旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
曲がりくねった洞窟の中を歩いていくと、不意に彼女が口を開いた。
「・・・父の話していた通りですね」
「え?」
「貴方という人はとても大きいと聞きました」
「そうかな。確かに君たちに比べると大きいと思うけれど・・・」
人間の少女だと思ったが、地底人であればもう成人しているのかもしれない。
地底人は総じて体が小さいのだ。しかも高見は天空人の中でも背の高い方だ。
「体の大きさではありませんよ。器です」
くすくすと笑う少女はすっと指差した。
「ほら、あそこです。転がっている岩石は全て貴方が欲していたものです」
「これはありがたい! よかった、これで薬が作れるよ」
高見はふと思いつく。
「そうだ、まだ先で影響があるかないかもわからないけれど、今回作った薬を地底にも分けておきたいんだ」
「いいんですか?」
「勿論。地上で使用した後にこちらに持ってくるから。どこに置けばいいかな?」
「・・・それなら、これを」
彼女は高見の指輪に触れると何かを呟いた。
と、指輪が鈍く光る。
「これは?」
「これで私と貴方の指輪が繋がりました」
高見は目を見開く。
彼女の手にも、同じような指輪がある。
それも鈍く光っていた。
けれど驚くべきは彼女が指輪をしているということだ。
指輪を持つのは、王族のみ。
ならば、彼女は。
「薬をお持ちくださったら、この指輪に向かって私の名を呼んでください」
彼女はふわりと笑う。
「私の名は小春。貴方と対面した王の娘です。お待ちしてます、高見さん」
高見は手にしていた雲を全て飲み込んだ。
「・・・というのが彼女との出会いなんだ」
まもりはへえ、と相槌を打った。彼女もまだ地底人と会ったことはない。
再び新しい雲をちぎりながら、高見は続ける。
「それから薬を届けに行ってね。彼女とまた話をしたんだ」
地底人は地底に住むが、地上にも出られる。
高見が薬を持っていくと、彼女は大事そうにそれを受け取った。
「使わなくて済むならそれに越したことはないんだけれど」
「そうですね」
明るい日差しの下で見た彼女は、こないだの闇の中で見たときとは違う美しさがあった。
漆黒の髪は日差しを弾いてきらきらと輝き、真っ白な肌はより一層白さを際立たせた。
「高見さんは地底人の食事を知ってますか?」
「え? ・・・そういえば知らないなあ」
「私たちは花の蜜を食べるんですよ」
彼女はおもむろにその場に生えていた花をぷちりと毟った。
そのままひょい、と唇に花をくわえる。
唇に花咲くその姿が一瞬思いもしなかった色香を放ち、高見は平静を装うために静かに口を開く。
「そうなると結構な量を採らないとならないね」
「あと果物も。地底に生る果物があるんです。それが主食なんですよ」
「へえ。それは一度見てみたいね」
「見ますか?」
すい、と小さくて柔らかな手が、高見の手に触れる。
無邪気なそれに、高見は苦笑した。
「いくらなんでも、俺が行くのはまずいだろう? 俺が許されたのはあくまで鉱物発掘の岩石採取だけなんだから」
地底人の主食が生るところは確かに興味深いし見てみたいが、その場所に足を踏み入れるのは憚られた。
目に見えない彼特有の何かで果物に影響があってもまずい。
なによりおそらくは最も深部にあるだろうその場に足を踏み入れるのはいかに連れて行くのが小春で、相手が高見であっても禁忌だろう。
それに小春はしゅんと俯いた。
<続>
「・・・父の話していた通りですね」
「え?」
「貴方という人はとても大きいと聞きました」
「そうかな。確かに君たちに比べると大きいと思うけれど・・・」
人間の少女だと思ったが、地底人であればもう成人しているのかもしれない。
地底人は総じて体が小さいのだ。しかも高見は天空人の中でも背の高い方だ。
「体の大きさではありませんよ。器です」
くすくすと笑う少女はすっと指差した。
「ほら、あそこです。転がっている岩石は全て貴方が欲していたものです」
「これはありがたい! よかった、これで薬が作れるよ」
高見はふと思いつく。
「そうだ、まだ先で影響があるかないかもわからないけれど、今回作った薬を地底にも分けておきたいんだ」
「いいんですか?」
「勿論。地上で使用した後にこちらに持ってくるから。どこに置けばいいかな?」
「・・・それなら、これを」
彼女は高見の指輪に触れると何かを呟いた。
と、指輪が鈍く光る。
「これは?」
「これで私と貴方の指輪が繋がりました」
高見は目を見開く。
彼女の手にも、同じような指輪がある。
それも鈍く光っていた。
けれど驚くべきは彼女が指輪をしているということだ。
指輪を持つのは、王族のみ。
ならば、彼女は。
「薬をお持ちくださったら、この指輪に向かって私の名を呼んでください」
彼女はふわりと笑う。
「私の名は小春。貴方と対面した王の娘です。お待ちしてます、高見さん」
高見は手にしていた雲を全て飲み込んだ。
「・・・というのが彼女との出会いなんだ」
まもりはへえ、と相槌を打った。彼女もまだ地底人と会ったことはない。
再び新しい雲をちぎりながら、高見は続ける。
「それから薬を届けに行ってね。彼女とまた話をしたんだ」
地底人は地底に住むが、地上にも出られる。
高見が薬を持っていくと、彼女は大事そうにそれを受け取った。
「使わなくて済むならそれに越したことはないんだけれど」
「そうですね」
明るい日差しの下で見た彼女は、こないだの闇の中で見たときとは違う美しさがあった。
漆黒の髪は日差しを弾いてきらきらと輝き、真っ白な肌はより一層白さを際立たせた。
「高見さんは地底人の食事を知ってますか?」
「え? ・・・そういえば知らないなあ」
「私たちは花の蜜を食べるんですよ」
彼女はおもむろにその場に生えていた花をぷちりと毟った。
そのままひょい、と唇に花をくわえる。
唇に花咲くその姿が一瞬思いもしなかった色香を放ち、高見は平静を装うために静かに口を開く。
「そうなると結構な量を採らないとならないね」
「あと果物も。地底に生る果物があるんです。それが主食なんですよ」
「へえ。それは一度見てみたいね」
「見ますか?」
すい、と小さくて柔らかな手が、高見の手に触れる。
無邪気なそれに、高見は苦笑した。
「いくらなんでも、俺が行くのはまずいだろう? 俺が許されたのはあくまで鉱物発掘の岩石採取だけなんだから」
地底人の主食が生るところは確かに興味深いし見てみたいが、その場所に足を踏み入れるのは憚られた。
目に見えない彼特有の何かで果物に影響があってもまずい。
なによりおそらくは最も深部にあるだろうその場に足を踏み入れるのはいかに連れて行くのが小春で、相手が高見であっても禁忌だろう。
それに小春はしゅんと俯いた。
<続>
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鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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