旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「ケケケ!」
小馬鹿にした声に煽られ、後を追うようにまもりも立ち上がる。
「セナが! 必要だったから、私、おまけだったでしょう!」
まもりは缶を投げつける。
「セナだけが欲しかったくせに! 私はいらなかったくせに!」
中身の残っていたそれを器用に避けて、ヒル魔はそれでもまもりから手を伸ばせば届く位置に立つ。
ニヤニヤと笑ったままこちらを伺う視線に、まもりの瞳から涙が溢れた。
「私の事なんてどうでもいいくせに!」
まもりは自らの胸の前で両手を握りしめ、叫ぶ。
「私なんか、―――便利なモノとしか思ってないくせ、にぃ!!」
顔をぐしゃぐしゃにして、まもりはその場でよろめき、しゃがみ込む。
「・・・っ、う、ええ・・・っ」
「糞マネ」
「ヒル、魔くん、の・・・バカ・・・」
「おい」
「・・・きらい・・・大ッ嫌い・・・!」
声を上げて泣くまもりへ、ヒル魔は一歩ずつ近づく。
彼女がしゃくり上げて泣き続けるのを見下ろし、ややあって静かに口を開いた。
「最初からそう言やいいだろうが」
「・・・もう、どっか、行って」
小さくくぐもった声で言われても、ヒル魔は動かない。
「帰って、よ」
「そりゃ聞けねぇなァ」
楽しげに応じると、ヒル魔はすとんとまもりの目の前にしゃがみ込んだ。
「っ」
驚き目を見開くまもりと視線を合わせ、ヒル魔は声を上げて笑う。
「ヒデェツラ」
「な・・・きゃっ」
わしゃわしゃと髪を乱され、まもりは声を上げる。
バランスを崩しそうになったのを、ヒル魔の手が難なく支えた。
「ほぼ半年独り相撲だったな、糞マネ」
「・・・うん」
まもりは素直に頷いた。
叫んで泣いたせいで、まもりの中で鬱屈していた諸々が全て吹き飛んでしまった感じだ。
「さっさと言えばよかったんだよ」
「・・・だって」
「『だって』?」
まもりは僅かに逡巡したが、支える腕に力がこもったのを感じて顔を上げた。
「鈴音ちゃんが」
「ア? 何でここで糞チアが出てくる?」
本当に予想外だったのだろう。ヒル魔が怪訝そうに眉を寄せた。
「一体何のどこをどう見たらそうなるかは判らねぇが、俺はあんな糞ガキに興味はねぇ」
あれにどうこう思うのは糞ロリコンくらいだ、と言う彼にまもりは続ける。
「でも、ヒル魔くん鈴音ちゃんには優しいし。他の女の子にはそんなことないし・・・」
「尾を振る犬はカワイイもんだろ」
「犬、って・・・」
素っ気ないその一言に、まもりは鈴音の行動を思い返す。
誰にでも臆せず話をし、明るく笑い、皆を牽引する少女。
確かに、外見で判断せず分け隔て無く近寄ってくる鈴音が可愛くないはずがないのだろう。
「おら、立て」
ヒル魔がぐい、とまもりを立たせる。
「帰るぞ」
「うん。あの、ね。大丈夫だから、もういいよ」
「ア?」
ヒル魔の腕から抜け出して、まもりは先ほど自ら投げつけたココアの缶を拾い上げる。
「ありがとう、ヒル魔くん。私一人で帰れるから、先に帰って」
「・・・アア?」
ついでにヒル魔の缶も持ち、ゴミ箱へと走る。
ヒル魔は舌打ちすると、自らのとまもりの鞄を持ち上げて出口へと歩き出す。
気づいたまもりが慌てて彼へと駆け寄った。
「え、ちょっと! ヒル魔くん、もう大丈夫だから」
「何がどう大丈夫なんだ」
ヒル魔は胡乱げにまもりを見下ろすと、自らの荷物を求める手をぎゅうと握り込んだ。
「な、何・・・」
「だから帰るっつってんだろ」
「べ、別に一緒に帰らなくてもいいでしょ?」
戸惑うまもりに、ヒル魔は口角を上げる。
「あんだけ強烈に告白かまされちゃほっとくわけにも行かねぇなァ」
「・・・はい?」
硬直するまもりを引きずるようにヒル魔は歩いて行く。
「え、ちょ、ええ?! 告白って、そんなこと言ってない!」
「じゃあ違うのか?」
尋ね返され、まもりは戸惑う。
「だって・・・」
自らの発言を思い返す。
便利なだけだと、セナのおまけだと思われたことが悲しいとは叫んだ。ような気がする。
むしろ嫌いだと言ったような。
「嫌いよ。そうとしか言ってないでしょ」
「ケケケ。テメェそのツラ鏡で見て同じ事言えるか?」
口でどう言おうと、その顔では信じられないとヒル魔が言う。
「嫌なの。嫌い、なの」
必死になって紡ぐ声は、自分でも判るくらい細く掠れた。
「嫌い嫌いも好きのうちっつーなァ」
握られた手が不意に緩んだと思った次の瞬間、深く指が絡まった。
***
あよ様リクエスト『レシート』『赤い服』『格子状』から連想。
予想外をと考えてるうちになんだかよく判らない話になってしまい申し訳ありません。
リクエストありがとうございましたー!
