旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
まもりは帰宅途中、いつもの道を通らず少し遠回りした。
ここにはレンタルショップがある。
時間帯もあるだろうが、人はまばらで店員も暇そうにしていた。
目当ての作品が集まる棚へと向かう。
いくつも並ぶ中から、まもりは一本だけ引き出し、以前作ったけれどあまり活用してなかった会員証を取り出し、カウンターへと向かう。
店員は無感動に会計をし、ありがとうございましたと素っ気なくレシートと品物を突っ込んだ袋を差し出した。
家に帰り、食事も風呂もそこそこに、まもりは自室に戻った。
宿題だけはきっちり片付けて、まもりは自室に用意されたテレビとDVDデッキに向かう。
アメフトのビデオを編集する上で部室では終わらない作業を自室でやるために、親に強請って用意してもらった物だ。
DVDデッキは見たいものもあるでしょうから、と母がおまけのように用意してくれた。
こんな風に役立つなんてね、と内心呟いてまもりはDVDをセットする。
少しの沈黙の後、画面に映画の表題が浮かび上がった。
季節は秋から冬へ。
アメフト部はめざましい活躍を続ける。
負けてしまえばもう終わり、というトーナメントを毎回綱渡りのように勝ち進み。
かつては遠い遠い夢物語でしかなかった舞台へと着実に駒を進めていく。
部員達はしばしば絶望の淵に立たされても尚、諦めることなく戦い続けた。
その間。
まもりは実に淡々としていた。
無感動ではない。仕事がおろそかになるわけでもない。
部活中はともかく、ヒル魔と二人になるデータ処理の段階になるとそれは顕著だった。
二人の間には会話はなく、時折ヒル魔がコーヒーを所望する他にはタイピングの音と、ペンが走る音があるだけ。
一度忘れ物をしたとかで顔を出した黒木が、何とも言えない顔をしたほどだ。
彼は賢明にもその場では言葉を呑んだが、後にヒル魔に尋ねた。
喧嘩でもしたのか、と。
けれどヒル魔はベツニ、と短く応じただけ。
喧嘩したという事実もないし、そもそもアメフトを抜いてしまえば共通点のない二人である。
どうにも違和感を拭いきれなかった黒木は、同じようにまもりにも尋ねた。
「それで、どうだったの?」
休憩時間中。二人と一番関わりが深いと思われるセナに、黒木は事の次第を語った。
セナの促す声に、彼はドリンクのストローを忌々しげに噛み潰して続けた。
「マネージャーも別に、っつったんだよォ。だからあの悪魔と同じこと言うんだなァ、っつったらすっげぇ顔した」
「す、すごいって?」
ちらりと彼らの視線がまもりを見た。
いつもと変わらず練習する面々の間を忙しなく駆け回っている。
その表情はいつもと同じなのに、けれど瞼は僅かに腫れぼったい。
「笑ってた」
けど、と記憶を辿る黒木の声が一段下がった。
「人形みたいに、貼り付けたみてぇな顔だった」
それにセナがごくりと喉を鳴らした。
ここにはレンタルショップがある。
時間帯もあるだろうが、人はまばらで店員も暇そうにしていた。
目当ての作品が集まる棚へと向かう。
いくつも並ぶ中から、まもりは一本だけ引き出し、以前作ったけれどあまり活用してなかった会員証を取り出し、カウンターへと向かう。
店員は無感動に会計をし、ありがとうございましたと素っ気なくレシートと品物を突っ込んだ袋を差し出した。
家に帰り、食事も風呂もそこそこに、まもりは自室に戻った。
宿題だけはきっちり片付けて、まもりは自室に用意されたテレビとDVDデッキに向かう。
アメフトのビデオを編集する上で部室では終わらない作業を自室でやるために、親に強請って用意してもらった物だ。
DVDデッキは見たいものもあるでしょうから、と母がおまけのように用意してくれた。
こんな風に役立つなんてね、と内心呟いてまもりはDVDをセットする。
少しの沈黙の後、画面に映画の表題が浮かび上がった。
季節は秋から冬へ。
アメフト部はめざましい活躍を続ける。
負けてしまえばもう終わり、というトーナメントを毎回綱渡りのように勝ち進み。
かつては遠い遠い夢物語でしかなかった舞台へと着実に駒を進めていく。
部員達はしばしば絶望の淵に立たされても尚、諦めることなく戦い続けた。
その間。
まもりは実に淡々としていた。
無感動ではない。仕事がおろそかになるわけでもない。
部活中はともかく、ヒル魔と二人になるデータ処理の段階になるとそれは顕著だった。
二人の間には会話はなく、時折ヒル魔がコーヒーを所望する他にはタイピングの音と、ペンが走る音があるだけ。
一度忘れ物をしたとかで顔を出した黒木が、何とも言えない顔をしたほどだ。
彼は賢明にもその場では言葉を呑んだが、後にヒル魔に尋ねた。
喧嘩でもしたのか、と。
けれどヒル魔はベツニ、と短く応じただけ。
喧嘩したという事実もないし、そもそもアメフトを抜いてしまえば共通点のない二人である。
どうにも違和感を拭いきれなかった黒木は、同じようにまもりにも尋ねた。
「それで、どうだったの?」
休憩時間中。二人と一番関わりが深いと思われるセナに、黒木は事の次第を語った。
セナの促す声に、彼はドリンクのストローを忌々しげに噛み潰して続けた。
「マネージャーも別に、っつったんだよォ。だからあの悪魔と同じこと言うんだなァ、っつったらすっげぇ顔した」
「す、すごいって?」
ちらりと彼らの視線がまもりを見た。
いつもと変わらず練習する面々の間を忙しなく駆け回っている。
その表情はいつもと同じなのに、けれど瞼は僅かに腫れぼったい。
「笑ってた」
けど、と記憶を辿る黒木の声が一段下がった。
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それにセナがごくりと喉を鳴らした。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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