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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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アイソレーション・タンク(5)



+ + + + + + + + + +
クリスマスボウルが終わって、ワールドカップユースも終わって。
夏に部活を引退するまではまだ時間があるけれど、まもりはマネージャーたちに引き継ぐべき事が多い。
結果として誰よりも帰りが遅くなってしまうこともしばしば。
今日も今日とてまもりが最後になってしまった。
部室の戸締まりをしていると、不意に声を掛けられる。
「おい」
とっくに帰ったのだと思っていたヒル魔がそこに立っていた。
「え? ・・・ヒル魔くん」
どうしたの? と小首を傾げてまもりは近づくが、隣までは近寄らず立ち止まる。
「なんでテメェが戸締まりしてんだよ」
「色々やることがあって最後になっちゃっただけよ。いつもじゃないわ」
ケッと半目になったヒル魔は口にガムを放り込みながら踵を返す。
それをぼんやりと見送っていると、数メートル進んだところで彼が不審そうに立ち止まった。
「なにぼさっとしてやがる」
「え」
「帰るんだろ」
まもりはぱちりと瞬きする。
彼女が帰ることとヒル魔が待つことの意味が分からず、まもりは困惑した。
「・・・チッ」
なかなか動かないまもりに焦れて、ヒル魔は大股に戻るとまもりの手を引いて歩き出す。
「・・・あの? ヒル魔くん、もしかして送ってくれようとか、そういうこと?」
「ア?」
足早な彼に足をもつれさせながらまもりは彼を見上げた。
不機嫌そうに見下ろされ、まもりはふわりと苦笑する。
「大丈夫よ、私は一人で大丈夫」
だから離して、と。
取り戻そうとした腕は、予想外に強く握られた。
「そうやって、何に酔ってんだ」
ヒル魔の表情は険しい。そうして声音は鋭く冷たかった。
「毎日毎日見てもいねぇDVDつけて泣いて過ごして、何がやりてぇんだテメェは」
DVDを実際には見ていないという事実を知られていた、という衝撃。
「私・・・別に、何も」
声が喉に引っかかる。
「『何も』?」
言葉尻をとらえ、ヒル魔は眉をつり上げる。
「口実作ってまで泣く必要がどこにあるっつーんだ。まーだ『気分』だっつーならいい加減長すぎる」
まもりは困ったように俯く。記憶力のある彼は、いつだか交わした会話の内容も忘れていないようだった。
ヒル魔は苛々と舌打ちする。
「テメェ一人が不幸全部背負ってるような顔しやがって」
まもりはのろのろと顔を上げた。不機嫌そうに見下ろすヒル魔を見上げる。
「・・・私がどんな顔してても、別にいいじゃない」
意識して口角を上げる。薄っぺらい顔になっているのだろうと、自分でもぼんやり思いながらまもりは続けた。
「ヒル魔くんには関係ないじゃない。部長とマネージャーっていう関係だって、後数ヶ月の事だし」
「ア?」
「それとも、何か問題あるの?」
ないでしょう? と続けてまもりは今度こそヒル魔の手を振り払った。
「帰るわ」
「待て」
ヒル魔の制止も聞かず、まもりは足早に歩き出す。
「糞ッ・・・」
低いうなり声が聞こえる。けれど、まもりは薄く笑っただけで振り返りもしない。
その様子に、ヒル魔は大股に歩いてまもりの後を追う。
「待て!」
ちらりと背後を伺えば、コンパスの差であっという間に狭まりつつある二人の距離。
まもりは眉を寄せて走り出そうとしたが、ヒル魔の方が一歩早かった。
肩を掴まれ、バランスを崩したまもりをヒル魔が空いた腕で易々と抱えた。
「待てっつっただろ!!」
「関係ないでしょ!」
「黙れ!!」
滅多にない剣幕で頭ごなしに怒鳴られ、まもりが怯んだ隙にヒル魔は彼女を抱えたまま学校の裏へと回った。

<続>
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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