旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
徐々に夜が長くなってきて、否応なしに秋から冬への移り変わりを感じる季節。
既に部活は引退して、それでも戦略を伝授するためか単に居心地がいいのか、ヒル魔は今までと同じように部室へと入り浸っていた。
後輩たちも気安く相談が出来るのが嬉しいようで、追い出す様子はない。
そんな彼があまり後輩にプレッシャーを掛けないように、とまもりも同じように顔を出している。
本来であれば大学受験のために勉強に勤しむべき時期。
ヒル魔はどうだか分からないが、まもりは他の部員たちが練習している間に部室を図書館代わりに勉強することが多々あった。
「ヒル魔くん、ここ、教えて?」
「ア? テメェまだンなところで引っかかってんのか?」
そんなことを言っても、まもりが尋ねれば彼は教えてくれる。
多少乱暴ではあるけれど、下手な教師より教えるのが巧い。
「ああ、そういうことなのね。ありがとう」
要領よく教えられ、まもりは笑顔で礼を言い、他の問題へと戻る。
ヒル魔は相変わらずパソコンを見つめていて。
不意に。
「くしゅっ!」
小さなくしゃみが部室に響いた。
ヒル魔が視線を上げると、まもりがぐずぐずと鼻を鳴らしている。
「風邪デスカ」
「違うわよ! ちょっと寒くなっただけ・・・くしゅっ」
そう言いながら、くしゃみが立て続けに出た。
「二つくしゃみは悪口ナンデスッテネ」
「そんな迷信信じないわよ! あー、寒い」
部員たちがいれば別だが、二人しかいない部室の中はひんやりしている。
以前であればジャージで過ごしていたが、もう外を走り回ることも雑用をこなすこともないまもりは制服姿だった。
一応膝掛けを使っているが、コンクリートの床から這い上がってくる寒さはしのぎようもない。
「ホー」
ヒル魔が立ち上がる。
「ヒル魔くん?」
「やる」
ひょい、と放られたのは。
「コート? わ、軽い!」
ふわっとしたロングコート。襟元と手首に毛皮がついている。
「これ何? え、くれるの?!」
「おー」
「え、じゃあ・・・着てみていい?」
「好きにしろ」
まもりはいそいそとそのコートを羽織ってみる。
外見はそう見えないが、内側にもすごく毛皮が使われており、暖かさにまもりは目を瞠った。
「うっわ・・・! すっごい、これ暖かい!! これ何の毛皮? ラビット?」
「寒けりゃそれ着てろ」
「うん! ・・・でも、これ高かったんじゃない? ヒル魔くんが着るつもりだったんじゃ」
「糞元マネ、俺がそんな小せぇサイズ入るわけねぇだろ」
いいから着てろ、そう言われてまもりはにっこりと笑う。
「うん、ありがとう」
そのコートは寒さが本格化してきてから大活躍だった。
毛皮の手触りは心地いいしなにしろ軽いし、あたたかい。
冬場の試合観戦にも耐えられるし、傍らにいるヒル魔も似たようなコートを着ていて、お揃いのようで嬉しかったし。
そうしてご機嫌な冬を満喫し、無事に大学も受かり、さあコートをクリーニングに出して来年のためにしまいましょう、という段階で。
<続>
既に部活は引退して、それでも戦略を伝授するためか単に居心地がいいのか、ヒル魔は今までと同じように部室へと入り浸っていた。
後輩たちも気安く相談が出来るのが嬉しいようで、追い出す様子はない。
そんな彼があまり後輩にプレッシャーを掛けないように、とまもりも同じように顔を出している。
本来であれば大学受験のために勉強に勤しむべき時期。
ヒル魔はどうだか分からないが、まもりは他の部員たちが練習している間に部室を図書館代わりに勉強することが多々あった。
「ヒル魔くん、ここ、教えて?」
「ア? テメェまだンなところで引っかかってんのか?」
そんなことを言っても、まもりが尋ねれば彼は教えてくれる。
多少乱暴ではあるけれど、下手な教師より教えるのが巧い。
「ああ、そういうことなのね。ありがとう」
要領よく教えられ、まもりは笑顔で礼を言い、他の問題へと戻る。
ヒル魔は相変わらずパソコンを見つめていて。
不意に。
「くしゅっ!」
小さなくしゃみが部室に響いた。
ヒル魔が視線を上げると、まもりがぐずぐずと鼻を鳴らしている。
「風邪デスカ」
「違うわよ! ちょっと寒くなっただけ・・・くしゅっ」
そう言いながら、くしゃみが立て続けに出た。
「二つくしゃみは悪口ナンデスッテネ」
「そんな迷信信じないわよ! あー、寒い」
部員たちがいれば別だが、二人しかいない部室の中はひんやりしている。
以前であればジャージで過ごしていたが、もう外を走り回ることも雑用をこなすこともないまもりは制服姿だった。
一応膝掛けを使っているが、コンクリートの床から這い上がってくる寒さはしのぎようもない。
「ホー」
ヒル魔が立ち上がる。
「ヒル魔くん?」
「やる」
ひょい、と放られたのは。
「コート? わ、軽い!」
ふわっとしたロングコート。襟元と手首に毛皮がついている。
「これ何? え、くれるの?!」
「おー」
「え、じゃあ・・・着てみていい?」
「好きにしろ」
まもりはいそいそとそのコートを羽織ってみる。
外見はそう見えないが、内側にもすごく毛皮が使われており、暖かさにまもりは目を瞠った。
「うっわ・・・! すっごい、これ暖かい!! これ何の毛皮? ラビット?」
「寒けりゃそれ着てろ」
「うん! ・・・でも、これ高かったんじゃない? ヒル魔くんが着るつもりだったんじゃ」
「糞元マネ、俺がそんな小せぇサイズ入るわけねぇだろ」
いいから着てろ、そう言われてまもりはにっこりと笑う。
「うん、ありがとう」
そのコートは寒さが本格化してきてから大活躍だった。
毛皮の手触りは心地いいしなにしろ軽いし、あたたかい。
冬場の試合観戦にも耐えられるし、傍らにいるヒル魔も似たようなコートを着ていて、お揃いのようで嬉しかったし。
そうしてご機嫌な冬を満喫し、無事に大学も受かり、さあコートをクリーニングに出して来年のためにしまいましょう、という段階で。
<続>
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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