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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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夕暮れに、立つ。(上)

(ヒルまも)
※高校三年生秋口。
※リクエスト作品。

+ + + + + + + + + +
日が暮れる。
日に日に、段々と早くなって、落ちていく。
真夏の前から日は早く落ちていっているのに、実感するのは肌寒くなる頃から。
寒さと共に押し寄せる感覚だからだろうか。
夕暮れはどこか不安な心地になる。
「もう暗くなっちゃったね」
その声に、ヒル魔はちらりと隣を伺う。
まもりは視線に気づいて小首を傾げた。
けれど、その頬は、微妙に歪んでいて。
ヒル魔はふいと視線を反らす。
「・・・変な面してんぞ」
「失敬な!」
んもう! と応じる声も。
どこかそう―――ぎこちない。
「テメェ、まだ進路調査票出してねぇんだってなァ」
視線を合わすこともしないまま、ヒル魔がそう口にする。
まもりは瞠目し、動きを止めた。
「なんで、ってそれは愚問ね」
「そーだな。それに俺が言うべきだろ、それは」
ヒル魔もぴたりと足を止める。
「来るんだろ」
疑問形ではない。既に、確定したものとしての、言葉。
まもりは足を止め、右手に持っていた鞄を両手で持った。
自らを守る楯とするように。勿論、そんな威力はかけらもないことも認識している。
気休めだ。
その中に、白紙の進路調査票が入っている。
判っているのだ。もう、この用紙を出す最終締め切りがとうに過ぎていることくらい。
けれど。
「最京大は、遠いわ」
地元とは遠く隔たった、関西。
そこにある最京大学。
確かに彼女の希望する学部はあるし、レベル的にも適当で、アメフト部としても強豪校だ。
ヒル魔からそこを希望するのだと聞かされた時に、ああ、それなら自分も行けるな、と思ったのも事実。
「今更関西くらいで何抜かす」
国が隔たっているのならともかく、という言外のニュアンスに、まもりは瞳を伏せる。
いつになく躊躇いがちなその様子に、ヒル魔は淡々としたまま口を開いた。
「いい加減、糞チビから離れろ」
「ッ!」
まもりはびくりと肩を震わせ、ぱっとヒル魔を見上げる。
何故、という無言の問いかけに彼は肩をすくめた。
まもりの人生は、少なくとも高校二年の半ばまでは、セナを中心に回っていた。
脆くて弱い彼を守ろうと必死になっていた。
それは不要なことだと目の前の男に気づかされて、セナから手を離した。
でもどうしても、気になるのだ。
もしまもりが最京大に行ってしまえば、セナとは離ればなれになる。
彼のアメフトの才能を考えれば、最京大への推薦もあるかもしれないが、それはまだ推測の域を出ない。
セナが行けるのは、学力的に見て近場の炎馬大くらい。
あそこならまもりの希望する学部もあるのだ、という誘惑に気持ちが傾いているのも事実。
「物心ついてから、今まで」
立ち止まったまま、まもりは鞄を握りしめた。
まるでそれだけが縋り付けるものだと言わんばかりに、強く。
「ずっと、ずっと・・・セナだけだったんだもの」
まもりの世界は、まもりとセナと、それ以外で出来ていた。
彼を守ることが、まもりの存在意義だった。
「・・・」
無言のまま立ち止まるまもりに、ヒル魔はつかつかと歩み寄った。
そうして面倒そうに頭を掻くと、まもりの鞄を取り上げた。
「あっ」
彼女が止める間もなく、さっと鞄から取り出されたのは件の調査票。
取り出したら他に用はない、とばかりにまもりに鞄を押し返す。

<続>
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同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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