旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
気づいたヒル魔が声を荒げた。
「糞マネ!」
「はいっ!」
件のヒル魔の声に、まもりははっと立ち上がり、グラウンドに視線を向ける。
厳しい顔つきの彼に、騒ぎすぎたことを察した。
「試合以外のことで騒ぐな!」
「ご、ごめん!」
舌打ちして踵を返すヒル魔に、全員が息を詰める。
審判に会釈をして、まもりはベンチに戻る。
「ごめんね、彼に怒られちゃったね」
「だから彼じゃ・・・」
「いいのいいの。確かに悪魔っぽいけど姉崎さんだけは別みたいだから」
「なんだかんだで色々構ってるみたいだしね」
「・・・はぁ・・・」
もうまもりの意見などそっちのけで、マネージャー陣はヒル魔の普段とまもり絡みの時との違いを語り合っている。
違うのに、と嘆息してまもりは試合に視線を向けた。
そうして。
試合は辛くも最京大側の勝利だった。
部員たちを労うためにマネージャーたちはタオルを配ったりドリンクを渡したり冷却材を関節に当てたりと大忙しだ。
「おい、糞マネ」
「何?」
まもりが呼ばれ、ヒル魔の側に向かう。
「さっき、随分と盛り上がってマシタネ」
「さっき? ・・・ああ」
思い当たってまもりの眉が寄る。心外だ、という表情にヒル魔の片眉が上がる。
「なんだその顔」
「だってヒル魔くんの彼女だなんて勘違いされてるんだもの。何度言っても聞いてもらえないし」
「勘違い? してねぇだろ」
「してるのよ、皆」
「してねぇ」
ヒル魔の口角が上がる。
「俺が家に上げた女はテメェが初めてだ」
「それまで家政婦さんとか雇わなかったの?」
いまいち理解できないまもりに、ヒル魔が舌打ちする。
「俺が他人を家に入れるわけねぇだろ」
「入ってるじゃない、私」
「察しの悪い奴だなァ」
そうしてヒル魔はまもりを抱き込もうと腕を伸ばして。
その瞬間。
まもりの瞳が輝いた。
「てぇい!」
「どわっ!?」
どーん、という効果音がぴったりな状態で。
ヒル魔が、その場にしりもちをついている。
あり得ない声に、全員がそちらに注目した。
「!!??」
「ヒル魔が・・・倒された!?」
「姉崎さんが今、吹っ飛ばした!?」
「ギャハハハ!! だせぇな、カス!!」
阿含が腹を抱えて笑う。見れば遠くで帝黒学園の大和と鷹も噴出しているようだ。
その場が騒然とする中、赤羽が満足そうに眸を細めた。
呆然としていたヒル魔は、察して首を赤羽に向ける。
「テメェ・・・!」
「フー・・・彼女は中々筋がいい」
「ありがとう、赤羽くん!」
やったー、と飛び上がって喜ぶまもりの前で、へたり込んでいたヒル魔がゆっくりと立ち上がる。
「赤羽くん直伝スパイダーポイズンの威力、思い知ったか!」
えっへん、と胸を張るまもりが随分とかわいらしくて、部員たちの顔が自然と緩む。
なんというか、和むというか。
そんなあたたかい空気は、まもりの前に立ちはだかった悪魔に遮られる。
「・・・試合で疲れてる俺に随分ななしようデスネ」
「試合で疲れてるのに私に絡むからよ」
つーん、と横を向くまもりの耳にも、ぷつっという何かが切れる音が聞こえてきた。
ヒル魔がまもりを捕らえようと腕を伸ばす。
けれどまもりはさせてなるものか、と腕を伸ばして。
押した、が。
「え!?」
「同じ手を二度は食わねぇよ」
踏み込むタイミングをずらされ、まもりはあっけなくヒル魔の腕に捕らえられた。
そうして担ぎ上げられて、視界が反転する。
「きゃあ!」
「おい、ヒル魔・・・」
唯一まっとうにヒル魔に意見できる番場が宥めようとしたが、怒りに燃える彼は聞く耳を持たない。
「帰る」
「や、ちょっとまだ他の片付けやってない! ちょっと下ろして、やめてー!」
「煩ぇこの糞糞糞天然ニブニブ女!! テメェにも判るように説明してやるからおとなしく担がれてろ!!」
ヒル魔は眉間に皺を寄せ、まもりを抱き上げたまま連れ去った。
後に残された皆は呆然とその姿を見送ることしか出来ない。
「フー・・・。天然というのはある意味罪だな」
どこからともなくギターを取り出した赤羽は、弦をかき鳴らす。
そうして、不必要なほどに上手な技巧に一人酔ったのだった。
ヒル魔の家にまもりが強引に同居させられたのはこの翌日からだった、らしい。
***
最終回妄想第3弾。
赤羽がヒル魔さんやまもりちゃんと同じ学校、っていうのでメジロ先生と盛り上がって出来た話。
スパイダーポイズンを習ってヒル魔さんを吹っ飛ばすまもりちゃんとか面白い、と思って書いてみて。
ついでに大学に通うまでまもりちゃんがヒル魔さんの進路を知らなかったらどういう反応だったかなー、という妄想も交えてみました。
