旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
アメフトの練習と、仕事。
その両方でぐだぐだに疲れ果て、ヒル魔はようよう自宅へと戻る。
一人の時は、かろうじて食事を取り、風呂に入り、睡眠を取るだけという生活。
高校の時から変わらない、いや、それ以上に過酷と言えば過酷な環境だった。
けれど今では。
あたたかい室内を整えて待っていてくれる妻がいる。
「お帰りなさい。お風呂、わいてるわよ」
「おー」
「上がったら夕飯にしましょ。今日は日本から荷物が届いたから、久々に純和食なのよ」
「ホー」
笑顔で彼を迎え、甲斐甲斐しく世話を焼くまもりの姿に口角を上げる。
その頭を撫でてバスルームに消えたヒル魔を見送り、まもりはいそいそと夕飯の仕上げをすべくキッチンへと足を向けた。
風呂から上がると、タイミングを見計らって用意された料理がずらりと並んだ。
「今日はいいお魚も手に入ったの」
彩りも味も充実した料理の数々。
今や世界のどこにいても日本の食材を手に入れることはできるだろうが、冷凍食品に頼らず料亭並みの味を再現できる者はそうそういないだろう。
「じゃあ、どうぞ召し上がれ!」
湯気の立つ茶碗を渡され、熱々の味噌汁も並ぶ。
「イタダキマス」
自らがどれだけ幸せ者と呼ばれる部類になるのか知っているヒル魔は、そうとは見えないが感謝してその食事に手をつけた。
まもりは食器を洗い終えると、ちらりと時計を伺った。
いつもならもう少し仕事をしてからヒル魔は休むのだが、このところのオーバーワークが祟ってそろそろ疲労も限界のように見受けられる。
彼に直接告げても絶対認めないから口にはしないが、今日は早々に眠らせた方がいいだろう。
オンシーズンである今は、休養が何より大事なのだから。
けれど素直にベッドに入ってくれるとも思っていない。
小学生男子並の屁理屈をこねるに決まっている。
まあ、小学生男子相手では出来ない方法で誘ってしまえばいいのだけれど。
当初こそ躊躇いも戸惑いもあったのだけれど、近頃では割り切ってしまえるようになった。
よし、と内心まもりは決心する。
「おい、コーヒー」
「今日はダメ」
「ア?」
いつものように所望したコーヒーをあっさりと却下され、ヒル魔の眉が寄る。
まもりはくるりと振り返って小首を傾げる。
「もう今日は休みましょう?」
「まだ早ェ」
やっぱり、とまもりは嘆息する。
素直に疲れているからもう寝る、とは行かないようだった。
コーヒー、と強請る声を無視し、彼女はヒル魔の傍らに歩み寄ってしゃがみ込み、膝をついてヒル魔を見上げる。
「おい?」
「・・・ね、早くベッドに行きましょう?」
それにヒル魔の片眉がピン、と上がった。
おずおずと触れる手、上目遣いで伺ってくる瞳。
ほんのりと赤く染まり、潤んだ瞳で見上げられればそれが誘いであることなど一目瞭然。
ヒル魔は脳裏で自らの状態と現在の仕事の状況とを客観的に分析する。
はじき出した答えは、とてもありがたくない内容だった。
寝る。
間違いなく、自分は最中に寝る。
誘われてうかうかと乗っておいて、眠ってしまうなんてみっともない事態に陥りたくないヒル魔は、どうにか止めさせようと思った。
けれどまもりはそんなヒル魔のことなどお見通し。
そっと手を取り、その指先にキスをする。
「っ」
ちゅ、と音を立てて吸い付く唇の柔らかさと、強請る瞳の甘さに目眩がする。
「・・・ねえ」
しっとりと濡れた声が心地よくヒル魔を誘う。
「チッ」
彼はきつく眉を寄せると、開いていたパソコンを終了させ、立ち上がる。
その腕に抱き上げれば、まもりは頬を染めて嬉しそうにヒル魔にしがみついた。
□■□■□
「寝起きで襲うなんて・・・妖一のケダモノ」
「ア? テメェあんだけよがっておいて俺一人悪者か」
今日がナイターで良かった、と思いつつ。
けだるい身体を引きずって、まもりは朝食の準備に忙しい。
そんなまもりの背後にヒル魔がぴたりと張り付いている。
それがまたうっとうしく邪魔くさいので離れて欲しいと思うのだが。
彼がこんな風に甘えてくるのも珍しいのであまり強くも言えない。
それでも一言、釘は刺しておかねば。
「これに懲りたら、あんまり無理しちゃだめよ?」
ちら、と視線を斜め上に上げて小首を傾げれば。
「糞奥様のお誘いを断るなんてモッタイナイことは出来ないんデスヨ」
にやにやと笑いながら彼はまもりの唇を奪う。
「自分の体調第一でしょ?」
そう囁いてみるものの。
「イイエ。糞奥様を満足させることが第一デス」
などとしれっと言い放つので。
「はいはい。今度から疲れてそうな時は別の方法で寝かしつけるようにするわ」
そう口では素っ気なく言うのだけれど。
「ホー。そりゃ楽しみだなァ」
首筋まで真っ赤になった状態ではそう聞き取れないだろうな、という自覚もあって。
まもりはどこか甘さのある吐息を零したのだった。
***
マカロン様リクエスト『ハプニングが起きたときまもりちゃんはどうなるか(抽象的)』でした。・・・うん、どのシリーズでも構わないとのことでしたので誰がやるか、と脳内でシリーズの子たちに割り振ったところゆめのあとさきシリーズのみが該当しました(笑)
多分思ってらっしゃるのとは違う結果じゃないかと思ったのですが、うちの子たちではこれが精一杯でした! リクエストありがとうございました~。
その両方でぐだぐだに疲れ果て、ヒル魔はようよう自宅へと戻る。
