
「それ」
「ア?」
「辞めてください。不愉快よ」
「何が」
本気で判らないヒル魔はもまもり同様眉を寄せて彼女を見つめる。
「呼び方」
糞マネ、と当たり前のように呼ばれたが、やはり許容できる呼び方ではないのだ。
高校卒業を間近に控えても彼はその呼び方を譲らなかった。
後輩に新しいマネージャーが入り、まもりが引退してもなおそう呼ぶのだ。
そういえばあのマネージャーはなんと呼ばれていただろうか。
思い返しても糞○○という呼び方をされていなかった気がする。
そう気づいてしまえば、余計苛立ちが増した。
なぜ、自分ばかりが。
「今更何抜かすか」
「蔑称でしょうが!」
「ソンナコトナイデスヨ。愛情表現デストモ」
「なんで片言! んもう!」
まじめに取り合う気がないのだ、と判断してまもりはむくれた。
その顔を見て、ヒル魔はにやりと口角を上げる。
「・・・なら、テメェは糞マネ以外の呼び方がいいってことだな?」
当然でしょ、とまもりは呆れたように応じる。
「ヒル魔くんてば本当に感情が昂ったときはちゃんと名前呼ぶじゃない」
試合中、切羽詰った場面で何度か聞いた、他の面子の呼び方。
まあ、あの糞○○という呼び方もある意味愛称なのだろう。
彼なりには。
・・・相手がどう思うかは別として。
まもりのこともちゃんと姉崎、と呼んでくれたらしいが、残念ながらそのときは自分の職務を全うするために不在だったため、直接は聞けなかった。
「私の名前、知ってるでしょ?」
「当然。名前から生年月日に始まり、身長体重スリーサイズも入手済みでゴザイマス。身長162センチ体重は・・・」
「きゃー!? やめてよセクハラよー!?」
慌てて声をかぶせて遮ったが、ヒル魔は涼しげな顔だ。
ひらひらと振られる脅迫手帳が恨めしい。一体どこからスリーサイズを入手したのやら。
それははったりかもしれないが、わざわざ言わせて確認を取るのも嫌だ。
「テメェの言い分で言えば」
ヒル魔はにやにやと口角を上げたまままもりを見下ろす。
頭半分高い彼の視線は威圧的だが、それを最早怖いと思うことはない。
それほど浅い付き合いではないのだ。
「俺が他人の名前を呼ぶ条件は感情を昂らせた時ってことになるな」
「そうね」
「じゃあテメェは俺の感情を昂らせないとならねぇ訳だな」
まもりは眉を寄せる。
「昂らなくても名前で呼んでくれたらいいじゃない。それとも今更恥ずかしいの?」
「ンな見え見えの挑発に乗るか」
ケケケ、と笑う彼にまもりは俯き思案する。
どうやっても呼ばれないのだろうか。
「テメェに俺を昂らせるなんざできねぇだろ」
小馬鹿にする声に、まもりは顔を上げる。
彼があれほどに昂るのはアメフトの試合のときだけだった。
まもりとアメフトは比較できるような存在じゃない。
そんなのは互いに百も承知だ。
けれど、理屈ではなくそれは何よりもまもりの心を掻き毟った。
「・・・私はアメフトじゃないもの!」
言っていて涙が滲む。悔しかった。
ただ、名を呼ばれないことが。
彼の感情一つ揺さぶれない自分が。
僅かに眸を見開いた彼に気づいて、袖口で目元を擦った。
泣いてなどない。涙なんて彼に見せるものか。
「ホー」
ヒル魔の感心したような声に、まもりは自らを叱咤し、ともすれば潤みがちになる瞳を向ける。
けれど険しい表情を向けられたはずの彼は、さらりととんでもないことを口にした。
「テメェ、そんなに俺が好きか」
まもりは目をむいて叫ぶ。
「ええ!? 今そんな話してなかったでしょ!?」
「してただろ」
楽しげに笑い、ヒル魔はまもりの目元を撫でる。
制服の硬い生地で擦ったそこは、赤くなっていた。
彼に触られたという事実に違う朱も走り、まもりの肌が鮮やかに染まる。
「アメフトに嫉妬したんだろ」
楽しげな笑みを消さぬまま、ヒル魔は彼女の耳に囁く。
「まもり」
途端、彼女の膝からかくりと力が抜ける。
「・・・!?」
「おーおー」
ヒル魔はそれを予想していたかのように笑いながら彼女の腕を取り、転倒を防ぐ。
けれど立っていられなくて、まもりはぺたりと膝を突いてしまう。
捕まれた腕だけで中途半端に己を支えるだけだ。
「な、な・・・」
呆然と見上げる先には楽しげなヒル魔の姿。
先ほどまでまもりに昂ぶらされることなどないと嘯いたのはどこの誰だ、と信じられない気持ちで見上げる。
彼の眸がいつになく真摯に彼女を貫いて。
ますますまもりは言葉を失った。
***
真っ赤になって泣き怒るまもりちゃんに思わずときめいたヒル魔さんの話(台無し)。
いやね、最終回でヒル魔さんまもりちゃんのこと『糞マネ』って呼んでないんですよね。で、『まもり姉ちゃん』ってのを強調して口にしただけだったんですよ。・・・もしかして、大学入学後は『まもり』呼びしてたりして!?
・・・なーんて思ってたはずなのに、なんでこんな話になったんだろうか(謎)。
PR
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
アクセス解析
フリーエリア