旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「ちょっと、返してよ!」
「ここに書くか? 希望大学・炎馬大。理由・糞チビってなァ」
ぴら、と夕闇に閃く白紙。
「そんなこと・・・書けるわけないじゃない」
まもりは唇を噛みしめた。
よくよく判っている。
もしそんな理由で大学を選んだら、今度こそセナをダメにすることくらい。
来秋、セナはアメリカのノートルダム大学附属高校にアメフト留学することになった。
驚愕しながら、それでもセナは期待に胸を膨らませて瞳を輝かせていた。
彼はもう、とうにまもりから自立しているのだ。
気にしているのは彼女だけ。まもりだけが、まだ夕暮れに立ち止まっている。
「じゃあ何で今も白紙のままなんだ」
テメェなら思い切れば早いだろうに、と呆れる彼の横顔を見て、まもりはきゅっと眉を寄せた。
自分のために、自分のためだけに、選べられたら。
迷いも何もなく済んだだろう。
けれど、もしここで最京大を選んでしまえば、今度は理由がセナからヒル魔になるだけなのだ。
結局、誰かを守るということを自らの存在意義にしつづけなければならないのか、と暗澹たる気持ちになる。
ぐるぐると永遠に、守り続ける理由となる人を探し続ける。
夕暮れから抜け出せず、昼にも夜にもいけないままに。
「テメェが何考えてるかは大体判るが、そりゃ考えすぎって奴だ」
その言葉に我に返って彼を見れば、ヒル魔はまもりの調査用紙にがりがりと記入していた。
「って、ええ?! ちょっと、何書いてるのよ!!」
「おら」
あっけなく返ってきたそこには、希望進路先に最京大とあり、理由に―――
「理由に『姉崎まもり』って・・・何コレ」
「そのまんまだろ」
「え?」
「テメェが守るべきは、糞チビでもなけりゃ俺でもねぇ」
ヒル魔は飄々と告げる。
「テメェ自身だ」
まもりは息を呑む。
「俺は全力でテメェを攻めてやろう」
尊大に言い放つ彼に、まもりはぱちぱちと瞬きをする。
「それって・・・別に、同じ大学に行かなければ済む話じゃ」
「俺がみすみすそれを許すとでも? 俺が本気になったらテメェの逃げ道なんざゼロに等しいぞ」
にたあ、とヒル魔が笑みを浮かべる。悪魔じみたその表情。
「テメェの勝率は限りなく低いが、まだゼロじゃねぇ」
呆然と立ち尽くすまもりの腕を、ヒル魔は強引に引いた。
半ば引きずられるように足を運びながら、まもりは呆気にとられたまま彼を見上げた。
「そうすりゃテメェは必死になんだろ」
そうして他のことなど考えられまい、と言われ。
その眸が―――いつもの、アメフトの時に見せるような真摯な彩りで煌めいていたので。
まもりはじわじわと頬を染め、掴まれていた腕を強引に振り払った。
「ななな何でもかんでもヒル魔くんの思うとおりになると思ったら大間違いなんだからー!」
真っ赤な顔で、更に。
「ヒル魔くんの自意識過剰ー!!」
そう腹の底から叫んでまもりはその場から逃げ出した。
ケケケ! という特徴的な笑い声を背に聞きながら、まもりは全力で駆ける。
夕暮れに立ち止まらず、その先へ。
夜へ。
そうしてその果ては、朝になる。
***
悠様リクエスト『輪廻』『シャボン玉』『世界に二人』でした。きっとこういう話をご希望なんだろうなあ、というのの斜め上を目指しました!(どうあっても笑いか意外性が欲しい鳥)
なんだか最近春めいて来たせいか、こういう卒業間近的な話が多く浮かびます。
うーん青い春ですねえ。リクエストありがとうございました!
「ここに書くか? 希望大学・炎馬大。理由・糞チビってなァ」
ぴら、と夕闇に閃く白紙。
「そんなこと・・・書けるわけないじゃない」
まもりは唇を噛みしめた。
よくよく判っている。
もしそんな理由で大学を選んだら、今度こそセナをダメにすることくらい。
来秋、セナはアメリカのノートルダム大学附属高校にアメフト留学することになった。
驚愕しながら、それでもセナは期待に胸を膨らませて瞳を輝かせていた。
彼はもう、とうにまもりから自立しているのだ。
気にしているのは彼女だけ。まもりだけが、まだ夕暮れに立ち止まっている。
「じゃあ何で今も白紙のままなんだ」
テメェなら思い切れば早いだろうに、と呆れる彼の横顔を見て、まもりはきゅっと眉を寄せた。
自分のために、自分のためだけに、選べられたら。
迷いも何もなく済んだだろう。
けれど、もしここで最京大を選んでしまえば、今度は理由がセナからヒル魔になるだけなのだ。
結局、誰かを守るということを自らの存在意義にしつづけなければならないのか、と暗澹たる気持ちになる。
ぐるぐると永遠に、守り続ける理由となる人を探し続ける。
夕暮れから抜け出せず、昼にも夜にもいけないままに。
「テメェが何考えてるかは大体判るが、そりゃ考えすぎって奴だ」
その言葉に我に返って彼を見れば、ヒル魔はまもりの調査用紙にがりがりと記入していた。
「って、ええ?! ちょっと、何書いてるのよ!!」
「おら」
あっけなく返ってきたそこには、希望進路先に最京大とあり、理由に―――
「理由に『姉崎まもり』って・・・何コレ」
「そのまんまだろ」
「え?」
「テメェが守るべきは、糞チビでもなけりゃ俺でもねぇ」
ヒル魔は飄々と告げる。
「テメェ自身だ」
まもりは息を呑む。
「俺は全力でテメェを攻めてやろう」
尊大に言い放つ彼に、まもりはぱちぱちと瞬きをする。
「それって・・・別に、同じ大学に行かなければ済む話じゃ」
「俺がみすみすそれを許すとでも? 俺が本気になったらテメェの逃げ道なんざゼロに等しいぞ」
にたあ、とヒル魔が笑みを浮かべる。悪魔じみたその表情。
「テメェの勝率は限りなく低いが、まだゼロじゃねぇ」
呆然と立ち尽くすまもりの腕を、ヒル魔は強引に引いた。
半ば引きずられるように足を運びながら、まもりは呆気にとられたまま彼を見上げた。
「そうすりゃテメェは必死になんだろ」
そうして他のことなど考えられまい、と言われ。
その眸が―――いつもの、アメフトの時に見せるような真摯な彩りで煌めいていたので。
まもりはじわじわと頬を染め、掴まれていた腕を強引に振り払った。
「ななな何でもかんでもヒル魔くんの思うとおりになると思ったら大間違いなんだからー!」
真っ赤な顔で、更に。
「ヒル魔くんの自意識過剰ー!!」
そう腹の底から叫んでまもりはその場から逃げ出した。
ケケケ! という特徴的な笑い声を背に聞きながら、まもりは全力で駆ける。
夕暮れに立ち止まらず、その先へ。
夜へ。
そうしてその果ては、朝になる。
***
悠様リクエスト『輪廻』『シャボン玉』『世界に二人』でした。きっとこういう話をご希望なんだろうなあ、というのの斜め上を目指しました!(どうあっても笑いか意外性が欲しい鳥)
なんだか最近春めいて来たせいか、こういう卒業間近的な話が多く浮かびます。
うーん青い春ですねえ。リクエストありがとうございました!
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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