旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
夏休み前の、体育。
梅雨の合間の晴天で主婦にはありがたい天候だが、更衣室では悲鳴が上がっていた。
「うっわー、暑ッ!」
「汗びっしょり・・・シャワー浴びたいよう」
プール授業が始まる前の体育後は汗だくで、タオルで汗を拭ってもどうにも気色悪さが残る。
だから、色々な手段を講じるのだ。
「制汗シート使う人!」
「あ、ちょうだい!」
「スプレーもあるよ。使う人いる?」
大騒ぎの後、どうにか汗を抑えて更衣室を出る。
急ぎ足で教室に戻ると、移動教室だった男子生徒が全員微妙な顔で女生徒達を迎える。
中でも盛大に眉を上げたヒル魔に、まもりはつかつかと近寄った。
「・・・何、その顔」
「イーエ、何も?」
つーん、と横を向かれてまもりはますます彼との距離を狭める。
「何か言いたいことがあるなら仰って下さいます?」
にっこりと笑って告げるが、ヒル魔はふんと鼻を鳴らすだけ。
折良くというか悪くというか、丁度チャイムが鳴り、同時に教師ががらりと扉を開ける。
「授業始めるぞ-」
席に着け-、という声にまもりは後ろ髪を引かれるような思いで自席に戻る。
ふわりと漂った制汗剤の匂いに、ヒル魔はますます嫌そうに眉を寄せたが、背後の席のまもりには見えないまま。
程なく授業が始まる。
これさえ終われば昼休みで、生徒の大半はほとんど昼食へと意識を飛ばしている。
食べ盛りの男子生徒のみならず、体育を終えた女生徒も空腹具合は同様。
気を抜けば腹が鳴りそうだ、という妙な緊張感が漂っている。
そんな中、まもりは授業を聞きつつも先ほどのヒル魔の反応を気に掛けていた。
体育の後、教室で顔を合わせると決まってヒル魔はあのような顔つきでまもりを見た。
それは前からだったか、と思い返すが目に付くようになったのは最近かな、と考える。
やはり夏になって汗をかくから匂うのか、いや制汗剤使ったし、ああでも髪の毛とか汗臭いのかな、と。
不意に思い立って毛先を摘んでふんふんと匂いを嗅いでみても自分では判らない。
まもりは嘆息して前にある金髪を眺める。
もしまもりその他の女子生徒が汗臭いとかそういうことがあれば、彼は間違いなくからかってくるだろう。
何しろ頭が極端に良くてもやることなすこと小学生男子並みなのだから。
そうなれば彼のあの表情は汗臭いことに対するものではないのだろうか。
一体何が、と考えていて、不意に鼻先を擽ったのは制汗剤の匂い。
今日使ったのはせっけんの香りのものだった。
もしかして。
まもりはノートを埋めながら、相変わらず授業を聞いていそうにない金髪を注視した。
昼休み。お弁当を早々に食べ終え、まもりは部室へと足を運んだ。
「ヒル魔くん、いる?」
「ア?」
いつもの様子で、パソコンに向かっていたヒル魔は滅多にないまもりの来訪に眉を寄せた。
彼女は大概友人達と昼休みが終わるまで無駄話に花を咲かせているのだ。
「何の用だ」
「用ってほどじゃないんだけど」
言いながらまもりは部室の扉を閉める。近寄ってきたまもりに、ヒル魔はパソコンへと視線を戻した。
「コーヒー淹れろ」
「私はウェイトレスじゃないんですけどね」
言いながらもまもりはカウンターの後ろへ回る。
言われなくてもそれくらいは用意するつもりだったのだ。
<続>
梅雨の合間の晴天で主婦にはありがたい天候だが、更衣室では悲鳴が上がっていた。
「うっわー、暑ッ!」
「汗びっしょり・・・シャワー浴びたいよう」
プール授業が始まる前の体育後は汗だくで、タオルで汗を拭ってもどうにも気色悪さが残る。
だから、色々な手段を講じるのだ。
「制汗シート使う人!」
「あ、ちょうだい!」
「スプレーもあるよ。使う人いる?」
大騒ぎの後、どうにか汗を抑えて更衣室を出る。
急ぎ足で教室に戻ると、移動教室だった男子生徒が全員微妙な顔で女生徒達を迎える。
中でも盛大に眉を上げたヒル魔に、まもりはつかつかと近寄った。
「・・・何、その顔」
「イーエ、何も?」
つーん、と横を向かれてまもりはますます彼との距離を狭める。
「何か言いたいことがあるなら仰って下さいます?」
にっこりと笑って告げるが、ヒル魔はふんと鼻を鳴らすだけ。
折良くというか悪くというか、丁度チャイムが鳴り、同時に教師ががらりと扉を開ける。
「授業始めるぞ-」
席に着け-、という声にまもりは後ろ髪を引かれるような思いで自席に戻る。
ふわりと漂った制汗剤の匂いに、ヒル魔はますます嫌そうに眉を寄せたが、背後の席のまもりには見えないまま。
程なく授業が始まる。
これさえ終われば昼休みで、生徒の大半はほとんど昼食へと意識を飛ばしている。
食べ盛りの男子生徒のみならず、体育を終えた女生徒も空腹具合は同様。
気を抜けば腹が鳴りそうだ、という妙な緊張感が漂っている。
そんな中、まもりは授業を聞きつつも先ほどのヒル魔の反応を気に掛けていた。
体育の後、教室で顔を合わせると決まってヒル魔はあのような顔つきでまもりを見た。
それは前からだったか、と思い返すが目に付くようになったのは最近かな、と考える。
やはり夏になって汗をかくから匂うのか、いや制汗剤使ったし、ああでも髪の毛とか汗臭いのかな、と。
不意に思い立って毛先を摘んでふんふんと匂いを嗅いでみても自分では判らない。
まもりは嘆息して前にある金髪を眺める。
もしまもりその他の女子生徒が汗臭いとかそういうことがあれば、彼は間違いなくからかってくるだろう。
何しろ頭が極端に良くてもやることなすこと小学生男子並みなのだから。
そうなれば彼のあの表情は汗臭いことに対するものではないのだろうか。
一体何が、と考えていて、不意に鼻先を擽ったのは制汗剤の匂い。
今日使ったのはせっけんの香りのものだった。
もしかして。
まもりはノートを埋めながら、相変わらず授業を聞いていそうにない金髪を注視した。
昼休み。お弁当を早々に食べ終え、まもりは部室へと足を運んだ。
「ヒル魔くん、いる?」
「ア?」
いつもの様子で、パソコンに向かっていたヒル魔は滅多にないまもりの来訪に眉を寄せた。
彼女は大概友人達と昼休みが終わるまで無駄話に花を咲かせているのだ。
「何の用だ」
「用ってほどじゃないんだけど」
言いながらまもりは部室の扉を閉める。近寄ってきたまもりに、ヒル魔はパソコンへと視線を戻した。
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「私はウェイトレスじゃないんですけどね」
言いながらもまもりはカウンターの後ろへ回る。
言われなくてもそれくらいは用意するつもりだったのだ。
<続>
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鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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