小馬鹿にした声に煽られ、後を追うようにまもりも立ち上がる。
「セナが! 必要だったから、私、おまけだったでしょう!」
まもりは缶を投げつける。
「セナだけが欲しかったくせに! 私はいらなかったくせに!」
中身の残っていたそれを器用に避けて、ヒル魔はそれでもまもりから手を伸ばせば届く位置に立つ。
ニヤニヤと笑ったままこちらを伺う視線に、まもりの瞳から涙が溢れた。
「私の事なんてどうでもいいくせに!」
まもりは自らの胸の前で両手を握りしめ、叫ぶ。
「私なんか、―――便利なモノとしか思ってないくせ、にぃ!!」
顔をぐしゃぐしゃにして、まもりはその場でよろめき、しゃがみ込む。
「・・・っ、う、ええ・・・っ」
「糞マネ」
「ヒル、魔くん、の・・・バカ・・・」
「おい」
「・・・きらい・・・大ッ嫌い・・・!」
声を上げて泣くまもりへ、ヒル魔は一歩ずつ近づく。
彼女がしゃくり上げて泣き続けるのを見下ろし、ややあって静かに口を開いた。
「最初からそう言やいいだろうが」
「・・・もう、どっか、行って」
小さくくぐもった声で言われても、ヒル魔は動かない。
「帰って、よ」
「そりゃ聞けねぇなァ」
楽しげに応じると、ヒル魔はすとんとまもりの目の前にしゃがみ込んだ。
「っ」
驚き目を見開くまもりと視線を合わせ、ヒル魔は声を上げて笑う。
「ヒデェツラ」
「な・・・きゃっ」
わしゃわしゃと髪を乱され、まもりは声を上げる。
バランスを崩しそうになったのを、ヒル魔の手が難なく支えた。
「ほぼ半年独り相撲だったな、糞マネ」
「・・・うん」
まもりは素直に頷いた。
叫んで泣いたせいで、まもりの中で鬱屈していた諸々が全て吹き飛んでしまった感じだ。
「さっさと言えばよかったんだよ」
「・・・だって」
「『だって』?」
まもりは僅かに逡巡したが、支える腕に力がこもったのを感じて顔を上げた。
「鈴音ちゃんが」
「ア? 何でここで糞チアが出てくる?」
本当に予想外だったのだろう。ヒル魔が怪訝そうに眉を寄せた。
「一体何のどこをどう見たらそうなるかは判らねぇが、俺はあんな糞ガキに興味はねぇ」
あれにどうこう思うのは糞ロリコンくらいだ、と言う彼にまもりは続ける。
「でも、ヒル魔くん鈴音ちゃんには優しいし。他の女の子にはそんなことないし・・・」
「尾を振る犬はカワイイもんだろ」
「犬、って・・・」
素っ気ないその一言に、まもりは鈴音の行動を思い返す。
誰にでも臆せず話をし、明るく笑い、皆を牽引する少女。
確かに、外見で判断せず分け隔て無く近寄ってくる鈴音が可愛くないはずがないのだろう。
「おら、立て」
ヒル魔がぐい、とまもりを立たせる。
「帰るぞ」
「うん。あの、ね。大丈夫だから、もういいよ」
「ア?」
ヒル魔の腕から抜け出して、まもりは先ほど自ら投げつけたココアの缶を拾い上げる。
「ありがとう、ヒル魔くん。私一人で帰れるから、先に帰って」
「・・・アア?」
ついでにヒル魔の缶も持ち、ゴミ箱へと走る。
ヒル魔は舌打ちすると、自らのとまもりの鞄を持ち上げて出口へと歩き出す。
気づいたまもりが慌てて彼へと駆け寄った。
「え、ちょっと! ヒル魔くん、もう大丈夫だから」
「何がどう大丈夫なんだ」
ヒル魔は胡乱げにまもりを見下ろすと、自らの荷物を求める手をぎゅうと握り込んだ。
「な、何・・・」
「だから帰るっつってんだろ」
「べ、別に一緒に帰らなくてもいいでしょ?」
戸惑うまもりに、ヒル魔は口角を上げる。
「あんだけ強烈に告白かまされちゃほっとくわけにも行かねぇなァ」
「・・・はい?」
硬直するまもりを引きずるようにヒル魔は歩いて行く。
「え、ちょ、ええ?! 告白って、そんなこと言ってない!」
「じゃあ違うのか?」
尋ね返され、まもりは戸惑う。
「だって・・・」
自らの発言を思い返す。
便利なだけだと、セナのおまけだと思われたことが悲しいとは叫んだ。ような気がする。
むしろ嫌いだと言ったような。
「嫌いよ。そうとしか言ってないでしょ」
「ケケケ。テメェそのツラ鏡で見て同じ事言えるか?」
口でどう言おうと、その顔では信じられないとヒル魔が言う。
「嫌なの。嫌い、なの」
必死になって紡ぐ声は、自分でも判るくらい細く掠れた。
「嫌い嫌いも好きのうちっつーなァ」
握られた手が不意に緩んだと思った次の瞬間、深く指が絡まった。
***
あよ様リクエスト『レシート』『赤い服』『格子状』から連想。
予想外をと考えてるうちになんだかよく判らない話になってしまい申し訳ありません。
リクエストありがとうございましたー!
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ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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