旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
程なく黄桃がたぷんと音を立てるシロップごとガラスの器に盛られる。
器は一つ。
「ヒル魔くんの分は?」
「俺がこんな糞甘臭ェ代物食うわけねぇだろ」
「美味しいのに」
唇を尖らせたまもりにかまわず、ヒル魔は器を彼女の目の前に置いた。
つやつやとしたシロップ漬の黄桃。
いただきます、と手を合わせてまもりは桃を一口大に切る。
口に入れればそれはほどよく冷えて、つるんとまもりの喉を通り過ぎる。
「おいしい」
「そーか」
まもりはゆっくりと桃を食べながら、ヒル魔を見る。
「ねえヒル魔くん、私がこれなら食べられるって知ってたの?」
「さっきテメェの母親に聞いた」
「そう」
一つ目を平らげ、二つ目を口にしながらまもりはぼんやりと呟く。
「お母さん心配しちゃったかなぁ」
ヒル魔から電話が行って、しかも内容が調子の悪いまもりに食べさせるのには何がいいか、なんて。
聞かされたら遠くに住んでいる母が心配するかも、と。
けれどヒル魔はにやりと笑う。
「心配とはちょっと違ったが」
「え?」
「ガキできりゃそれも軽くなるんだろうからさっさと作れば、だとよ」
「ええ!?」
ちらりと笑み交じりの視線を向けられ、まもりはむっと眉を寄せる。
「ヒル魔くん、私がアレだってお母さんに言ったの!?」
「病気じゃねぇんだ、別に言ったっていいだろ」
まもりの苦情をヒル魔はさらりと受け流した。
「全員が全員産後にそれが軽くなるわけじゃねぇみてぇだがなァ」
ヒル魔はパソコンの画面を注視している。
何を調べているかと思えば、そんなことだったのか。
まもりは三つ目の桃を咀嚼しながら嘆息する。
「生理痛軽減のためだけに子供産むつもりはないわよ」
「そうだなァ。第一その前にやることあんだろ」
「何?」
最後の一欠片を飲み下したのを見計らって。
ヒル魔がまもりの唇にキス一つ。
途端に彼の眉が寄った。
「糞甘ェ」
「そりゃそうよ、いまこれ食べたんだから」
まもりの目の前には、空になったガラスの器。
残ったシロップも甘い匂いを放っている。
「毎月ンな糞甘臭ェもん買わされるのも糞クマ投げつけられるのも気に食わねぇ」
「だから、これは・・・」
ぐい、と強引に立たされて抱き寄せられて、まもりはふっつりと言葉を途切れさせる。
その腕があたたかくて、ささくれ立った神経が宥められる。
かまわれるのがあれほど苛立ったのに、触れられてしまえば、もう。
思わず力を抜いて安堵の吐息をついたまもりの耳にヒル魔の低い囁き。
「じゃあとりあえず、結婚するか」
「はい?」
思いがけない言葉に、まもりは素っ頓狂な声を上げた。
「よしじゃあコレにサインしろ」
ヒル魔はそんなまもりに頓着せず、ぺらりと婚姻届を取り出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ!?」
「今テメェ『はい』っつったろ」
「それ返事じゃない!」
勢いで決められてたまるか、とまもりはヒル魔を睨みつけるが。
「嫌なのか」
抱きしめられて、にやにやとこちらを伺うくせに、その眸は真剣そのもの。
「・・・ッ」
こんな、色気もない状態で、じゃあとかとりあえずとかで結婚を切り出されて。
一大事なのに。
一生を決めることなのに。
それでも嬉しい、だなんて。
「・・・もっと素敵なプロポーズが欲しかった」
なんだか負けたような気がする。
悔しくて視線をそらしてそう呟けば。
「結婚そのものはただの通過点だろ」
長い指がまもりの耳朶をなぞり、彼女の顔を掴んで上向かせる。
つり上がった唇が、ひどく楽しげな言葉を紡いだ。
「夢見てんじゃねぇぞ、まもり」
彼女の唇からこぼれ出るはずだった言葉は喜びか抗議か。
ヒル魔はすべてをまもりから奪い去った。
すなわち、あざやかにキスを。
***
某企画に(以下略)。出産後に生理痛が悪化した人や生理不順が治らなかった人も多いようですね。
ひどいようなら病院へ行ったほうがいいようですよ。最近はいい薬があるそうですし。
すべて又聞きなのが自分でも白々しい気がしてなりません(苦笑)
器は一つ。
