旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
桜が葉桜に変わり、新たな学生生活に慣れつつある春の日。
キャンパス内でアメフト部へと向かっていたまもりは二人連れの男子学生に声を掛けられていた。
特に急ぐ訳でもなかったまもりは足を止め、男子学生たちに向き直ったが。
間もなく聞こえてきたヒタヒタという足音に気づき、そちらに視線を向けた。
「ケルちゃん」
その言葉に、まもりを口説こうと躍起になっていた男子学生たちの顔が強ばった。
「う、わ」
「ケ、ケルベロス・・・」
怯えたように後ずさる彼らに、ケルベロスは悠然と歩み寄る。
どちらかと言えばずんぐりむっくりという表現が近い姿だが、やる気になった時の彼の攻撃はとんでもなく恐ろしい。
言うまでもなく、やる気とは殺る気と書く。
ヒル魔が泥門高校から連れてきた地獄の番犬は、まだやって来てから日が浅いはずなのにもうキャンパスを牛耳っていて、知らぬ者などいない。
「どうしたの? お腹空いちゃった?」
しゃがみ込んでケルベロスを撫でるまもりには男子学生たちの気持ちなど微塵も判らない。
「あ、の・・・俺たちちょっと用事思い出したんで・・・」
「お、俺も! 教授に呼ばれてたんやった・・・」
まもりの手がケルベロスから離れないうちに、じりじりと彼らは後ずさる。
背後を見ていなかった彼らのうちの一人の足が、黒革の靴にぶつかった。
「オイ、靴に傷が付いたぞ」
「!!」
「ヒ、ィイイイイイ!!!」
出たァ!! と叫びながら学生達が砂煙を上げて逃げ出した。
ケルベロスと同じく、いやそれ以上にヒル魔もキャンパス内では知らぬ者のないくらい有名になっている。勿論悪名でである。
彼はふんと鼻を鳴らし、脅迫手帳になにやらガリガリと書き込んでいる。
「あ! ヒル魔くん、無闇矢鱈に人を脅迫しちゃダメよ!」
「そんなことしてませーん」
わざと間延びした声で応じる彼の足音は、ない。
そうして、気配も極端に殺して普段は移動している。
だからこそ大概の人間は声が掛かって初めて彼の存在に気づく。そうして、突然に現れたように感じられて、気づかなかった気まずさも含めて過剰に驚くのだ。
「んもう、せめてケルベロスくらいには足音させてくれたらいいのに」
「テメェは気づくだろ」
「それは付き合いの長さの差です!」
ねー、とまもりは撫でていたケルベロスの顔を覗き込んだ。
「ん?」
ケルベロスはふんふんと鼻を鳴らし、まもりにすり寄る。
「あらら、何?」
まもりは笑みを深め、嬉しげにその腕を広げる。
迎え入れられるまま、ケルベロスは彼女の胸にばふりと顔を埋めた。
その尾がちぎれんばかりに振られている。
「どうしたの? 甘えん坊になっちゃって?」
そうは言いつつも、決して嫌そうではない声にヒル魔の機嫌がみるみる下降する。
小さく舌打ちしてハグされているケルベロスを見れば、まるで勝ち誇ったような顔をしているではないか。
「ア?」
そうして、そのままケルベロスはまもりの顔をぺろりと舐めた。
まるで見せつけるように。
「きゃ! くすぐったいわよ、ケルちゃん!」
「・・・オイ」
「あはは! もー、おいたするならもっと撫でちゃうんだから!」
きゃっきゃっと楽しげに声を上げるまもりにヒル魔はピキピキと青筋を浮かべた。
<続>
キャンパス内でアメフト部へと向かっていたまもりは二人連れの男子学生に声を掛けられていた。
特に急ぐ訳でもなかったまもりは足を止め、男子学生たちに向き直ったが。
間もなく聞こえてきたヒタヒタという足音に気づき、そちらに視線を向けた。
「ケルちゃん」
その言葉に、まもりを口説こうと躍起になっていた男子学生たちの顔が強ばった。
「う、わ」
「ケ、ケルベロス・・・」
怯えたように後ずさる彼らに、ケルベロスは悠然と歩み寄る。
どちらかと言えばずんぐりむっくりという表現が近い姿だが、やる気になった時の彼の攻撃はとんでもなく恐ろしい。
言うまでもなく、やる気とは殺る気と書く。
ヒル魔が泥門高校から連れてきた地獄の番犬は、まだやって来てから日が浅いはずなのにもうキャンパスを牛耳っていて、知らぬ者などいない。
「どうしたの? お腹空いちゃった?」
しゃがみ込んでケルベロスを撫でるまもりには男子学生たちの気持ちなど微塵も判らない。
「あ、の・・・俺たちちょっと用事思い出したんで・・・」
「お、俺も! 教授に呼ばれてたんやった・・・」
まもりの手がケルベロスから離れないうちに、じりじりと彼らは後ずさる。
背後を見ていなかった彼らのうちの一人の足が、黒革の靴にぶつかった。
「オイ、靴に傷が付いたぞ」
「!!」
「ヒ、ィイイイイイ!!!」
出たァ!! と叫びながら学生達が砂煙を上げて逃げ出した。
ケルベロスと同じく、いやそれ以上にヒル魔もキャンパス内では知らぬ者のないくらい有名になっている。勿論悪名でである。
彼はふんと鼻を鳴らし、脅迫手帳になにやらガリガリと書き込んでいる。
「あ! ヒル魔くん、無闇矢鱈に人を脅迫しちゃダメよ!」
「そんなことしてませーん」
わざと間延びした声で応じる彼の足音は、ない。
そうして、気配も極端に殺して普段は移動している。
だからこそ大概の人間は声が掛かって初めて彼の存在に気づく。そうして、突然に現れたように感じられて、気づかなかった気まずさも含めて過剰に驚くのだ。
「んもう、せめてケルベロスくらいには足音させてくれたらいいのに」
「テメェは気づくだろ」
「それは付き合いの長さの差です!」
ねー、とまもりは撫でていたケルベロスの顔を覗き込んだ。
「ん?」
ケルベロスはふんふんと鼻を鳴らし、まもりにすり寄る。
「あらら、何?」
まもりは笑みを深め、嬉しげにその腕を広げる。
迎え入れられるまま、ケルベロスは彼女の胸にばふりと顔を埋めた。
その尾がちぎれんばかりに振られている。
「どうしたの? 甘えん坊になっちゃって?」
そうは言いつつも、決して嫌そうではない声にヒル魔の機嫌がみるみる下降する。
小さく舌打ちしてハグされているケルベロスを見れば、まるで勝ち誇ったような顔をしているではないか。
「ア?」
そうして、そのままケルベロスはまもりの顔をぺろりと舐めた。
まるで見せつけるように。
「きゃ! くすぐったいわよ、ケルちゃん!」
「・・・オイ」
「あはは! もー、おいたするならもっと撫でちゃうんだから!」
きゃっきゃっと楽しげに声を上げるまもりにヒル魔はピキピキと青筋を浮かべた。
<続>
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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