旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
部員の誰かがぽつりと呟いた一言。
『足に鉤爪でもあるんじゃ・・・』
勿論そんなはずはない。
だが、とんでもない悪路でも彼は転ぶことがなかったため、そう言いたくなる気持ちも分かる。
それが発端で、なんとなく彼の足を見ることが多くなった。
彼は部活の練習の時はスパイクで、それ以外は革靴で過ごしている。
今もパソコンをいじりながら揺れる足先は黒い革の中。
「なに見てやがんだ、糞マネ」
「え?」
「糞マネは糞足フェチでいらっしゃいますか?」
「ふぁ・・・ふぇ・・・!? 違います!」
まもりは慌てて作業途中だったデータを並べ替える。
あっという間に綺麗に整頓されたフォルダをファイリングキャビネットに収納し、そのままコーヒーメーカーに近寄る。
「コーヒー飲むでしょ?」
「おー」
スイッチを入れ、カップをポットのお湯で温める。
家で母がやっているので当たり前のようにやっていたが、当初差し出したカップの温度にヒル魔は片眉を上げたな、と思い出す。
そう昔の話じゃない。たった半年前の事だ。
随分長いこと関わっている気もするが、そんなこともないのだと不思議な気分になった。
ぼんやりしていても身体は動く。カップを温めていたお湯を捨て、淹れたてのコーヒーを注ぐ。
彼の前に置くと、躊躇いもなく持ち上げて口をつける。
自らはカフェオレにしたコーヒーを手に、彼の向かいに座る。
すっかり定位置になったその場所から、先ほど注視していた足先は見えない。
「で?」
「え?」
「俺の足がどうしたんだ?」
「あー・・・と」
まもりは言葉を探す。まさか鉤爪があるのではと疑って見ていましたでは納得しないだろう。
結局、気にはなっていたけれど尋ねたことのないことを口にする。
「ヒル魔くん、ずっと革靴よね」
「ア?」
ヒル魔は訝しげに声を上げる。
「ほら、デス・マーチの時まで革靴で走ってたし。スニーカー持ってないの?」
「学校で使う意外には持ってねぇな」
体育で使用するスニーカー以外に日常使用している物がないと告げられ、まもりは目を丸くする。
「ホントに? 一足も?」
今時そんな高校生がいるのか、と声を上げれば彼はふんと鼻を鳴らした。
「必要ねぇ」
まもりは眉を寄せた。革靴は足に馴染むまで結構かかるし、底にクッションがあるわけじゃないから走るのに向いていないのは明白だ。
だから膝も痛めたのだろうにと向けた視線にも彼は平然としている。
「ずっと革靴なんて窮屈でしょうに」
「ア?」
ヒル魔は不思議そうな声を上げた。そうしてまじまじとまもりを見る。
「・・・何よ」
「アー」
それから彼の視線はまもりの足下へと動き、ローファーに包まれたつま先を見て納得したように頷いた。
「生憎と俺はンな安モンなんざ履かねぇからなァ」
「え?」
「この靴の値段教えてやろうか」
にたあ、と笑われてまもりはいかほどの物かと好奇心で尋ねれば、それは彼女にしては想定外の価格で。
「く、靴でその値段?! 高すぎない!? ちょっとヒル魔くん金銭感覚おかしいわよ! それ以外も結構おかしいけど!」
「さりげなく人をこき下ろしやがったな、糞庶民マネめ」
「だって! ええー?!」
まもりのお小遣いなんて何年貯めたって買えそうにもないその値段。
その価格が元なら、確かに彼にとってはまもりの履いているローファーなんて安物だと思うだろう。
「価値観の違いってやつだ」
<続>
『足に鉤爪でもあるんじゃ・・・』
勿論そんなはずはない。
だが、とんでもない悪路でも彼は転ぶことがなかったため、そう言いたくなる気持ちも分かる。
それが発端で、なんとなく彼の足を見ることが多くなった。
彼は部活の練習の時はスパイクで、それ以外は革靴で過ごしている。
今もパソコンをいじりながら揺れる足先は黒い革の中。
「なに見てやがんだ、糞マネ」
「え?」
「糞マネは糞足フェチでいらっしゃいますか?」
「ふぁ・・・ふぇ・・・!? 違います!」
まもりは慌てて作業途中だったデータを並べ替える。
あっという間に綺麗に整頓されたフォルダをファイリングキャビネットに収納し、そのままコーヒーメーカーに近寄る。
「コーヒー飲むでしょ?」
「おー」
スイッチを入れ、カップをポットのお湯で温める。
家で母がやっているので当たり前のようにやっていたが、当初差し出したカップの温度にヒル魔は片眉を上げたな、と思い出す。
そう昔の話じゃない。たった半年前の事だ。
随分長いこと関わっている気もするが、そんなこともないのだと不思議な気分になった。
ぼんやりしていても身体は動く。カップを温めていたお湯を捨て、淹れたてのコーヒーを注ぐ。
彼の前に置くと、躊躇いもなく持ち上げて口をつける。
自らはカフェオレにしたコーヒーを手に、彼の向かいに座る。
すっかり定位置になったその場所から、先ほど注視していた足先は見えない。
「で?」
「え?」
「俺の足がどうしたんだ?」
「あー・・・と」
まもりは言葉を探す。まさか鉤爪があるのではと疑って見ていましたでは納得しないだろう。
結局、気にはなっていたけれど尋ねたことのないことを口にする。
「ヒル魔くん、ずっと革靴よね」
「ア?」
ヒル魔は訝しげに声を上げる。
「ほら、デス・マーチの時まで革靴で走ってたし。スニーカー持ってないの?」
「学校で使う意外には持ってねぇな」
体育で使用するスニーカー以外に日常使用している物がないと告げられ、まもりは目を丸くする。
「ホントに? 一足も?」
今時そんな高校生がいるのか、と声を上げれば彼はふんと鼻を鳴らした。
「必要ねぇ」
まもりは眉を寄せた。革靴は足に馴染むまで結構かかるし、底にクッションがあるわけじゃないから走るのに向いていないのは明白だ。
だから膝も痛めたのだろうにと向けた視線にも彼は平然としている。
「ずっと革靴なんて窮屈でしょうに」
「ア?」
ヒル魔は不思議そうな声を上げた。そうしてまじまじとまもりを見る。
「・・・何よ」
「アー」
それから彼の視線はまもりの足下へと動き、ローファーに包まれたつま先を見て納得したように頷いた。
「生憎と俺はンな安モンなんざ履かねぇからなァ」
「え?」
「この靴の値段教えてやろうか」
にたあ、と笑われてまもりはいかほどの物かと好奇心で尋ねれば、それは彼女にしては想定外の価格で。
「く、靴でその値段?! 高すぎない!? ちょっとヒル魔くん金銭感覚おかしいわよ! それ以外も結構おかしいけど!」
「さりげなく人をこき下ろしやがったな、糞庶民マネめ」
「だって! ええー?!」
まもりのお小遣いなんて何年貯めたって買えそうにもないその値段。
その価格が元なら、確かに彼にとってはまもりの履いているローファーなんて安物だと思うだろう。
「価値観の違いってやつだ」
<続>
PR
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
アクセス解析
フリーエリア