一人の時は、かろうじて食事を取り、風呂に入り、睡眠を取るだけという生活。
高校の時から変わらない、いや、それ以上に過酷と言えば過酷な環境だった。
けれど今では。
あたたかい室内を整えて待っていてくれる妻がいる。
「お帰りなさい。お風呂、わいてるわよ」
「おー」
「上がったら夕飯にしましょ。今日は日本から荷物が届いたから、久々に純和食なのよ」
「ホー」
笑顔で彼を迎え、甲斐甲斐しく世話を焼くまもりの姿に口角を上げる。
その頭を撫でてバスルームに消えたヒル魔を見送り、まもりはいそいそと夕飯の仕上げをすべくキッチンへと足を向けた。
風呂から上がると、タイミングを見計らって用意された料理がずらりと並んだ。
「今日はいいお魚も手に入ったの」
彩りも味も充実した料理の数々。
今や世界のどこにいても日本の食材を手に入れることはできるだろうが、冷凍食品に頼らず料亭並みの味を再現できる者はそうそういないだろう。
「じゃあ、どうぞ召し上がれ!」
湯気の立つ茶碗を渡され、熱々の味噌汁も並ぶ。
「イタダキマス」
自らがどれだけ幸せ者と呼ばれる部類になるのか知っているヒル魔は、そうとは見えないが感謝してその食事に手をつけた。
まもりは食器を洗い終えると、ちらりと時計を伺った。
いつもならもう少し仕事をしてからヒル魔は休むのだが、このところのオーバーワークが祟ってそろそろ疲労も限界のように見受けられる。
彼に直接告げても絶対認めないから口にはしないが、今日は早々に眠らせた方がいいだろう。
オンシーズンである今は、休養が何より大事なのだから。
けれど素直にベッドに入ってくれるとも思っていない。
小学生男子並の屁理屈をこねるに決まっている。
まあ、小学生男子相手では出来ない方法で誘ってしまえばいいのだけれど。
当初こそ躊躇いも戸惑いもあったのだけれど、近頃では割り切ってしまえるようになった。
よし、と内心まもりは決心する。
「おい、コーヒー」
「今日はダメ」
「ア?」
いつものように所望したコーヒーをあっさりと却下され、ヒル魔の眉が寄る。
まもりはくるりと振り返って小首を傾げる。
「もう今日は休みましょう?」
「まだ早ェ」
やっぱり、とまもりは嘆息する。
素直に疲れているからもう寝る、とは行かないようだった。
コーヒー、と強請る声を無視し、彼女はヒル魔の傍らに歩み寄ってしゃがみ込み、膝をついてヒル魔を見上げる。
「おい?」
「・・・ね、早くベッドに行きましょう?」
それにヒル魔の片眉がピン、と上がった。
おずおずと触れる手、上目遣いで伺ってくる瞳。
ほんのりと赤く染まり、潤んだ瞳で見上げられればそれが誘いであることなど一目瞭然。
ヒル魔は脳裏で自らの状態と現在の仕事の状況とを客観的に分析する。
はじき出した答えは、とてもありがたくない内容だった。
寝る。
間違いなく、自分は最中に寝る。
誘われてうかうかと乗っておいて、眠ってしまうなんてみっともない事態に陥りたくないヒル魔は、どうにか止めさせようと思った。
けれどまもりはそんなヒル魔のことなどお見通し。
そっと手を取り、その指先にキスをする。
「っ」
ちゅ、と音を立てて吸い付く唇の柔らかさと、強請る瞳の甘さに目眩がする。
「・・・ねえ」
しっとりと濡れた声が心地よくヒル魔を誘う。
「チッ」
彼はきつく眉を寄せると、開いていたパソコンを終了させ、立ち上がる。
その腕に抱き上げれば、まもりは頬を染めて嬉しそうにヒル魔にしがみついた。
□■□■□
「寝起きで襲うなんて・・・妖一のケダモノ」
「ア? テメェあんだけよがっておいて俺一人悪者か」
今日がナイターで良かった、と思いつつ。
けだるい身体を引きずって、まもりは朝食の準備に忙しい。
そんなまもりの背後にヒル魔がぴたりと張り付いている。
それがまたうっとうしく邪魔くさいので離れて欲しいと思うのだが。
彼がこんな風に甘えてくるのも珍しいのであまり強くも言えない。
それでも一言、釘は刺しておかねば。
「これに懲りたら、あんまり無理しちゃだめよ?」
ちら、と視線を斜め上に上げて小首を傾げれば。
「糞奥様のお誘いを断るなんてモッタイナイことは出来ないんデスヨ」
にやにやと笑いながら彼はまもりの唇を奪う。
「自分の体調第一でしょ?」
そう囁いてみるものの。
「イイエ。糞奥様を満足させることが第一デス」
などとしれっと言い放つので。
「はいはい。今度から疲れてそうな時は別の方法で寝かしつけるようにするわ」
そう口では素っ気なく言うのだけれど。
「ホー。そりゃ楽しみだなァ」
首筋まで真っ赤になった状態ではそう聞き取れないだろうな、という自覚もあって。
まもりはどこか甘さのある吐息を零したのだった。
***
マカロン様リクエスト『ハプニングが起きたときまもりちゃんはどうなるか(抽象的)』でした。・・・うん、どのシリーズでも構わないとのことでしたので誰がやるか、と脳内でシリーズの子たちに割り振ったところゆめのあとさきシリーズのみが該当しました(笑)
多分思ってらっしゃるのとは違う結果じゃないかと思ったのですが、うちの子たちではこれが精一杯でした! リクエストありがとうございました~。
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鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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