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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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ミオクローヌス(上)

(ヒルまも)

+ + + + + + + + + +
朝食を食べ終えたあたりで、まもりの肩がぴくんと跳ね上がった。
「・・・っ」


まもりはいつもよりも少々遅れて登校してきた。
とはいえ彼女はアメフト部の中でもヒル魔と並んで登校が早いため、遅いと言っても他の部員とほとんど変わらない時刻にやってきたのだが。
「おは、よう」
まもりが何とも言い難い渋い顔なのを、着替え終えて部室に集まっていた部員達は不思議そうに見つめる。
そんな渋い顔、ヒル魔が悪巧みをしているのを目撃したときにしかしないのではないか。
「ああ、なんでもない―――」
自らに注がれる心配そうな視線に気づいて、まもりは説明をしようとしたが。
「ひっく!」
「あ」
「まもりサン、しゃっくりッスか?」
「しゃっくりって百回するとヤベェんじゃなかったかぁ?」
「ひっく」
「ハ? 百万回じゃねえ?」
「アハーハー!」
「意味なく回るんじゃねぇよ! ・・・ハァ」
「フゴ?」
「ひっく」
「姉崎さん、ご飯飲み込むといいって言うよ」
「水を飲むといいって。茶碗の向こう側をこう・・・」
「うん、それはどっちも試してみたんだけど、収まらなくて・・っく」
げんなりした顔のまもりに皆であーでもないこーでもない、と額を付き合わせて語る。
「死ぬのはともかく、疲れるだろう」
ムサシの労りに、まもりはこくりと頷く。
「とりあえず気にしすぎると、ひっく、治らない気がするから、ひっく、放っておくことにするわ」
引きつけるように胸元を押さえるまもりはしんどそうで、どうにからならいかとセナはヒル魔の姿を探した。
数知れない情報網と人脈を持つ彼のことだ、しゃっくりの対処法なども詳しそうだ、と思ったのだが。
「あれ?」
「どうしたの?」
「いや、ヒル魔さんの姿、そういえば見てないなって・・・」
彼にも先ほど挨拶をしたのだ、彼が休みではないことは確実で。
けれど部員がわいわいと集まるこの部室にはおらず、パソコンも閉じられたまま。
「あれ、今、何時?」
まもりの声に揃って時計を見たと同時に。
「テメェら!! もう練習開始時間過ぎてんだろうが!!」
スッパァアアン、と小気味いい音を立てて扉が開いた。
そこから光を背に立つのは噂の悪魔。
そう、彼は既に外に出て練習の準備をしていたのだった。
「ヒィイイイイ!!!」
セナをはじめとした部員は飛び上がり、我先にと外へ飛び出す。
「ったく!!」
舌打ちしたヒル魔は、まだ制服姿のまもりを見つけてピンと片眉を上げた。
「あ、ごめ、ひっく、ん、ね」
「ア?」
様子がおかしいのを気づきつつも、ヒル魔は追求することなく。
「さっさと出てこい」
とだけ告げて踵を返した。

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