旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ヒル魔が速読で新聞を読み終える頃には、子供たちも食器洗いを済ませていた。
いつもなら外に遊びに行くか、室内でも二人一緒に遊ぶことが多い二人だが。
どうにもアヤが寝室を伺って、妖介の誘いに乗らない。
「アヤちゃん、お外行こうよー」
「うん・・・」
頷きながらもどこか曖昧な返事に、ヒル魔は立ち上がってアヤの前にしゃがみ込む。
「どうした」
「・・・あの、ね」
もじもじした様子で、アヤは父親の顔を見上げる。
「おかあさんと一緒に寝るの、いいなあって」
ヒル魔の片眉がぴんと上がった。
「いつもおかあさん、忙しいから」
「・・・ホー」
主に日中はヒル魔も仕事で不在になることが多い。
その間、三人の子供の世話に追われて、まもりは確かに大変だろう。
そんな母親の姿を見て、甘えたいが我侭を言ってはいけないのだ、と些か物分りのよすぎる娘は考えているらしい。
「一緒に寝るだけでいいのか?」
「え?」
「起きてる母さんと一緒の方がいいだろ」
「・・・うん。でも・・・」
「でも、はナシだ」
ヒル魔はアヤを抱き上げる。
「わ」
「あー! いーなー!」
「テメェは後で嫌ってほど遊んでやる」
「ほんと!?」
単純に父親に遊んでもらえると瞳を輝かせる息子の頭を一つ撫で、ヒル魔は寝室へと足を運んだ。
まもりは半ば強引に起こされ、せかされるままに朝食を摂り、身づくろいを整えて車に乗せられた。
ちなみに護はチャイルドシートで再び寝息を立てている。
「ちょ、ちょっと、もう! 何なの!?」
「テメェには今日一日デートを申し付ける」
「デート?! ヒル魔くんと?」
子供はどうするの、と眉を寄せるまもりを、巨大なショッピングモールの前でアヤと共に降ろす。
「え?」
「アヤとだ」
「ええ?!」
目を丸くするまもりに、ヒル魔は手早く指でサインを送る。
それは。
『下に構うのもいいが、たまにはアヤも構ってやれ。糞息子どもは見ていてやる』
金はカバンに入ってる、と更にサインで示され、慌てて覗き込めばそこには潤沢な資金。
「たまには羽伸ばして来い」
「・・・ありがとう」
満足したら連絡しろ、と言い置いて車は走り去った。
息子二人はどのように遊んでもらうのだろうか、と思ったがすぐに考えを切り替える。
今はアヤとの二人きりの休みを楽しもう。
まもりは笑みを浮かべる。
「じゃあ、行こうか!」
「うん!」
にっこりと笑って傍らを歩くアヤに、思いついて手を差し出す。
「手、繋ごう」
「・・・え」
まもりの手と自らの手を見比べて、アヤはおずおずと見上げた。
「・・・いいの?」
遠慮が滲んだ声に、まもりはこみ上げるものを感じた。
いつもならまもりの手は護を抱いているか、荷物と妖介とで埋まっているかのどちらかで。
その隣を黙ってついてくる姿ばかりだったのだと改めて思い至る。
そうなると、ただ手を握ることさえ躊躇う娘の年不相応の聡さが、たまらなく不憫に感じてしまったのだ。
とっさにそんな湿っぽい気分を押し隠してアヤの手を握る。
「今日はお母さんとアヤの二人だけだからいいのよ。好きなだけ買い物して食べたいもの食べましょう!」
「・・・はーい!」
その言葉に、アヤは本当に嬉しそうに笑った。
***
アヤは小さいときから物分りがよくて溜め込んじゃってその辺ヒル魔さんも心配してたとかだとかわいいかと思い、書いてみました。妖介は我侭言わないと構ってもらえない中間子なのでわーわー言ってるから平気。
いつもなら外に遊びに行くか、室内でも二人一緒に遊ぶことが多い二人だが。
どうにもアヤが寝室を伺って、妖介の誘いに乗らない。
「アヤちゃん、お外行こうよー」
「うん・・・」
頷きながらもどこか曖昧な返事に、ヒル魔は立ち上がってアヤの前にしゃがみ込む。
「どうした」
「・・・あの、ね」
もじもじした様子で、アヤは父親の顔を見上げる。
「おかあさんと一緒に寝るの、いいなあって」
ヒル魔の片眉がぴんと上がった。
「いつもおかあさん、忙しいから」
「・・・ホー」
主に日中はヒル魔も仕事で不在になることが多い。
その間、三人の子供の世話に追われて、まもりは確かに大変だろう。
そんな母親の姿を見て、甘えたいが我侭を言ってはいけないのだ、と些か物分りのよすぎる娘は考えているらしい。
「一緒に寝るだけでいいのか?」
「え?」
「起きてる母さんと一緒の方がいいだろ」
「・・・うん。でも・・・」
「でも、はナシだ」
ヒル魔はアヤを抱き上げる。
「わ」
「あー! いーなー!」
「テメェは後で嫌ってほど遊んでやる」
「ほんと!?」
単純に父親に遊んでもらえると瞳を輝かせる息子の頭を一つ撫で、ヒル魔は寝室へと足を運んだ。
まもりは半ば強引に起こされ、せかされるままに朝食を摂り、身づくろいを整えて車に乗せられた。
ちなみに護はチャイルドシートで再び寝息を立てている。
「ちょ、ちょっと、もう! 何なの!?」
「テメェには今日一日デートを申し付ける」
「デート?! ヒル魔くんと?」
子供はどうするの、と眉を寄せるまもりを、巨大なショッピングモールの前でアヤと共に降ろす。
「え?」
「アヤとだ」
「ええ?!」
目を丸くするまもりに、ヒル魔は手早く指でサインを送る。
それは。
『下に構うのもいいが、たまにはアヤも構ってやれ。糞息子どもは見ていてやる』
金はカバンに入ってる、と更にサインで示され、慌てて覗き込めばそこには潤沢な資金。
「たまには羽伸ばして来い」
「・・・ありがとう」
満足したら連絡しろ、と言い置いて車は走り去った。
息子二人はどのように遊んでもらうのだろうか、と思ったがすぐに考えを切り替える。
今はアヤとの二人きりの休みを楽しもう。
まもりは笑みを浮かべる。
「じゃあ、行こうか!」
「うん!」
にっこりと笑って傍らを歩くアヤに、思いついて手を差し出す。
「手、繋ごう」
「・・・え」
まもりの手と自らの手を見比べて、アヤはおずおずと見上げた。
「・・・いいの?」
遠慮が滲んだ声に、まもりはこみ上げるものを感じた。
いつもならまもりの手は護を抱いているか、荷物と妖介とで埋まっているかのどちらかで。
その隣を黙ってついてくる姿ばかりだったのだと改めて思い至る。
そうなると、ただ手を握ることさえ躊躇う娘の年不相応の聡さが、たまらなく不憫に感じてしまったのだ。
とっさにそんな湿っぽい気分を押し隠してアヤの手を握る。
「今日はお母さんとアヤの二人だけだからいいのよ。好きなだけ買い物して食べたいもの食べましょう!」
「・・・はーい!」
その言葉に、アヤは本当に嬉しそうに笑った。
***
アヤは小さいときから物分りがよくて溜め込んじゃってその辺ヒル魔さんも心配してたとかだとかわいいかと思い、書いてみました。妖介は我侭言わないと構ってもらえない中間子なのでわーわー言ってるから平気。
PR
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
アクセス解析
フリーエリア