旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「ちょ・・・」
焦るまもりを余所に、係員に封書を見せると心得たようにヒル魔を先導する。
そうして通されたのは劇場ど真ん中の関係者席。
「・・・本当に脅迫してないの?」
「してねぇ」
飄々と返し、ヒル魔は用意された座席へどかりと座る。
係員がくれたパンフレットを手に、仕方なくまもりも座る。
やはり何かあくどい手段を使ったのでは、という疑念が拭いきれないのだ。
ややあって一般客も案内され、座席はあっという間に埋まった。
「へー、舞台挨拶もあるんだ!」
それでも嬉しい気持ちが隠しきれない様子のまもりを眺め、ヒル魔は黙って口角を上げる。
やがてブザーが鳴り、舞台挨拶が始まり。
華やかな出演者達が袖に消えて。
そうして、映画が始まる―――
スタッフロールが流れ終わり、劇場の照明が全て付いても、なかなか二人は席を動かなかった。
「・・・テメェ」
「ご、ごめ・・・」
ぐす、とまもりは鼻を啜る。
優しく切ない話、とは映画の謳い文句にあったのだけれど。
途中でネタが知れたヒル魔には感動するにはほど遠い内容となった。
けれどまもりにとっては予想外の結末だったのだ。
エンディングが始まった途端に全てを理解し、その結果として涙腺が決壊してしまったのだ。
「なんか、終わった途端に急に・・・」
「よくあんなんで泣けんなァ」
「だって! あんな風なラストなんて! 想像してなかったし!」
「そーか?」
「そうよ! だってあんな・・・」
声を詰まらせたまもりにヒル魔は肩をすくめた。
「最初から仕掛けあっただろうが。舞台挨拶で監督も匂わせてただろ」
呆れたように言われ、まもりは飛び上がる。
「嘘!? 最初?! 私判らなかった・・・!」
「ケケケ、洞察力鈍ってんなァ」
「うう・・・!」
悔しくて歯がみするが、思い返せばあああれも伏線か、と納得も出来て。
原作が漫画だと聞いたが、読んでいたら感じ方はまた全然違っただろうな、と思ったり。
泣き顔で出たくないと言えば、ヒル魔は舌打ちしつつも化粧直しをするまで待っていてくれた。
「ああ、最後になっちゃったね」
気づけば劇場には二人きり。
「テメェがぐずぐず泣いてっからだ」
「どうもすみませんでした!」
急がなきゃ、と焦るまもりを伴って劇場を出れば、そこにはテレビカメラを持つスタッフの姿。
一気にまもりは青ざめた。
「も、もしかしてあれ・・・」
ヒル魔がにやりと笑う。
「おー、CMの常套手段だなァ」
近頃、映画の予告をテレビで放映するときに共に流れる感想。
謳い文句の通り涙を流した人を狙っては声を掛け、感想をもらっているようだ。
目の前にいた女性二人も案内されていくのを見てしまった。
「は、早く行こうよヒル魔くん!」
「何だ、糞テレビに映りてぇのか?」
「逆よ、逆!」
こんな泣き顔晒すなんて出来ません、とまもりはヒル魔の影に隠れてこそこそと移動しようとしたが、敵も然る者。
しっかり泣いたまもりを見つけていた。
<続>
焦るまもりを余所に、係員に封書を見せると心得たようにヒル魔を先導する。
そうして通されたのは劇場ど真ん中の関係者席。
「・・・本当に脅迫してないの?」
「してねぇ」
飄々と返し、ヒル魔は用意された座席へどかりと座る。
係員がくれたパンフレットを手に、仕方なくまもりも座る。
やはり何かあくどい手段を使ったのでは、という疑念が拭いきれないのだ。
ややあって一般客も案内され、座席はあっという間に埋まった。
「へー、舞台挨拶もあるんだ!」
それでも嬉しい気持ちが隠しきれない様子のまもりを眺め、ヒル魔は黙って口角を上げる。
やがてブザーが鳴り、舞台挨拶が始まり。
華やかな出演者達が袖に消えて。
そうして、映画が始まる―――
スタッフロールが流れ終わり、劇場の照明が全て付いても、なかなか二人は席を動かなかった。
「・・・テメェ」
「ご、ごめ・・・」
ぐす、とまもりは鼻を啜る。
優しく切ない話、とは映画の謳い文句にあったのだけれど。
途中でネタが知れたヒル魔には感動するにはほど遠い内容となった。
けれどまもりにとっては予想外の結末だったのだ。
エンディングが始まった途端に全てを理解し、その結果として涙腺が決壊してしまったのだ。
「なんか、終わった途端に急に・・・」
「よくあんなんで泣けんなァ」
「だって! あんな風なラストなんて! 想像してなかったし!」
「そーか?」
「そうよ! だってあんな・・・」
声を詰まらせたまもりにヒル魔は肩をすくめた。
「最初から仕掛けあっただろうが。舞台挨拶で監督も匂わせてただろ」
呆れたように言われ、まもりは飛び上がる。
「嘘!? 最初?! 私判らなかった・・・!」
「ケケケ、洞察力鈍ってんなァ」
「うう・・・!」
悔しくて歯がみするが、思い返せばあああれも伏線か、と納得も出来て。
原作が漫画だと聞いたが、読んでいたら感じ方はまた全然違っただろうな、と思ったり。
泣き顔で出たくないと言えば、ヒル魔は舌打ちしつつも化粧直しをするまで待っていてくれた。
「ああ、最後になっちゃったね」
気づけば劇場には二人きり。
「テメェがぐずぐず泣いてっからだ」
「どうもすみませんでした!」
急がなきゃ、と焦るまもりを伴って劇場を出れば、そこにはテレビカメラを持つスタッフの姿。
一気にまもりは青ざめた。
「も、もしかしてあれ・・・」
ヒル魔がにやりと笑う。
「おー、CMの常套手段だなァ」
近頃、映画の予告をテレビで放映するときに共に流れる感想。
謳い文句の通り涙を流した人を狙っては声を掛け、感想をもらっているようだ。
目の前にいた女性二人も案内されていくのを見てしまった。
「は、早く行こうよヒル魔くん!」
「何だ、糞テレビに映りてぇのか?」
「逆よ、逆!」
こんな泣き顔晒すなんて出来ません、とまもりはヒル魔の影に隠れてこそこそと移動しようとしたが、敵も然る者。
しっかり泣いたまもりを見つけていた。
<続>
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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