旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
そうしていつも通り朝の練習も終了し。
栗田が心配そうに前を歩くまもりの背を見た。
「姉崎さんのしゃっくり、どうやったら止まるだろう」
ムサシは小指で耳を穿りながら肩をすくめる。
「ヒル魔の声で驚いてくれりゃあ止まったんだろうがな」
「もう慣れちゃってるもんね」
幸か不幸か、ヒル魔の突拍子もない行動も言動も部員一同すり込まれているため、あまり心底驚くことがないのだ。
朝練を終えても尚、まもりのしゃっくりは止まらなかった。
本人も気にしないと言ったため、皆が騒ぐのは止めたが、やはり気になる。
「後で僕も調べてみますね」
雪光が告げると、部員達はお願いしますと口々に言って教室に向かった。
頭脳系のことは全く不得手な部員達なのである。
けれど。
予想に反して、まもりのしゃっくりは延々と続いた。
ずっと続くわけでもないが、時々途切れてまた思い出したようにぶり返す。
くしゃみをすればいいとか、擽られるといいとか、うがいをするといいとか。
授業の合間に心配したクラスメイト達が知る民間療法を次々に試してみたが効果はない。
そんな一日を過ごし、まもりは朝よりも一層げんなりした顔で部室に顔を出した。
「やー。まも姐窶れてない?」
自分の授業が終わるなり泥門高校にやって来た鈴音が眉を寄せた。
「うーん、ちょっとね」
苦笑するまもりの言葉を、モン太が補足する。
「朝からずっとしゃっくりMAXなんだぞ」
「朝からずっと?! それ大変じゃない! 驚かしてあげようか!?」
それにまもりは苦笑を深めて手を振る。
「止めようとしても止まらないの。ずっとしゃっくりしてるのも案外疲れるわ」
知らなかったわ、とぼやくまもりに部員達は調べてくれると請け負ってくれた雪光の情報に期待したが。
「うーん、具体的に止める方法はどこにもなくて。自然に止まるのを待つ、としか」
「だって、止まらないんスよ?」
「そうなんだよね」
困ったねえ、と全員が眉尻を下げたところに、ヒル魔が顔を出した。
そうしてまもりの顔を見て眉を寄せる。
「まだ止まらねぇのか」
「そうな、ひっく、のよ」
ヒル魔はふーん、と興味のなさそうな声で応じて。
そうして、おもむろに椅子に腰掛けてパソコンを立ち上げる。
「おい、まもり。コーヒー寄越せ」
「ああ・・・」
まもりは疲れた雰囲気でカウンター裏のコーヒーメーカーの傍らに行こうとして。
「―――!!!???」
ぴしっと動きを止めた。
そうしてそれは部員達も一緒で。
今、彼は。
ヒル魔は、彼女のことを、なんと呼んだ?
「聞こえなかったか?」
ヒル魔の口角がにやりと上がる。
「まもり」
その途端、まもりは文字通り飛び上がった。ただし無言のまま。
そうしてまるで油の切れた歯車のようにギクシャクとした動きでもって、カウンターの後ろに歩き出す。
「な、・・・」
全員が言葉を失う中、ヒル魔はふん、と鼻を鳴らした。
<続>
栗田が心配そうに前を歩くまもりの背を見た。
「姉崎さんのしゃっくり、どうやったら止まるだろう」
ムサシは小指で耳を穿りながら肩をすくめる。
「ヒル魔の声で驚いてくれりゃあ止まったんだろうがな」
「もう慣れちゃってるもんね」
幸か不幸か、ヒル魔の突拍子もない行動も言動も部員一同すり込まれているため、あまり心底驚くことがないのだ。
朝練を終えても尚、まもりのしゃっくりは止まらなかった。
本人も気にしないと言ったため、皆が騒ぐのは止めたが、やはり気になる。
「後で僕も調べてみますね」
雪光が告げると、部員達はお願いしますと口々に言って教室に向かった。
頭脳系のことは全く不得手な部員達なのである。
けれど。
予想に反して、まもりのしゃっくりは延々と続いた。
ずっと続くわけでもないが、時々途切れてまた思い出したようにぶり返す。
くしゃみをすればいいとか、擽られるといいとか、うがいをするといいとか。
授業の合間に心配したクラスメイト達が知る民間療法を次々に試してみたが効果はない。
そんな一日を過ごし、まもりは朝よりも一層げんなりした顔で部室に顔を出した。
「やー。まも姐窶れてない?」
自分の授業が終わるなり泥門高校にやって来た鈴音が眉を寄せた。
「うーん、ちょっとね」
苦笑するまもりの言葉を、モン太が補足する。
「朝からずっとしゃっくりMAXなんだぞ」
「朝からずっと?! それ大変じゃない! 驚かしてあげようか!?」
それにまもりは苦笑を深めて手を振る。
「止めようとしても止まらないの。ずっとしゃっくりしてるのも案外疲れるわ」
知らなかったわ、とぼやくまもりに部員達は調べてくれると請け負ってくれた雪光の情報に期待したが。
「うーん、具体的に止める方法はどこにもなくて。自然に止まるのを待つ、としか」
「だって、止まらないんスよ?」
「そうなんだよね」
困ったねえ、と全員が眉尻を下げたところに、ヒル魔が顔を出した。
そうしてまもりの顔を見て眉を寄せる。
「まだ止まらねぇのか」
「そうな、ひっく、のよ」
ヒル魔はふーん、と興味のなさそうな声で応じて。
そうして、おもむろに椅子に腰掛けてパソコンを立ち上げる。
「おい、まもり。コーヒー寄越せ」
「ああ・・・」
まもりは疲れた雰囲気でカウンター裏のコーヒーメーカーの傍らに行こうとして。
「―――!!!???」
ぴしっと動きを止めた。
そうしてそれは部員達も一緒で。
今、彼は。
ヒル魔は、彼女のことを、なんと呼んだ?
「聞こえなかったか?」
ヒル魔の口角がにやりと上がる。
「まもり」
その途端、まもりは文字通り飛び上がった。ただし無言のまま。
そうしてまるで油の切れた歯車のようにギクシャクとした動きでもって、カウンターの後ろに歩き出す。
「な、・・・」
全員が言葉を失う中、ヒル魔はふん、と鼻を鳴らした。
<続>
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鳥(とり)
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女性
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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