「ヒル魔くんの分は?」
「俺がこんな糞甘臭ェ代物食うわけねぇだろ」
「美味しいのに」
唇を尖らせたまもりにかまわず、ヒル魔は器を彼女の目の前に置いた。
つやつやとしたシロップ漬の黄桃。
いただきます、と手を合わせてまもりは桃を一口大に切る。
口に入れればそれはほどよく冷えて、つるんとまもりの喉を通り過ぎる。
「おいしい」
「そーか」
まもりはゆっくりと桃を食べながら、ヒル魔を見る。
「ねえヒル魔くん、私がこれなら食べられるって知ってたの?」
「さっきテメェの母親に聞いた」
「そう」
一つ目を平らげ、二つ目を口にしながらまもりはぼんやりと呟く。
「お母さん心配しちゃったかなぁ」
ヒル魔から電話が行って、しかも内容が調子の悪いまもりに食べさせるのには何がいいか、なんて。
聞かされたら遠くに住んでいる母が心配するかも、と。
けれどヒル魔はにやりと笑う。
「心配とはちょっと違ったが」
「え?」
「ガキできりゃそれも軽くなるんだろうからさっさと作れば、だとよ」
「ええ!?」
ちらりと笑み交じりの視線を向けられ、まもりはむっと眉を寄せる。
「ヒル魔くん、私がアレだってお母さんに言ったの!?」
「病気じゃねぇんだ、別に言ったっていいだろ」
まもりの苦情をヒル魔はさらりと受け流した。
「全員が全員産後にそれが軽くなるわけじゃねぇみてぇだがなァ」
ヒル魔はパソコンの画面を注視している。
何を調べているかと思えば、そんなことだったのか。
まもりは三つ目の桃を咀嚼しながら嘆息する。
「生理痛軽減のためだけに子供産むつもりはないわよ」
「そうだなァ。第一その前にやることあんだろ」
「何?」
最後の一欠片を飲み下したのを見計らって。
ヒル魔がまもりの唇にキス一つ。
途端に彼の眉が寄った。
「糞甘ェ」
「そりゃそうよ、いまこれ食べたんだから」
まもりの目の前には、空になったガラスの器。
残ったシロップも甘い匂いを放っている。
「毎月ンな糞甘臭ェもん買わされるのも糞クマ投げつけられるのも気に食わねぇ」
「だから、これは・・・」
ぐい、と強引に立たされて抱き寄せられて、まもりはふっつりと言葉を途切れさせる。
その腕があたたかくて、ささくれ立った神経が宥められる。
かまわれるのがあれほど苛立ったのに、触れられてしまえば、もう。
思わず力を抜いて安堵の吐息をついたまもりの耳にヒル魔の低い囁き。
「じゃあとりあえず、結婚するか」
「はい?」
思いがけない言葉に、まもりは素っ頓狂な声を上げた。
「よしじゃあコレにサインしろ」
ヒル魔はそんなまもりに頓着せず、ぺらりと婚姻届を取り出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ!?」
「今テメェ『はい』っつったろ」
「それ返事じゃない!」
勢いで決められてたまるか、とまもりはヒル魔を睨みつけるが。
「嫌なのか」
抱きしめられて、にやにやとこちらを伺うくせに、その眸は真剣そのもの。
「・・・ッ」
こんな、色気もない状態で、じゃあとかとりあえずとかで結婚を切り出されて。
一大事なのに。
一生を決めることなのに。
それでも嬉しい、だなんて。
「・・・もっと素敵なプロポーズが欲しかった」
なんだか負けたような気がする。
悔しくて視線をそらしてそう呟けば。
「結婚そのものはただの通過点だろ」
長い指がまもりの耳朶をなぞり、彼女の顔を掴んで上向かせる。
つり上がった唇が、ひどく楽しげな言葉を紡いだ。
「夢見てんじゃねぇぞ、まもり」
彼女の唇からこぼれ出るはずだった言葉は喜びか抗議か。
ヒル魔はすべてをまもりから奪い去った。
すなわち、あざやかにキスを。
***
某企画に(以下略)。出産後に生理痛が悪化した人や生理不順が治らなかった人も多いようですね。
ひどいようなら病院へ行ったほうがいいようですよ。最近はいい薬があるそうですし。
すべて又聞きなのが自分でも白々しい気がしてなりません(苦笑)
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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