「糞マネ!」
「はいっ!」
件のヒル魔の声に、まもりははっと立ち上がり、グラウンドに視線を向ける。
厳しい顔つきの彼に、騒ぎすぎたことを察した。
「試合以外のことで騒ぐな!」
「ご、ごめん!」
舌打ちして踵を返すヒル魔に、全員が息を詰める。
審判に会釈をして、まもりはベンチに戻る。
「ごめんね、彼に怒られちゃったね」
「だから彼じゃ・・・」
「いいのいいの。確かに悪魔っぽいけど姉崎さんだけは別みたいだから」
「なんだかんだで色々構ってるみたいだしね」
「・・・はぁ・・・」
もうまもりの意見などそっちのけで、マネージャー陣はヒル魔の普段とまもり絡みの時との違いを語り合っている。
違うのに、と嘆息してまもりは試合に視線を向けた。
そうして。
試合は辛くも最京大側の勝利だった。
部員たちを労うためにマネージャーたちはタオルを配ったりドリンクを渡したり冷却材を関節に当てたりと大忙しだ。
「おい、糞マネ」
「何?」
まもりが呼ばれ、ヒル魔の側に向かう。
「さっき、随分と盛り上がってマシタネ」
「さっき? ・・・ああ」
思い当たってまもりの眉が寄る。心外だ、という表情にヒル魔の片眉が上がる。
「なんだその顔」
「だってヒル魔くんの彼女だなんて勘違いされてるんだもの。何度言っても聞いてもらえないし」
「勘違い? してねぇだろ」
「してるのよ、皆」
「してねぇ」
ヒル魔の口角が上がる。
「俺が家に上げた女はテメェが初めてだ」
「それまで家政婦さんとか雇わなかったの?」
いまいち理解できないまもりに、ヒル魔が舌打ちする。
「俺が他人を家に入れるわけねぇだろ」
「入ってるじゃない、私」
「察しの悪い奴だなァ」
そうしてヒル魔はまもりを抱き込もうと腕を伸ばして。
その瞬間。
まもりの瞳が輝いた。
「てぇい!」
「どわっ!?」
どーん、という効果音がぴったりな状態で。
ヒル魔が、その場にしりもちをついている。
あり得ない声に、全員がそちらに注目した。
「!!??」
「ヒル魔が・・・倒された!?」
「姉崎さんが今、吹っ飛ばした!?」
「ギャハハハ!! だせぇな、カス!!」
阿含が腹を抱えて笑う。見れば遠くで帝黒学園の大和と鷹も噴出しているようだ。
その場が騒然とする中、赤羽が満足そうに眸を細めた。
呆然としていたヒル魔は、察して首を赤羽に向ける。
「テメェ・・・!」
「フー・・・彼女は中々筋がいい」
「ありがとう、赤羽くん!」
やったー、と飛び上がって喜ぶまもりの前で、へたり込んでいたヒル魔がゆっくりと立ち上がる。
「赤羽くん直伝スパイダーポイズンの威力、思い知ったか!」
えっへん、と胸を張るまもりが随分とかわいらしくて、部員たちの顔が自然と緩む。
なんというか、和むというか。
そんなあたたかい空気は、まもりの前に立ちはだかった悪魔に遮られる。
「・・・試合で疲れてる俺に随分ななしようデスネ」
「試合で疲れてるのに私に絡むからよ」
つーん、と横を向くまもりの耳にも、ぷつっという何かが切れる音が聞こえてきた。
ヒル魔がまもりを捕らえようと腕を伸ばす。
けれどまもりはさせてなるものか、と腕を伸ばして。
押した、が。
「え!?」
「同じ手を二度は食わねぇよ」
踏み込むタイミングをずらされ、まもりはあっけなくヒル魔の腕に捕らえられた。
そうして担ぎ上げられて、視界が反転する。
「きゃあ!」
「おい、ヒル魔・・・」
唯一まっとうにヒル魔に意見できる番場が宥めようとしたが、怒りに燃える彼は聞く耳を持たない。
「帰る」
「や、ちょっとまだ他の片付けやってない! ちょっと下ろして、やめてー!」
「煩ぇこの糞糞糞天然ニブニブ女!! テメェにも判るように説明してやるからおとなしく担がれてろ!!」
ヒル魔は眉間に皺を寄せ、まもりを抱き上げたまま連れ去った。
後に残された皆は呆然とその姿を見送ることしか出来ない。
「フー・・・。天然というのはある意味罪だな」
どこからともなくギターを取り出した赤羽は、弦をかき鳴らす。
そうして、不必要なほどに上手な技巧に一人酔ったのだった。
ヒル魔の家にまもりが強引に同居させられたのはこの翌日からだった、らしい。
***
最終回妄想第3弾。
赤羽がヒル魔さんやまもりちゃんと同じ学校、っていうのでメジロ先生と盛り上がって出来た話。
スパイダーポイズンを習ってヒル魔さんを吹っ飛ばすまもりちゃんとか面白い、と思って書いてみて。
ついでに大学に通うまでまもりちゃんがヒル魔さんの進路を知らなかったらどういう反応だったかなー、という妄想も交えてみました。
PR
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
アクセス解析
フリーエリア