旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ヒル魔は、背後で不審な動きをするまもりに向かってぐるりと首を巡らせた。
部室のカジノテーブルに備え付けられた椅子に座ってパソコンをいじっていたヒル魔と立っているまもり。
自然、ヒル魔がまもりを見上げる格好になる。
「何やってんだ、糞マネ」
「いや、・・・何でも、ナイデス」
まもりはヒル魔の頭に向かって伸ばしていた手を下ろした。
髪を触りたいのか、とも思ったのだが、まもりの手はそういう動きではなかった。
髪ではなく、髪の上にある何かに触りたい、ような。
そのくせゴミが付いているとかそういうことでもないのだ。
もしゴミが付いていたなら、まもりは一言「ゴミついてるよ。取ろうか?」くらいのことは言ってためらいなくさわりに来るだろうから。
まもりはヒル魔の向かいに座り、部誌を開いた。記入はとうに終わっているはずだが、何か確認だろうか。
「もう仕事終わってんだろ、糞マネ。早く帰れ」
「・・・うん」
いまいち歯切れが悪い。
ヒル魔はまもりがちらちらと頭上を伺うのが気になったが、彼女がどうにもこの場を動く気がないのが分かって手元のパソコンに視線を戻した。こうなればさっさと片付けて、このうすらぼんやりした糞マネを家まで送らねば。
ここであえて他の誰かに送らせる、という選択肢がないあたり、一応『恋人同士』という枠組みにいるのだと他人事のように思う。
「?」
つらつらと考え事をしながらも作業を続けていたヒル魔は、いつの間にかまもりの姿勢が変わっているのに気がついた。
足下を覗き込むようにして、カジノテーブルの下に頭を突っ込んでいる。
けれど椅子からは降りていないので、ヒル魔からは身体を折り曲げて大層窮屈そうな格好をした彼女しか見えない。
「糞マネ、何やってんだ」
「きゃ!」
ごつ。
鈍い音がした。ああ、頭を打ち付けたのかと冷静に分析。
しばしのうなり声が聞こえた後、恨みがましい目をしたまもりがのっそりと顔を出した。
打ち付けたのだろう、後頭部を押さえている。
「痛い」
「変な体勢になってっからだ」
下に何か落ちていてそれを拾いたいとでもいうのなら、無精せず椅子から降りればいいだけの話だ。
アホか、と視線で呟けばまもりはむっと唇を尖らせた。
けれど気持ち視線は上向き。頭の上。
とうとう我慢が切れて、ヒル魔は口を開いた。
「・・・俺の頭に何かついてんのか」
「!!」
まもりは途端に真っ赤になってぴんと背筋を伸ばした。
その様子にヒル魔はようやく終えた作業を保存し、パソコンを閉じながら更に続ける。
「ったく、今日は朝から今までずっと俺の頭やら尻やら見やがって、随分落ち着きのないことデスネ」
まもりは視線をあちこちに飛ばしながら言葉を探しているようだったが、結局何も言えずヒル魔と視線を合わせた。
丸く青い瞳がまっすぐにヒル魔を見つめている。
「終わったの?」
「見りゃわかんだろ」
ヒル魔は既にパソコンをカジノテーブルの上に置き、立ち上がったところだ。
これから帰り支度して扉を出て初めて本日の部活が本当に終了するのだ。
「ねえ、ちょっとこっち来て」
「ア?」
何を言い出すか、と眉を寄せたヒル魔に近寄り、まもりはその腕を引いた。
腕そのものを掴むのではなく、袖口を摘んで引く様子が妙にたどたどしいが、あえて振り払うことでもない。
おとなしくついて行くと、まもりは部室内にあるベンチに腰を下ろした。
「何だ?」
「はい、隣に座って」
「アァ?」
一体何だ、と再び尋ねてもまもりは答えない。
とりあえず隣に座ると、今度はぐい、と腕を引かれた。
<続>
部室のカジノテーブルに備え付けられた椅子に座ってパソコンをいじっていたヒル魔と立っているまもり。
自然、ヒル魔がまもりを見上げる格好になる。
「何やってんだ、糞マネ」
「いや、・・・何でも、ナイデス」
まもりはヒル魔の頭に向かって伸ばしていた手を下ろした。
髪を触りたいのか、とも思ったのだが、まもりの手はそういう動きではなかった。
髪ではなく、髪の上にある何かに触りたい、ような。
そのくせゴミが付いているとかそういうことでもないのだ。
もしゴミが付いていたなら、まもりは一言「ゴミついてるよ。取ろうか?」くらいのことは言ってためらいなくさわりに来るだろうから。
まもりはヒル魔の向かいに座り、部誌を開いた。記入はとうに終わっているはずだが、何か確認だろうか。
「もう仕事終わってんだろ、糞マネ。早く帰れ」
「・・・うん」
いまいち歯切れが悪い。
ヒル魔はまもりがちらちらと頭上を伺うのが気になったが、彼女がどうにもこの場を動く気がないのが分かって手元のパソコンに視線を戻した。こうなればさっさと片付けて、このうすらぼんやりした糞マネを家まで送らねば。
ここであえて他の誰かに送らせる、という選択肢がないあたり、一応『恋人同士』という枠組みにいるのだと他人事のように思う。
「?」
つらつらと考え事をしながらも作業を続けていたヒル魔は、いつの間にかまもりの姿勢が変わっているのに気がついた。
足下を覗き込むようにして、カジノテーブルの下に頭を突っ込んでいる。
けれど椅子からは降りていないので、ヒル魔からは身体を折り曲げて大層窮屈そうな格好をした彼女しか見えない。
「糞マネ、何やってんだ」
「きゃ!」
ごつ。
鈍い音がした。ああ、頭を打ち付けたのかと冷静に分析。
しばしのうなり声が聞こえた後、恨みがましい目をしたまもりがのっそりと顔を出した。
打ち付けたのだろう、後頭部を押さえている。
「痛い」
「変な体勢になってっからだ」
下に何か落ちていてそれを拾いたいとでもいうのなら、無精せず椅子から降りればいいだけの話だ。
アホか、と視線で呟けばまもりはむっと唇を尖らせた。
けれど気持ち視線は上向き。頭の上。
とうとう我慢が切れて、ヒル魔は口を開いた。
「・・・俺の頭に何かついてんのか」
「!!」
まもりは途端に真っ赤になってぴんと背筋を伸ばした。
その様子にヒル魔はようやく終えた作業を保存し、パソコンを閉じながら更に続ける。
「ったく、今日は朝から今までずっと俺の頭やら尻やら見やがって、随分落ち着きのないことデスネ」
まもりは視線をあちこちに飛ばしながら言葉を探しているようだったが、結局何も言えずヒル魔と視線を合わせた。
丸く青い瞳がまっすぐにヒル魔を見つめている。
「終わったの?」
「見りゃわかんだろ」
ヒル魔は既にパソコンをカジノテーブルの上に置き、立ち上がったところだ。
これから帰り支度して扉を出て初めて本日の部活が本当に終了するのだ。
「ねえ、ちょっとこっち来て」
「ア?」
何を言い出すか、と眉を寄せたヒル魔に近寄り、まもりはその腕を引いた。
腕そのものを掴むのではなく、袖口を摘んで引く様子が妙にたどたどしいが、あえて振り払うことでもない。
おとなしくついて行くと、まもりは部室内にあるベンチに腰を下ろした。
「何だ?」
「はい、隣に座って」
「アァ?」
一体何だ、と再び尋ねてもまもりは答えない。
とりあえず隣に座ると、今度はぐい、と腕を引かれた。
<続>
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鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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