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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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おさとうジャンキー

(ヒルまも)


+ + + + + + + + + +
ヒル魔はさらさらと紅茶に投入される白い粉を見つめる。
「それ、毒だぞ」
「え」
まもりはぴたりと動きを止める。
まじまじと手元のシュガーポットを見つめ、次いでヒル魔に視線を寄越す。
「お砂糖よ?」
「毒だ」
「それはヒル魔くんにとって、でしょ?」
まもりは脅かさないで、と頬を膨らませて紅茶に更にミルクを足した。
甘ったるいミルクティの香り。
ヒル魔はむっと眉を寄せた。
「糞甘臭ェ」
「ほらやっぱり。ヒル魔くんにとっての毒、ってことでしょ?」
カップに口をつける。それは甘く柔らかくまもりの心を宥める。
「美味しい」
「砂糖は毒なんだよ」
「んもう、何を根拠に・・・」
ヒル魔はシュガーポットを引き寄せ、砂糖をスプーンに掬い取る。
さらさらと意味なく戻す行為に、まもりの視線は引きよせられる。
まずヒル魔が砂糖を持っているというのが似合わない。
実は塩です、とか言われたほうがしっくり来る。
けれどこのミルクティは甘い。ちゃんと甘い。
塩なんかじゃない。
「砂糖は中毒になる」
ヒル魔はシュガーポットの蓋を閉じて、まもりを見る。
「上白糖やグラニュー糖等の精製された砂糖がそれに当たる」
まるで講義をするようにヒル魔は口角を上げた。
「砂糖を口にすると、血糖値が急上昇した後に急降下して低血糖に陥る。急激なその落差に体が甘いものを求める。そうして人は甘いものを食い続けずにはいられない」
まもりは紅茶をちらりと見た。
たっぷりと砂糖が溶け込んだミルクティ。
「しまいには頭が砂糖で溶けて死ぬぞ」
「・・・それは嘘でしょう」
そう言いながらも、まもりは紅茶を飲むのを止めてしまった。
「なんでそんなこと、言うの」
ヒル魔はにやにやと笑っていたが、不意にまもりに手招きする。
「何? コーヒーのおかわり?」
「こっち来い」
笑みを消さずに招きよせるその仕草に、まもりは嫌な予感がしながらも立ち上がって近寄る。
結局のところ、彼の言うことは聞いてしまうのだ。
つくづく甘いと自分でも思う。
「何よ」
「砂糖は中毒になる、っつったろ」
まもりを引く腕。
抱き寄せられ、膝に乗り上げてしまう。
「ちょっと! 何この体勢!」
羞恥で暴れるまもりをものともせず、ヒル魔は易々と抱える。
そうして首筋に舌を這わせた。
「甘いモンなんざ死ぬ程嫌ェなこの俺が」
その感覚に震えるまもりに喉声で低く笑う。
「砂糖ばっか食ったテメェが欲しくてたまらなくなる」
「な・・・!」
真っ赤になったまもりの唇を奪い、ヒル魔は口角をつり上げる。
「あー、糞甘ェ」
だから毒だろ、と囁かれて。
「判ってて積極的に摂ろうとするんだから、同情の余地なんてないわよ!」
そう言ってその唇に腹立ち紛れに噛み付いたのだった。

それでも彼は笑ったけれど。

***
友達がそんな話をしてたので。
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