旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
夏休みの登校日。
まもりは、どこかうち沈んだ気持ちのまま学校に来ていた。
何のためにあるのか判らないわよね、と愚痴るクラスメイトが次第に帰宅するのを、教室の中でぼんやりと見送る。
代わり映えしないねえ、という声も聞こえてきたので、去年もそんな話をしていたのだったか、と考えてみた。
そうして、その記憶がないことに気づく。
そういえば去年は夏休み中丸々アメリカにいたから、当然登校日には学校に来なかったのだ。
冷房の切られた教室は蒸し暑い。
窓を開けると、眼下には早々にSHRが終わったらしいアメフト部の部員達が集まり始めている。
今年のアメフト部は海外に行かないまでも、例によって現れた悪魔がキツイ特訓を課している。
今も選手さながらに練習に参加している金色の頭が、見えた。
練習を終えても、日はまだまだ長い。
ガムを噛みつつ、いつも通り疲れなど微塵も感じさせない様子で歩くヒル魔の足が、止まった。
夕日に照らされる校門の柱に、寄りかかることなく立ち尽くす人影。
「何してやがる」
「待ってたの」
練習に参加こそしなかったけれど、この時間までまもりはヒル魔を待っていたのだ。
制服姿であることが、この学校に居続けたことを物語っている。
「練習に参加もしねぇでか」
「一応引退した身だもの。試合にも出られないのに邪魔しちゃ悪いし」
それにヒル魔はふんと鼻を鳴らした。
泥門高校は三年生の夏で部活の引退をすることと決まっている。
彼とてそれを知らぬはずがない。
だからこそ去年は必死で努力し続けたのだから。
ヒル魔は再び歩き出す。まもりはごく普通にその隣を歩いた。
長く伸びる影法師が仲良く続く。
いつもであれば駅にまっすぐ向かう足を、まもりが翻した。
「ア?」
「ちょっと、寄り道していかない?」
ヒル魔はぴんと片眉を上げた。
これがシュークリームの店だったりした日には絶対向かわないのだが、彼女が示す方向にはそういった店はなかったはずだ。
そうしてどことなく違和感があるまもりの様子に、ヒル魔はぷう、とガムを膨らませてその後について行くことにした。
程なくたどり着いたのは、夕日によって真っ赤に染め上げられた土手。
今もよく走るコースの一つだ。
「やっぱり川縁だから風が少し涼しいね」
「おー」
やる気なく応じられても、まもりは意に介さない。
本当にやる気がなければ彼は返事もしないしそもそもついて来ない。
しばらく川縁をゆっくりと歩いていたが、不意にヒル魔が口を開いた。
「で?」
「え?」
見上げてくる瞳を、静かに見下ろす眸。
「何があった」
疑問を含まないまま、問う声。
まもりは笑った。力なく。
「・・・やっぱり変だった?」
「そりゃあな」
表面上は平静を装っていても、いつもと違うということくらいすぐ判る。
その原因までは特定できなくても。
<続>
まもりは、どこかうち沈んだ気持ちのまま学校に来ていた。
何のためにあるのか判らないわよね、と愚痴るクラスメイトが次第に帰宅するのを、教室の中でぼんやりと見送る。
代わり映えしないねえ、という声も聞こえてきたので、去年もそんな話をしていたのだったか、と考えてみた。
そうして、その記憶がないことに気づく。
そういえば去年は夏休み中丸々アメリカにいたから、当然登校日には学校に来なかったのだ。
冷房の切られた教室は蒸し暑い。
窓を開けると、眼下には早々にSHRが終わったらしいアメフト部の部員達が集まり始めている。
今年のアメフト部は海外に行かないまでも、例によって現れた悪魔がキツイ特訓を課している。
今も選手さながらに練習に参加している金色の頭が、見えた。
練習を終えても、日はまだまだ長い。
ガムを噛みつつ、いつも通り疲れなど微塵も感じさせない様子で歩くヒル魔の足が、止まった。
夕日に照らされる校門の柱に、寄りかかることなく立ち尽くす人影。
「何してやがる」
「待ってたの」
練習に参加こそしなかったけれど、この時間までまもりはヒル魔を待っていたのだ。
制服姿であることが、この学校に居続けたことを物語っている。
「練習に参加もしねぇでか」
「一応引退した身だもの。試合にも出られないのに邪魔しちゃ悪いし」
それにヒル魔はふんと鼻を鳴らした。
泥門高校は三年生の夏で部活の引退をすることと決まっている。
彼とてそれを知らぬはずがない。
だからこそ去年は必死で努力し続けたのだから。
ヒル魔は再び歩き出す。まもりはごく普通にその隣を歩いた。
長く伸びる影法師が仲良く続く。
いつもであれば駅にまっすぐ向かう足を、まもりが翻した。
「ア?」
「ちょっと、寄り道していかない?」
ヒル魔はぴんと片眉を上げた。
これがシュークリームの店だったりした日には絶対向かわないのだが、彼女が示す方向にはそういった店はなかったはずだ。
そうしてどことなく違和感があるまもりの様子に、ヒル魔はぷう、とガムを膨らませてその後について行くことにした。
程なくたどり着いたのは、夕日によって真っ赤に染め上げられた土手。
今もよく走るコースの一つだ。
「やっぱり川縁だから風が少し涼しいね」
「おー」
やる気なく応じられても、まもりは意に介さない。
本当にやる気がなければ彼は返事もしないしそもそもついて来ない。
しばらく川縁をゆっくりと歩いていたが、不意にヒル魔が口を開いた。
「で?」
「え?」
見上げてくる瞳を、静かに見下ろす眸。
「何があった」
疑問を含まないまま、問う声。
まもりは笑った。力なく。
「・・・やっぱり変だった?」
「そりゃあな」
表面上は平静を装っていても、いつもと違うということくらいすぐ判る。
その原因までは特定できなくても。
<続>
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鳥(とり)
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女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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